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にゃんにゃん冒険隊 [事件解決!]  作者: みらい
第一章 爽やかな風と共に
9/106

第九話 あの人とのすれ違い

オバケ…?

(お、おおおお…オバケ…?)

ミケはとっさにドアの方を見ながら、青ざめた顔でプルプルと震えていた。

キィ。ギギィ。

(来る…!)

ミケは、ドアをじっと見つめていた。

ギィィィィィッ

ドアが開いた。

「ミギャァァァァァァァァァッ!」

ミケは思わず大きな声で叫んでしまった。


その声にびっくりしたのか、モモが飛び起きた。

「わっ!」

モモはそう言って、ミケの方を寝ぼけた目でじっと見つめ、ミケの目線の先を辿って見た。


ドアの向こう側にいる何かもピタッと止まった。

キィ。

ドアが閉まった音がして、ミケは「ホッ」とした。


「ど、どうしたの?いきなり叫んで。」

モモは、寝ぼけた目をゴシゴシこすりながら、そう聞いた。

「あ、起こしちゃってごめん!な、なんでもない…よ?」

モモが起きていたことに気付いたミケは、ドアの方をチラチラ見ながらそう言った。

「ふーん。そうなんだ?」

モモは、そう言って、布団の中にもぐった。


「バァッ!!」

モモが布団の中から勢い良く出てきた。

「ミギャァッ!!!」

ミケは、また大きな声で叫んでしまった。

「ふふっ」

モモは、そう笑い、「何かあったんでしょ?」と言って散らかった布団をきれいに戻した。

ミケはモモに見抜かれて、思わずごくんと唾を飲んだ。

「で、何があったの?」

モモは、そう言ってドアの方をチラッと見た。

「実は…。」

ミケは、そう言ってドアの方に向いた。


「ドアの…。」

ミケがそう言った瞬間に、スタスタと足音が聞こえた。

二匹は青ざめて、プルプルと震えながらドアの方をじっと見た。

「なに…?おばけ…?」

モモは、ミケの方を横目で見ながらそう言った。

ミケは、怖くて動けないまま、「分からない…」と言った。


その時だ。

ギギギギ。ギィィィィィ。

またドアが開き始めた。

「わっ!」

モモは、ドアの開く音にびっくりし、思わず声が出た。

「どうしよう…。」

二匹はそう言い合いながら、二匹は怯えて、ひっついた。

ギィィィィィ。ギッ。

ドアが開いた。

大きな影が見えた。


「ギャ、ギャァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!」

二匹息ぴったりでそう言った。

「に、にゃ。」

子猫の声が聞こえた。

「え…?」

二匹は閉じた目を恐る恐る開けると、そこには成田と、子猫六匹がいた。

「な…なんだ…。」

二匹は「ホッ」として、二匹顔を見合わせた。


成田は、部屋の電気をつけ、子猫をミケ達のところに下ろした。

「あ、驚かせてごめんね。この子達もよろしくね。」

成田は、ミケとモモの顔を見ながらそう言った。

「はーい。」

ミケとモモはそう言って、子猫の方を見た。

「きちんと治療したからもう大丈夫だよ。でも、一応、なめたりはしないでね」

丁寧に説明をすると、急いでどこかに行ってしまった。


「これ使って!」

そう言って、成田は子猫の毛布を持ってきた。

「成田先生!急患です!」

美咲らしい声が聞こえた。

「はい!すぐ行きます!」

大きな声でそう言った成田は、「後はよろしくね!」と、電気を消すと部屋から出て行ってしまった。


ミケとモモは、「どうすればいいの?」と思っていた時だった。

「う…うーん、なんじゃ?」

二匹の声に気が付いたのか、ごましおが起きてきた。

「おぉ、ミケとモモ、何をしておるんじゃ?」

ごましおは、目を「ゴシゴシ」こすりながらそう言った。

「実は…。」

ミケとモモは、今までの話を一通り話した。

「そうじゃったのか。

 ほんならワシも手伝うわい。」

そう言って、ごましおは子猫の布団を鼻で押して整えた。

その様子を見ていたミケとモモは、一匹ずつ子猫の首を咥えて連れて行き、寝かせた。


「よし!これでオッケー!」

ミケは、子猫達を寝かしつけた後、そう言った。

「じゃ、寝ますか。」

モモはそう言って布団の中に入った。

「おやすみ〜。」

三匹はそう言い合って、眠りについた。



「ふぁぁぁ、朝かー。」

ミケはそう言って背伸びをした。


実は昨日、成田から「ミケちゃんたちも、健康かチェックするからね。朝に診察するから、早めに起きておいてね」と言われていた。

だから、ミケにはみんなを起こす義務があるのだ。


「モモたーん、起きてー!」

ミケは、モモの体をポンポンと突き、モモを起こした。

「ん?ふぁぁぁ、朝だ。ミーちゃん、おはよー。」

そう言ってモモは、布団から出て、水を飲み始めた。

「おはよー!」


ミケはそう言った後、ごましおを起こした。

「朝だよー!」

ミケがそう声をかけると、ごましおは「ムクっ」と起き上がり、「おぉ、朝か、おはよう」と言ってトイレに行った。


ミケは、マロを起こしに体をポンポン突いたが、爆睡していてなかなか起きなかった。

その様子を見ていたモモが、「あ、ミーちゃん、マロはモモに任せて!」と言い、マロのすぐそばにやってきた。

「うん!ありがとう。」

ミケはそう言って、水を飲みに行った。

「マーロッ!」

モモは、そう言いながら、マロに猫パンチした。

「ウギャァァァァァァァァッ!」

マロは涙目になりながらも「お、おはようごじゃいましゅ…。」と挨拶をした。

「あ、あはは…」

それを見たミケは、苦笑いしながらも喉を潤した。


ミケは、その後子猫の所へ様子を見に行った。

まだぐっすり寝ているようだ。

「ワンワンワンワンワォーン!」

朝食の知らせのために、ごましおが吠えてしまった!

