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歌詞(こころ)から掬いあげる言葉(きもち)  作者: 暁紅桜
4章:夏は溶け、秋空に歌う彼女の恋
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4−45話:雪 side

「お邪魔しました」


朝食を食べ終えて、少しだけのんびりしているとおばあちゃんが帰ってきた。

そのタイミングで空色くしなが「私はそろそろ帰りますね」と言った。

もうそんな時間かと、少し寂しく思いながら私は「うん」と頷いた。


「またいつでも遊びに来ておいで」

「はい、ありがとうございます」

「くーちゃんまたね」

「あー」


各々、一言ずつ空色に挨拶をする。

私は、このまま空色を最寄り駅まで送ることに。まぁ単純にまだ一緒に居たいからなんだけどね……


「どうだった、お泊まり」


道中、会話する内容もなくて、私はそう尋ねた。すると、少しだけ恥ずかしそうに「そうですね」と答えてくれた。


「誰かの家に泊まるのは緊張しました。だけど、先輩の家族は皆さん優しくて、暖かい人で本当によかったです」


心の底からホッとしたような表情を浮かべる空色。

まぁうちの親は特に難しい、偏った考えとかはないから心から受け入れてくれたんだけどね。寧ろ、私や氷華とは違うタイプだから、お母さんもお父さんもおばあちゃんも嬉しそうにしてたな。


「それに、先輩と一緒にいられたのも、嬉しかったです」

「ん、何か言った?」

「い、いえ!何でもないです!!」

「えー、気になるなぁ」

「うぅー、本当に何でもないんですぅー」


そんな風にいつもとはちょっと違うやり取りをしながら歩いていると、あっというまに最寄り駅。そういえば、普段とは立場が逆だな。いつもは、私が空色に最寄り駅まで送ってもらって……


「それじゃあ先輩、また学校で」


あぁ、見送る側はこんなにも寂しいのか。

普段何気なく別れてるけど、いざ自分がその立場になってよくわかる。すごく寂しい……


「うん、また学校で」


お互いに控えめに手を振り、空色はそのまま改札をくぐる。

ホームに行く階段の前、振り返った空色は笑顔を浮かべて階段を登る。

その、不意に見せた笑顔がひどく可愛くて、私はその場に座り込んでしまった。


「可愛いなぁ」


ちょうどいいタイミングでベルがなり、私の声は打ち消され、周りの人の耳には届かなかった。


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