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歌詞(こころ)から掬いあげる言葉(きもち)  作者: 暁紅桜
5章:秋離れ、彼女と感じる冬の熱
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5−18話:空 side

「はぁ……」


大変だった体育祭が終わった。

最後のリレー、雪凪せつな先輩が1位だったから私たちのブロックが総合1位を取った。で、うちの学校はMVPが一人選ばれる。それに、雪凪先輩が選ばれた。


「やっぱり先輩すごいな……」


あ、ちなみにイラストの賞みたいなものがあって、それに氷華ひょうかちゃんが選ばれた。姉妹揃ってほんとすごい。


「あーあ、やっぱり私は何もできないな……」


体育祭の片付けが済んだ後、先輩たちと一緒に帰ろうと思ったけど先輩の家族が来るまできていて、そのまま一緒に帰って行った。私も「送ろうか?」と言われたけど断って一人で帰った。送ってもらうほどの距離じゃないし。

帰って、私はすぐにお風呂に入っている。現在進行で。

お風呂に入っているとほぼ虚無状態になるため、ぼんやりと天井を見上げる。

なんだかんだ大変なことがたくさんあったけど、なんだかんだ楽しかった。

内容を思い出そうとするけど、浮かぶのはどれも雪凪先輩の姿だった。


「先輩……かっこよかったな……」


先輩のことを考えると口元が緩む。特にリレー後のあれは……


《ありがとう》


思い出した途端、心臓が激しくなり、私は勢いよく顔の半分まで湯船に使った。

だめだ……やっぱり先輩のこと考えると胸がドキドキする……うぅ……私どれだけ先輩のこと好きなんだぁ。恥ずかしい……


空色くしなー、いつまで入ってるの?」

「っ!い、今上がる!」


いつの間にか随分長湯してたみたいで、私は慌ててお風呂から上がった。

体と髪を拭いて、ある程度乾かしてリビングに行く。


「あ、空色。ちょうどよかった、こっちにいらっしゃい」


なぜかリビングには家族全員が揃っていた。お父さんに至っては、随分と難しそうな表情をしてる。


(あ……)


私はあることを思い出した。

それは、今日の体育祭のこと。先輩が、両親に私たちが付き合っていることを話したということだ。きっと、そのことについての話だ。


「う、うん」


きっと怒られる。別れなさいって言われるかもしれない。

そんな嫌なことを考える。別に両親のことを信じてないわけじゃない。だけどどうしてか、きっとあまりいい顔をしてくれないだろうと思っていた。


「空色、体育祭の彼女……如月さんと付き合っているというのは本当か?」


内心、「やっぱり」と思いながら、私はコクリと頷いた。

「詳しく話せるか?」とも言われたので、私全部を話した。

隣では、お姉ちゃんが私を落ち着かせるように、手を握ってくれている。向かい側に座っている両親は、ただ黙って話を聞いていた。


「なるほどな」


全部話し終わると、お父さんは一言だけそう言って、テーブルに置いていたコーヒーを一口だけ飲んだ。

お母さんは、何も言わなかった。


「空色」

「は、はい!」

「明日、如月きさらぎさんを家に招きなさい」

「…………え?」


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