「子猫ちゃんが起きちゃう…!」

ミケは、そう言い、子猫の方を見た。

「あ、あ…。」

子猫ちゃんが小さな声で喋った。

「!」

ミケは「起きちゃった。」と思うと同時に、喋ったことに感動した。

「子猫ちゃん…喋った!」

ミケがそう大きな声で言うと、ごましおとマロとモモは一斉に振り返った。

「え、嘘!?」

モモは、子猫が喋ったことにびっくりし、すぐに駆け寄ってきた。

「え、子猫ちゃん!?」

マロは、子猫のいることも、喋ったことにもびっくりしているようだった。

「成長したのぅ。」

ごましおは、そう言いながら、こっちにゆっくりやってきた。

呆然としていたマロも、「ハッ」として子猫のところに駆けつけてきた。


すると、「ご飯だよー!」と、足音と共に声が聞こえてきた。

美咲と美雪が四匹のご飯を持ってきた。

「子猫ちゃんはこっちでミルクを飲ませるからね〜」

美咲はそう言って、四匹のご飯を美雪に任せ、子猫をかごに優しく入れて、出て行った。

その間に、美雪は四匹の前にご飯を丁寧に置いて、水の補充をして、「ゆっくり食べてね」と言うと、出て行ってしまった。


「じゃあ、いただきまーす!」

四匹は声を揃えて、一斉に食べ始めた。

「おいしいね!」

ミケはそうモモに言った。

すると、二匹は、昨日と今日でちゃんと味付けが変わっていることに気付いた。

「そうだね!」

モモはそう笑顔で言った。


「ごま爺ご飯美味しいね!」

マロはご飯を頬張りながらそう言った。

「そうじゃのう。美味いの。」

すると、二匹も昨日と味付けが変わっていることに気付いた。


「これって、昨日と味付け変わってない?」

マロ、モモ、ミケは揃ってそう言った。

三匹は、顔を見合わせ、思わず「ぷっ」と吹き出し、「美味しいね」と笑い合った。


「子猫ちゃんたちのミルク、美味しいんだろうなぁ!僕も飲みたい…」

マロは、ご飯を頬張りながらそう言った。

「コラ、ダメでしょマロ!」

「全く…」と呆れ気味にモモは注意した。

「え〜?」

マロは残念そうに言った。

そんな二匹を見ていたミケとごましおに、笑みがあふれた。

四匹は、いっぱい笑みをこぼしながらご飯をお腹いっぱい食べた。


「ごちそうさまでした!」

四匹息ぴったりでそう言い、ごましおが知らせに「ワンワンワンワンワォーン」と吠えた。

すると、美咲と美雪が子猫たちを連れてやってきた。

「食べ終わったのね。今度はマロくん、モモちゃん、ミケちゃん、来てね」

どうやら子猫たちはミルクをお腹いっぱい飲みきったらしい。

「え、僕たちもミルクもらえるのかなぁ?」

「違うでしょ」

二匹はそんな会話をしながら美咲に、ミケは(診察か…痛いのかな?)と思いながら美雪に抱かれた。

「じゃあごましおくん、子猫ちゃんたちをよろしくね」

そう言うと、二人は診察室へと向かった。



プルルルルルップルルルルッ

電話がかかってきた。

成田は電話を手にすると、「もしもし、成田病院の成田です。」と答えた。

「もしもし、陽湖です…」

電話をかけてきた相手は陽湖だった。

「あ、陽湖さん!どうしましたか?」

成田は、明るい声でそう言った。

「実は…。仕事が長引いてしまって、今日マロ達を迎えに行けそうにないのですが…」

陽湖がそう気まずそうに言った。

「あ、全然いいですよ!お仕事頑張ってください、また来られる時にはお電話お願いしますね!」

成田はそう伝え、電話を切ると、「コンコン」とノックに気付いた。



「成田先生、マロくん、モモちゃん、ミケちゃんを連れてきました。」

美咲の声に、「はーい、入ってきて〜」と声を掛ける。


「えぇ!?僕たちどこも怪我してないよ?」

マロは「痛いのやだー!」と暴れ出す。

そんなマロに、成田は「大丈夫、怖くないよ。」と微笑みながら一匹ずつ丁寧に診ていった。


「うんうん、みんな特に異常はないね。でも、ミケちゃんは耳を少し擦っちゃってるから、消毒して、ガーゼを巻いておこうね」

成田はそう言って、用意をし始めた。


カラスと戦った時、三匹は吹き飛ばされたが、うまく受け身を取ったのだろう。

それと、秀夫と春子の治療のおかげもあって、特に異常はなかったのだ。


成田は慣れた手つきでミケの耳をキレイにし、何か塗り薬を塗った後、傷口をガーゼで覆った。

「ありがとうございます!」

ミケはそう言うと、「ニコッ」と微笑んだ。

「早く良くなるといいね」

成田も微笑むと、「そうだ!」と何かを思い出した。


「陽湖さんのことだけど、お仕事が長引いちゃって、今日までに帰ってこれないから、今日もここに泊まっていってね。」

成田は申し訳そうにそう伝えた。

「う、嘘ぉ…。」

モモは、びっくりして、その場に立ち尽くしていた。

「どうしよう…。」

マロも思わぬ展開に頭を両手で抱えた。


でもミケだけは違った。

“ピピピピピピッ”

ミッションが発生しました。

【今の間に、九郎兵衛達に伝えないといけないことを伝えてこい。】

また頭の中の声だ。

(分かりました。)

まただ。

勝手にオッケーしちゃった…。

(でも仕方がない!この頭の声は確かに正しい!じゃあ、九郎兵衛達のところに行こう!)

ミケはそう思い、マロ達に提案をした。


「じゃあ、飼い主さんが帰ってくるまでまだ時間がたっぷりあるから、その間に九郎兵衛達のところに行かない?」

ミケはみんなにそう言った。

「う〜ん…、そうだね!ここにいても暇だし」

マロとモモも賛成し、三匹は密かにアイコンタクトをして頷いた。


「ごめんね、ごましおくんたちと遊んでてね」

美咲と美雪は、そう言うとごましおたちがいる部屋へと三匹を連れて行った。


「ただいまごま爺!」

三匹は声を揃えて言った。

「おかえり。どうじゃったか?」

ごましおの問いに、マロは「健康かどうかチェックだった!みんな大丈夫だった!」と元気に答えた。

「そうかそうか。ならよかったわい。」

そう言うと、ごましおは安心したように「はっはっは」と笑った。


「そうそう、ごま爺!ミケたち、九郎兵衛の所に行ってくるよ。マロくんモモちゃんの飼い主さんが今日までに迎えにこれそうにないから、今のうちに伝えてくるよ」

ミケが説明すると、「おぉ。そりゃあ助かるわい。」とごましおが言った。

「わしはここで子猫の世話をしておくから、安心して行ってこい。」

ごましおはそう言ってドアの所までお見送りし、「また後でね!」と言いあった。

(この病院の者に見つからんといいけどのぉ。) 

