5−7話:雪 side
「ただいまー」
「ん、雪ねぇおかえり」
「あー」
いつも通りの帰宅。
帰路は空色のことを考えて、ちょっとだけニヤニヤが止まらなかった。
たくさんのことを考えていると、あっという間に家についた。
玄関先のヒエムヒがお出迎えをしてくれて、ひとしきり頭を撫でて中に入った。
すでに氷華とお父さんは帰宅しており、台所ではおばあちゃんが晩御飯の用意をしていた。
「お母さんは、仕事?」
「うん。体育祭も無理そうだって」
「あー……そうなんだ」
体育祭は絶対に観に行く!ってお母さん言って、お仕事頑張ってたみたいだけどやっぱり無理だったか。
ま、来年もあるから大丈夫だし、仕事なら仕方がない。
「安心しろ。その分、父さんがしっかりお前らの活躍を撮ってやるから!」
さっきから何かゴソゴソしてるなと思ったら、お父さんはビデオカメラの調節をしていた。張り切ってるなぁ。
「二人の好きなもの、たくさん作ってあげるからのぉ」
「やったー!氷華、おばあちゃんの作った卵焼きがいい!!」
「はいはい。たくさん作るからのぉ」
パタパタとおばあちゃんに駆け寄って行く氷華。
その分。と二人はよくしてくれるけど、やっぱり家族みんなで集まれないのは寂しい。
「あー、う」
「ん?どうした霜汰」
腕の中にいる霜汰が必死に手を伸ばしてくるので、少しだけ顔を近づければ、私の頬に手が触れる。すると、すごく嬉しそうに無邪気に笑う。
その顔があまりにも可愛くて、なんか元気が出る。というか癒される……
「お前はかわいいな」
「あー、うー」
「雪ねぇ、氷華はー?」
「うわっ!びっくりした」
「ねー、氷華はー」
「あー、はいはい可愛い可愛い!」
「えへへっ。やったぁ」
少しだけ雑に頭を撫でてあげるけど、そんなのどうでもよく、ただ撫でられたことが嬉しそうに笑みを浮かべる氷華。ホントにこの子は……
「お母さんのためにも、明日は頑張らないとだね」
「目指せ、1位!」




