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歌詞(こころ)から掬いあげる言葉(きもち)  作者: 暁紅桜
5章:秋離れ、彼女と感じる冬の熱
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5−31話:空 side

「はぁ、猫カフェよかったね」

「ですね。ふわふわで可愛かったです」


雑貨屋にカフェ。それから猫カフェ。先輩と時間が許される限り一緒にいろんなところを回りたい。暖かいところでも、寒いところも。


「次どこ行こうか」

「そうですね」


だけど、ふと瞬間に考えてしまう。

特に今日はそうだ。周りにそれが多い……。


空色くしな?」

「……なんでもないです」


私と先輩は付き合ってる。だけど、視覚的にそれを認識されることはない。世間一般的なカップルというのは、男女をだから。

お父さんとお母さんからは女の子同士でも構わないと言われたけど、心の何処かでは不安を拭いきれない。


「あ、この雑貨屋。この前テレビで紹介されてた」


先輩は、本当に女の子でいいのか……私で、いいのかな……

もやもやと心の中を不安が押し寄せてくる。


「空色、行こう」

「……はい」


それでもやっぱり、大丈夫だって思いたい。気にしちゃダメだって。そう、思いたい……。



気づけは、もう日が傾き始め、先輩のリハーサルの時間になってしまった。

今日行われるライブは、お姉ちゃんのバイト先。事前にリハーサルのこともあるから時間になったらここでお別れの予定だった。


「早いね。あっという間だ」

「そうですね」


色々余計なことを考えていたせいもあって、先輩にクリスマスプレゼントも渡せなかった……本当に、何してるんだろう……


「じゃあ私は、また後できますね。リハーサル頑張ってください」


ちゃんと笑えていたかはわからないけど、私は精一杯の笑顔を向ける。

本当はもっと一緒にいたいけど……寂しいけど……これは私のわがままだ。


「先輩?」


だけど、先輩は一向に私の手を離さなくて、そのまま繋いだままライブハウスの中に入っていく。



「あ、あの……」

「このまま離れるのは、やっぱり寂しい」


振り返った先輩は、苦笑いで私の方を向く。その表情からは「迷惑だったかな?」って言ってるみたいだった。

そんなはずない。だって、私だってそう思ってた。離れたくないって……もっと先輩といたい……。


「私も、寂しかったです」


やっぱり、ちゃんと言葉にしないと伝わらないよね……わがままだって、迷惑だって思っても……ちゃんと、先輩に伝えたい。




あぁ……やっぱり、先輩が大好きで仕方ない……


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