ごましおは、そう思いながら、三匹が見えなくなるまでその場にいた。



「よし!じゃあ、出発〜!」

ミケはそう言って、受付の看護師がパソコンを見ている隙を見計らって、成田病院の自動ドアをくぐった。ー。

「出発〜!」

マロとモモも、ドアをくぐりながらそう言った。

「目的地は〜…ネコ商店街だよね!」

ミケはそう言い、ネコ商店街のある方を見た。

「そうだね。せんべえ屋だよね。」

モモはそう言いながら、ミケの目線に合わせた。

「じゃあ、ネコ商店街のせんべえ屋にいざ、出発〜!」

マロはそう言って、ネコ商店街の方を向き、握り拳を大空に挙げた。


「いざ、出発進行!」

ミケは、これから行く場所がどんな所なのかを話すことにした。


「じゃあ、これからネコ商店街は、どんな所かを話すね!」

ミケは二匹の顔を見ながらそう言った。

「うん!」

二匹が元気な声で答えたと言うことで、早速ネコ商店街について話すことにした。

「猫商店街はね、すっごく賑やかで、猫も、人もいっぱいいるし、お店もたくさんあるんだよ!」

ミケはネコ商店街の1番の特徴をまず言った。

「へぇ〜。なんか楽しそう!」

モモは、ネコ商店街を妄想しながらそう言った。

「楽しみ〜!」

マロもウキウキした声でそう言った。

「あ、九郎兵衛達がいるせんべえ屋はね、商店街のだいぶ奥にあるんだよ!

