表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
歌詞(こころ)から掬いあげる言葉(きもち)  作者: 暁紅桜
5章:秋離れ、彼女と感じる冬の熱
131/146

5−26話:空 side

「えー、であるからして」


時間はあっという間に過ぎて、今日は二学期の終業式。

夏の時とは違って、今度は冬ということで体育館は寒くて、生徒たちは前の生徒にすがるようにして座っていた。


「うぅー……寒ぃー」

「ちょっ!どこ触って……」

「ほっこりぃ」


先生たちは咎めたりしなくて、むしろその様子にくすくすと笑みを浮かべていた。


「はぁ……あったかい……」

「よかった。私結構体温高いよ」

空色くしなちゃんもあったかーい」


私も寒くて前の子に許可をもらってくっついている。もちろん後ろの子にも抱きしめられているから、サンドイッチの具のように挟まれている状態。すごく暖かい。


氷華ひょうかちゃん、大丈夫かな?)


ちらりと、私よりも少し離れた前の方に座っている氷華ちゃんに目を向ける。

前の子を勢いよく抱きしめていて、そんな姿に後ろの子があたふたしてる。

前に、冬生まれだけの寒いのは苦手だと言っていた。

その話を先輩にしたら、家族で一番の寒がりだと笑って話していた。


(……先輩も、同じようにしてるのかな……?)


先輩のことを思い出した瞬間、頭の中に疑問が浮かぶ。

当たり前のように、前の子を抱きしめたり、抱きしめられてるこれだけど……普通は女の子同士のスキンシップみたいなもの。だけど……恋人が自分じゃない相手にしてる、されてると思うと、心がもやもやする。


(嫉妬、かな……)


先輩が聞いたら喜んでくれると思うけど、私は自分の心の狭さを感じるからあまり抱きたくはなかった。

まだ続いている先生の言葉を聴きながら、視線を上級生の方に向ける。

上級生は、すっかりこの寒さにも慣れているようで、私たちみたいに抱きしめあってる生徒はいなかった。

そのかわりなのか、随分とタイツを履いている生徒が多い気がした。寒さ対策かな?

たくさんいる上級生の中から先輩を探す。見つけた先輩は、近くの同級生と何かを話していた。

その様子を見て少しだけホッとした。よかった、ほかの人に抱き付いてなかった。


「これで、終業式を終了します」


長い長い終業式がやっとお終わり、私たちは暖かな教室を目指す。

渡り廊下を吹き抜ける冷たい風が体にあたり、私たちはお互いを温めながら移動する。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