5−2話:空 side
「空色」
長い授業が終わって、部室に向かう途中で先輩に声をかけられた。
まさか会うなんて思ってもいなかったら、顔が見れてすごく嬉しかった。
「帰るんですか?」
「うん。今日バイトだからね」
そっか。じゃああんまりここでお話とかは出来ないな……ちょうっと寂しいな。
「そうなんですね、頑張ってください」
「うん、ありがと」
このまま「それじゃあ」っていうのも寂しくて、何か話題をと思って考えた。
「あ、そういえば同じブロックですね」
「そうだね。頑張ろう」
「はい。先輩はなにに出るんですか?」
「私は綱引きと対抗リレーだよ」
ブロック対抗リレーは各クラスで一番足が速い人が選ばれる。
先輩が選ばれたなんて、なんだかすごく嬉しい。
「すごいですね!私、応援してますね!」
「ありがとう」
私も自分の種目を言おうとしたけど、なぜか先輩は私が出る種目を知っていた。
理由は明白だ。きっと氷華ちゃんが教えたんだ。
私の口から言いたかったのに、ひどいな……
「っと、私はそろそろ行くね」
「あ、はい。頑張ってください」
「空色も部活頑張ってね。またお菓子楽しみにしてる」
軽く手を振り、私は先輩を見送った。
遠くなって行く先輩の背中。ちょっと寂しいけど、顔を見れただけでも元気でた。
「よし、部活行こう」