 だから〜、ここから結構遠いかな!」

ミケが苦笑いしながらそう言うと、マロは「えぇぇぇ〜!」と不満そうな声をあげた。

「お散歩がてらだね!」

マロに対してモモは、嬉しそうに言っていた。



なんだかんだ話しているうちに、ネコ商店街が見えてきた。

「あ、あそこ?」 

マロはネコ商店街をまじまじと見ながらそう言った。

「そうそう!」

ミケがそう言うと、モモは、楽しみになって、走り出した。

「わーっ!早く行こーっ!」

モモは満面の笑みになっていた。

「うんっ!」

ミケはそう言って、大きな猫の仏像を横切った。


その時だった。

「ピ、ピピピピピッ!」

どこからかスズメらしい声が聞こえてきた。

「スズメ…?」

声に気づいたマロは、そう言って辺りをキョロキョロと見回した。

「あ!あそこだ!」

走っていたモモが、立ち止まってスズメを見つけた。

「ほんとだぁ!可愛い!」

ミケはそう言ってスズメの方へと駆け寄った。

スズメは大きな猫の仏像の横にちょこんと座っていた。

スズメは小さく、水色の毛並みが整っていて、くりっとした目が特徴的だ。


「あ、ちょっと待ってー!」

マロとモモは、ミケと後を急いで追いかけた。

「君、名前は?なんでここにいるの?」

ミケはそう優しく声をかけた。

「わ…わたち、名前ないの。」

スズメは下を向きながら、正直にそう答えた。

「そっかぁ。」

後からきたモモは、そう言い、三匹でスズメの名前を考え始めた。

「青い鳥は幸せの鳥………じゃあ…『ハッピィ』はどう?」

ミケが顔をパッと明るくさせ、そう言った。

「いいね!」

モモも、スズメを見ながらそう言った。

話に追いつけていなかったマロも、「ぴったりな名前!」と言って、スズメをまじまじと見た。

「ハッピィ…私の名前は、ハッピィ!」

そう言って、綺麗な翼を広げながら、ハッピィは喜んでいる。

その様子を見て、「よかったよかった。」と三匹は満足げにハッピィを見ている。

「これからどこ行くの?」

ハッピィは首を傾げながらそう聞いた。

「これから、せんべえ屋さんに行くんだ!」

ミケは、そう明るい声で答え、「一緒に来る?」と誘った。

「うん!行く!」

ハッピィはそう元気な声で言い、三匹の真ん中に行った。

「しゅっぱーつ!」

ハッピィはネコ商店街の方を指差して、「チョコチョコ」と歩き出した。

「おー!」

三匹もハッピィに続いて歩き出した。



商店街のど真ん中を歩いているハッピィと三匹は、とても人目がついた。

「わぁ、見てあれ!可愛い〜!」

次々にそう聞こえてくる。

写真を撮っている人もいる。

そんな中、全く気にせずにミケ達は、堂々とせんべえ屋に向かっていた。



ここから後5分はかかるだろう。

「ミケ姉、後どれくらい〜?」

疲れ果てた様子のマロが、そう聞いてきた。

「後もうちょっと!頑張れ!」

ミケがそう言うと、マロは「やったぁ!」と喜びながら言った。

「ネコ商店街って初めてきたけどすごいね!」

モモは、色々な店に興味津々だった。

「そうだね!いろんなお店があってすごいよね!」

ハッピィが笑顔でそう言った。

「うん!」

モモも、思わず笑顔になった。

そんなモモとハッピィの会話を聞いていると、ミケは思わず「ふふっ」と笑ってしまった。


「せんべえ屋さん、見えてきたよ!」

ミケがそう言うと、「ほんとだぁ!」とマロが嬉しそうに言った。

そんな中、誰かがお腹を「ぐ〜っ」と鳴らした。

