5−24話:空 side
「はい、そこまで」
秋の終わりがけ、11月下旬。
体育祭が終わって一息つく暇もなく、すぐに2学期の期末テスト期間に入った。
体に少しだけ疲れを残しながら、少しずつ頭を動かしながら、テスト当日を迎えた。
チャイムがなって一拍おいて、先生が終了の声をかけると同時に一気に緊張の糸が切れる。
「はぁ……」
「特に連絡事項もないから、今日はもうこのまま終わりね。部活がある子は部活にそれ以外の子はまっすぐ帰りなさいよー」
ホッと一息をつけば、手短な先生の言葉。
クラスメイトたちは口々に「テストどうだった?」「やっと終わったぁ」などと期末テストが終わってどこかホッとしたような感じだった。
テスト期間は部活はお休みで、その期間に当然今日も含まれているから今日までお休み。
「どうしようかな」
ぼんやりと窓の外を眺める。今日は4限目までテストがあったけど、他の学年は3限で終わりというクラスもあった。確か、雪凪先輩も3限で終わりって言ってたっけ。
「くーちゃーん」
不意に名前を呼ばれて振り返ると、そこにどこか満足げな表情を浮かべる氷華ちゃんの顔があった。
あー、テストよかったみたいだな……なんだかんだ、氷華ちゃんって顔にでるよな。
「今日部活は?」
「今日までお休みだよ」
「氷華も!ねぇねぇ、一緒に帰ろ」
「うん、いいよ」
まだ数名教室に残っている中、私は氷華ちゃんと一緒に帰った。
帰り道はテストの話はもちろんだけど、最近の先輩のことも話した。
「雪ねぇホント忙しそうなんだ」
「テストも無事に終わったし、クリスマスライブの練習に力入れる感じだね」
クリスマス当日。先輩はお姉ちゃんがバイトしているライブハウスでライブをするらしい。とはいっても、いつものサポート参加で、メンバーは先輩と初めて顔を合わせたあのライブでのメンバーさんたちと。
「当日は、ライブまで一緒にいるんでしょ?」
「うん。イヴは家族で過ごして、クリスマスは一緒に、かな」
当日はリハーサルもあるから、一緒に居られるとは言ってもすぐにお別れしてしまう。少し寂しいけど、先輩のライブが見れるならそれで許すとしよ。うん。
「くーちゃんニヤニヤしてる」
「え、うそ!」
「嬉しそぉー。あ、そうだ。プレゼントは順調?」
「う、うん。なんとか当日には間に合いそう」
クリスマスプレゼント。色々考えたけど、手作りのマフラーを送ることにした。手作りは重いかなって思ったけど、お姉ちゃんやお母さん、氷華ちゃんが背中を押してくれて、今頑張って作ってる。
「喜んでくれると嬉しいなぁ」
ドキドキと胸が高鳴る。
プレゼントを渡した時、先輩はどんな顔をしてくれるかな……




