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歌詞(こころ)から掬いあげる言葉(きもち)  作者: 暁紅桜
5章:秋離れ、彼女と感じる冬の熱
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5−35話:春 side

「先輩!」


高校生の時、私には恋人がいた。


「あ、春歌はるかおはよう」

「おはようございます」

「よくわかったね」

「先輩の姿は、どんなに離れていてもわかります!」

「え、何それこわい……」

「え!」

「ふふっ、冗談よ」


同性の、一つ上の先輩。

音楽好きで、趣味もあって、私の方から告白して無事にお付き合いをした。

女子校では、知られていないだけで案外いろんな子が同性同士で付き合っていた。だから私も、別に悪いことをしているわけじゃないから、普通に先輩と手を繋いだりしていた。

毎日がすごく楽しかった。も少ししたら先輩は卒業で離れ離れになっちゃうけど、それでも私の気持ちは変わらない。

先輩が好き。ずっと一緒にいたい。


「ごめん、別れよう」


だけど、先輩が卒業してしばらくして、先輩から別れを告げられた。

私自身が何かしたわけじゃない。私はただ、先輩が本当に好きで、どんな困難があっても一緒に乗り越えたい。誰よりも好きだって、そう思ってた。


「どうして、ですか……?」

「……こんなのやっぱりおかしいんだよ」

「おかしい?何がですか?」

「女の子同士で付き合うとか。若気の至りだったんだ……」

「若気の至りって……でも私は本当に先輩のことが好きで!」

「それに私、子供欲しいし……」



その言葉が、何より胸に突き刺さった気がした。

必死で泣くのを我慢した。本当に私は好きだった。どんな理由でも、自分が抱いたこの気持ちは嘘ではない。その証拠に、こんなにも胸が締め付けられるほどに苦しかった。

それからは先輩とは会っていないし、一切連絡もとっていない。

だからか、あの二人の恋愛を人ごとだとは思えなかった。

自分のようにはなって欲しくなかった。あんな辛い思いをするのは私だけでいい。

だから、私はお節介のように背中を押した。

将来的に攻められてもいいから、今、この子たちが笑ってくれればそれで……


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