「えへへ、お腹すいちゃった」

どうやら、ハッピィだったようだ。

「じゃあ、せんべえ屋さんの人にもらう?あそこの人優しいからさ!」

ミケがそう励ますと、「うん!」と元気な声で言った。

「いっくぞーっ!」

そう言ってミケ達は、せんべえ屋まで思いっきり走り出した。


せんべえ屋ののれんをくぐって、「こんにちは〜!」と口々に言った。

すると、「はぁい」とせんべえ屋の奥さん、小春が出てきた。

「九郎兵衛とチビいますか?」

ミケは辺りをキョロキョロ見回しながら、そう言った。

「九郎兵衛とチビ?たった今お散歩に行ったよ?」

小春はそう言いながら、外を見た。

「え!?どうしよう…。」

ミケも、そう言いながら外をチラチラと見ていた。

四匹の困っている顔を見た小春は、「じゃあ、ここで待ってていいよ!」と言って、奥の部屋の個室に連れて行ってもらった。


「あ、ちょうど12時だから、お昼ご飯作ってくるね!」

そう言って小春はどこかに行ってしまった。


「どんなご飯が出るんだろう。パンの耳かなぁ〜。木の実かなぁ〜。」

ハッピィはルンルン気分でそう言っていた。

「僕ドックフードがいいな〜。」

マロはよだれを垂らしながら幸せそうにしていた。

「何言ってるのよ!」

モモはそう言いながら、マロの方を「ジトーッ」と見ていた。


なんだかんだ楽しく話していると、コツコツとお皿のぶつかる音がしてきた。

「これ、お口に合うか分からないけど、どうぞ〜!」

小春はそう言いながら、ミケ達の前に順番に、それぞれのご飯を置いた。

「九郎兵衛とチビが帰ってくるまでここでゆっくりしてってね!」

小春は笑顔でそう言い、ポケットからせんべえを出して、一緒に食べ始めた。


「いただきます!」

四匹はそう言い合って、モグモグとご飯を食べ始めた。


「え!?何これ!食べたことない!美味しいよ!」

ハッピィはそう言いながら、笑みをこぼしていた。

それを見ていた小春も、「フフッ」と笑った。


「美味しい!病院のとは違った味!」

ミケはそう言いながら、興味津々で食べた。

横でそれを見ていたモモも、目を輝かせながら、黙々と食べていた。


「うまいうまいうまいうまいうまい…」

マロはそう言いながら、いつもよりずっと幸せそうに食べていた。

そんなマロの声を聞きながら、モモは、「す、すごい食べっぷり…。」と苦笑いをしていた。

外は風が強まり、「ヒューヒュー」と音を鳴らしていた。



プルルルルルルップルルルルルルッ

「もしもし、成田病院の成田です。」

成田は、急いで電話に出た。

「あ、成田先生?陽湖です。」

電話の相手は陽湖だった。

「どうされましたか?」

成田は明るい声でそう言った。

「実は、仕事が思ったより早く済んだので、今から向かいます!」

陽湖は嬉しそうな声でそう言った後、「よろしくお願いします!」と言うと、電話を切った。

成田は「じゃあマロくん達に伝えないと!」と思い、急いでごましおのいる部屋に向かった。


部屋を覗くと、あることに気付いた。

いるはずのマロくん達がいない。

いるのはごましおと子猫六匹だけだ。

どうしよう、どうしよう。

これは大変だ。

成田は焦るに焦った。



これは…確実に…

すれ違いだ。

完成したら投稿します。

   クイズ

秀夫おじちゃんは、オスのカラスのことをなんていう?


答えは次回!

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