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歌詞(こころ)から掬いあげる言葉(きもち)  作者: 暁紅桜
5章:秋離れ、彼女と感じる冬の熱
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5−3話:雪 side

競技決めからしばらくして、午後の授業が全て体育の授業に当てられるようになった。

グラインドで、今は各ブロック割り振られた場所で練習を行っている。

私は綱引きにも出るけど、今はリレーのバトン私の練習をしている。

ブロック対抗リレーは各学年二人ずつの計6人。1人、グラウンド半周を走りきるもの。


如月きさらぎさん足早いね。本当に帰宅部?」

「あはは、体は動かしてるからね」


一緒に対抗リレーに出る同学年の子とは面識は全くなかったけど、なんだかんだ仲良くなった。この子は私と違ってバリバリの運動部。この子だけじゃなくて、他のメンバー。1年生や3年生も運動部で、みんな足が速い。私、なんでここにいるんだろう……


「如月さん、もう少し腕あげられる?」

「あ、はい。低かったですか?」

「二人身長差あるからねー」

「でもでも、身長らかくて羨ましいです!」

「私もそう思います!」


でも、みんないい人でよかった。運動部に入ってないのにここにいる私に対して嫌悪感は抱いてないみたいだ。


「それじゃあ10分だけ休憩しようか」


3年の先輩の言葉で、他のメンバーは水を飲みに行ったり、その場に座り込んだりと各々休憩をする。

私も少し休もうと思ったけど、折角なら日陰がいいし建物の方へ行こうかな。

グラウンドではたくさんの生徒が体育祭の練習をしてるけど、校舎の方にも人はいる。


「あ、ゆきねぇー」


不意に名前を呼ばれて振り返ると、視線の先には大きく手をふる氷華ひょうかの姿。その隣には、軽く会釈する空色くしなの姿があった。


「ご苦労さん。なにしてんの」

「色ぬり」


大きな木の板。生徒たちが座るスタンド後ろに飾られるブロック絵。その色ぬりを二人でしているようだ。正確には他にもメンバー入るそうだが、水を汲みに行ったり、足りなくなったペンキを取りに行ったりしているらしい。


「それ、氷華がデザインしたでしょ」


絵を見た後そう尋ねれば、氷華はなにも言わずに親指を立てる。少し、どやってるようにも見える。


「ん。空色、顔にペンキついてるよ」

「えっ!」

「あ、ホントだー」

「ど、どこ!?」

「動かないで、拭いてあげるから」


アワアワする空色を落ち着かせ、顔についてるペンキを拭った。

まぁでも、ペンキだからなかなか落ちなくて、強くしようと思ったけど空色が痛がるかもと思うと、力も込められない。


「あ、いた。如月さん、練習再開するよ」


遠く、私を呼ぶ先輩の声が聞こえた。気づけは休憩時間はとっくに終わっていたみたいだった。


「ごめん、私行かないと」

「あ、先輩ハンカチ!」

「いいよ、持ってて」


そう言って。私は急いで先輩の元に戻った。


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