表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
歌詞(こころ)から掬いあげる言葉(きもち)  作者: 暁紅桜
5章:秋離れ、彼女と感じる冬の熱
139/146

5−34話:空 side

しばらくして、ステージの方ではリハーサルが始まった。

エントランスに設置されているモニターにはその様子が移されていて、先輩の姿が映っている。

ライブが始まる時間までまだ随分と時間がある。エントランス内はガラリとしていて、人の出入りは会場のスタッフだけ。


「ほい、カフェオレ」

「あ、ありがとう」


お姉ちゃんが差し出してくれたカフェを受け取ると、一口だけ口に運ぶ。

暖かなカフェオレは、少しだけ暖房がついているここでは熱く感じる。


「仕事はいいの?」

「少しだけ休憩もらったから大丈夫大丈夫」


自分用にと用意した珈琲を飲みながら、お姉ちゃんはモニターの方に目線を向ける。


「いい表情してるね、雪凪せつな

「そう?いつも通りだけど」

「幸せオーラ出まくってる感じ。随分楽しかったみたいね」

「……うん、楽しかったよ」


少しだけ歯切れの悪い私の返答に、お姉ちゃんは首をかしげる。

楽しかったのは楽しかった。だって、先輩と一緒だったんだから。でも、すれ違うカップルを見ていると、本当に自分でよかったのか。そう思ってしまって不安に感じた。

そのせいで、結局プレゼントも渡せなかった。


「……でも、好きなんでしょ」

「うん、大好き」


不安を感じているもの、それでもやっぱり先輩が好きなのは変わりない。

その言葉に、お姉ちゃんはは「答え出てるじゃん」と言って、私の頭に手を乗せた。


「なら、落ち込まなくていいよ。好きなら胸張って、自分が一番なんだ。誰にも奪わせない!そんな気持ちでいな」


優しく頭を撫でられる。とても久しぶりにお姉ちゃんに撫でられた気がした。不思議と、先輩とは違う落ち着きを感じる。


「それに、自分の恋人は誰よりもかっこいい。そう思えば、男なんかよりも魅力的に相手を見れるよ」


不思議と、その言葉には説得力を感じた。

というよりも、それはまるで……



「お姉ちゃん?」


私が何か感じ取ったのに気づいたのか、お姉ちゃんは苦笑いを浮かべながら話してくれた。

誰も知らない、当人同士だけが知ってる、若気の至りという名の、儚い恋……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