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歌詞(こころ)から掬いあげる言葉(きもち)  作者: 暁紅桜
5章:秋離れ、彼女と感じる冬の熱
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5−36話:空 side

「とまぁそんな感じ?」


苦笑いを浮かべながら、話終えたお姉ちゃんだったけど、私の胸は酷く苦しかった。

だから、気づいたら椅子から立ち上がってお姉ちゃんを抱きしめていた。


「え、ちょっと空色くしな?」

「気づいてあげられなくてごめんね」


今はもうこうやって笑い話、昔の話だと言えるけど、当時のことを考えると胸が引き裂けそうなほどに苦しかったと思う。


「空色が気にすることじゃない。このことは近いうちに父さんたちにも話そうと思ってる。けじめとしてね」


優しく頭を撫でるお姉ちゃん。

なんで私が泣いて慰められてるんだろう……普通逆なのに。


春歌はるかちゃん、そろそろお願い」

「お、はーい」


遠く、別のスタッフさんがお姉ちゃんを呼んでいた。

ぐずぐずに顔を涙で汚す私に、お姉ちゃんは笑いながら服で拭ってくれた。


「そんな顔で雪凪せつなのライブ見るの?」

「グス……ライブまでには戻すから大丈夫」

「そう、何かあったら呼ぶのよ」

「うん」

「春歌ちゃん、早く早く」


大きく手招きをする他スタッフさんに、お姉ちゃんはかけていく。だけど、途中で止まって振りかえった。


「心配しなくても、あんたたち二人は大丈夫よ」


ニッと笑みを浮かべて、お姉ちゃんはエントランスからいなくなった。

一人残された私はモニターに視線を移す。もう画面には先輩たちの姿は写っていなくて、別のバンドグループがリハーサルをしていた。


「先輩は、どう思ってるかな」


自分だけがこんなに悩んでるのか、それとも先輩も同じように不安を感じているかわからない。

だけど信じたい。先輩は、私のことを好きだって。いっときの気の迷いとかじゃなくて、本当に好きなんだって……。


「……甘いな……」


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