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歌詞(こころ)から掬いあげる言葉(きもち)  作者: 暁紅桜
5章:秋離れ、彼女と感じる冬の熱
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5−29話:雪 side

「ヒエムス、気持ちいい?」

「はぁ……」


浴室に響く氷華ひょうかのヒエムスを洗う音と、抱きかかえている霜汰そうたが水をバシャバシャする音が響く。

私はただ呆然と天井を見上げてぼんやりと考え事をする。

今日が終われは明日がくる。明日はライブ本番ではあるが、その前に空色くしなとのクリスマスデート。気持ちがひどくそわそわする。一緒に出かけるのは初めてではないのに、毎回毎回、空色と出かけるときはドキドキして仕方ない。


(明日、どんな服着てくるんだろう……)


空色も、今の私と同じように明日のことを考えてソワソワしてくれているだろうか。もしそうだったら、嬉しいな。


「あう!」

「んっ!」


少しだけ口元が緩んだ瞬間に、顔に思いっきり水をかけられた。

何事かと視線を下に向ければ、不服そうな表情をしている霜汰がいた。


「どうした?」

「ぶー」


まだ言葉が話せない弟は表情と行動で言いたいことを表す。

母がほとんど家にいなくて、お世話は家族みんなでする。その成果、少しだけこの子が何を言いたいのかわかる。


「ごめんね。ほら、アヒルさん」

「あう」


苦笑いを浮かべながら、私は湯船に浮かぶアヒルを霜汰に渡してあげる。


「雪ねぇ。私先に上がるね」

「ん。あ、霜汰もお願い。長湯になるから」

「わかった」

「しっかり拭いてあげてね、二人とも」

「任された」


抱きかかえていた霜汰を氷華に渡し、浴室を出て行く三人を見送る。

ふっ……と一息をつくと、また天井を見上げる。


「明日、何着て行こうかな」


それから30分ぐらい、湯船に浸かっていた。


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