第七十三話 フッの連鎖
いつも読んで下さって、誠にありがとうございます!
前回の振り返り
ごましおは、ゴローがいない事に気がついた!
が、実は隠れていただけだと分かり、ホッと安心した。
一方陽湖たちは、春子たちに帰ってきてもらうため、“毎日電話する作戦”を立てた!
さて、それは大丈夫なのか…。
そして、鶏小屋にいる鶏たちは、コケンの奇声に困っていた。
が、コケンの気持ちを聞いて…!?
今回も楽しんで読んで頂けると、幸いです。
「だがな…ポッくんは、わしの最愛の息子だコケっ。わしの、命よりも大切な、息子だコケッ。だから…いつも思うコケ。わしがこうやって、いつものように歌っていたら、いつものように、ポッくんが帰ってくるかも知れぬと。」
…
いつものふざけた雰囲気(?)を感じさせないコケン。
そんな様子に、周りの鶏たちもザワザワと話し始める。
「そんな風に思ってたのか…。」
「コケン…。まともな所もあるんだな…。」
そんな声が聞こえる中、コケンは青い空を見ながら、「ポッくんよ…。何処にいるコケッ…」と一羽寂しく呟いた。
「コケン…。…悪かった!コケンの気持ちを知らないのにうるさいとか言って…ごめんな!」
一羽の鶏が頭を下げて、謝った。
すると、それを見た鶏たちも顔を見合わせ、「ごめん!」と次々に謝り始めた。
「いや、ワシも騒ぎすぎたようだコケ。もう少し静かに歌うコケッ。」
珍しく折れたコケン。
もしかしたら、ポッくんと離れ離れになり、心細いのかもしれない。
「あ、歌うのは歌うんだ。」
一羽の鶏がツッコむと、何処かで「フッ」と笑い声が聞こえた。
「え?今の誰?鼻で笑うな!」
そうプリプリ怒ると、「フッ、お前じゃん」と、鼻で笑った鶏の、隣にいる鶏が笑った。
「静かにしろって!バレるだろ!」
鶏がそう返すと、また別の場所で「フッもうバレてるだろ」と聞こえてきた。
「っだぁぁぁ〜〜〜!もううるさいうるさい!お前ら鼻で笑わないと会話できねぇのかよ!?」
だんだん鬱陶しくなってきたのか、他の鶏が地団駄を踏む。
「フッ」「フッ」「フッ」「フッ」「フッ」
何と、各地から「フッ」と、鼻で笑う声が聞こえ始めた!
「うあ”〜!やめろやめろ!頼む!頼むから普通に笑ってくれ!いや、笑ってください!」
だんだん頭がおかしくなってきて、一羽の鶏が頭を抱えながらそう叫んだ。
「ハハハハハ」
すると、やっと普通の笑い声が聞こえてきた!
が…。
あまりにも不自然な笑い声に、一羽の鶏がまたもや「フッ」と笑った。
「あ!おい!今の誰だ!やめろ!やめろぉぉ!真似するなぁぁぁ!」
「フッ」「フッ」「フッ」「フッ」「フッ」
「…。もうダメだ。」
一羽の鶏は諦めて、コケンに話しかけた。
「今は辛いかもしれねぇけどよ、実は、今引っ越しを止める作戦をやってもらってるんだ。だから、きっと、すぐにまた向こうに戻れる。そしたら、ポッくんとも会えるさ。」
微笑みながら言う鶏に、コケンも安堵したのか、「お主…。ありがコケッ」と頷いた。
その間にもまだ「フッ」の連鎖が続いている。
「ポッくんに会えたら、まずはワシの自慢の歌声を届けるコケ。そうとなったら、練習コケ!!!」
そう言って思いっきり腹式呼吸を始めたコケンに、鶏は「あ、おい、ちょ、まて!」と止めようとするが…。
「コケッコケッコケッコケッコッコーコケッコケッコケッコケッコッコーコケッコケッコケッコケッコッコッコーー!!!コケーーーーーッッッッ!!」
コケンは歌いきったのだ!!!
「やっぱり嫌い!」
泣きながらそう叫ぶ鶏だったが、歌い切ると同時に「フッ」の連鎖も止まった!
「え?止まった?まじ!?ありがとうやっぱり好き!!」
何ともヘンテコな空間であった。
………
プルルル、プルルル、
部屋中に響き渡る呼び出し音。
「忙しくしてるかしら…。」
陽湖は少し不安そうに呟く。
そう、今日から“毎日電話する作戦”が始まっているのだ!
なかなか出てこない秀夫達に少し不安になりながらも、電話をかけ続ける。
少し離れた場所では、ミケ達がテーブルの足からひょっこりと顔を出して、見守っている。
「ちょっと狭いな!カラら寄って!」
マロがそう言うと、「はいはい。言い出したのはマロだけどなぁ…。」と渋々寄った。
机の下が秘密基地みたいだから、そこでしようと目を輝かせて言い出したのは、マロなのであった。
「みんな!電話繋がったよ!準備はいい?」
そう声が聞こえ、みんな一斉に陽湖の様子を伺った。
「あ、もしもし!春子さん?」
陽湖が背筋を伸ばして電話越しの相手に話をかけると、「もしもし?ありゃ、陽湖さん?どしたん?」といつも通りの声が聞こえてきた。
「うむ、入りよし!」
それを見ていたマロが満足げに頷くと、「誰なのよ」とモモが呆れたように呟いた。
「引越しの方はどうですか?」
陽湖が単刀直入に切り出すと、春子は「今ちーた所よ。だいぶかたぢーたわ(だいぶ片付いたわ)。」といつも通り、元気な(?)方言が健在している。
「様子を見て、ちょっとずつ会話に参加してみよう…!」
ミケは慎重に言うと、みんなの顔を見回した。
「そうだね!」
みんなが頷いた所で、ミケたちは少しずつ声を出してみることにした。
「いやー、今日もいい天気ダナー」
マロがそう言いながらカチコチと歩いて行く。
「いや、どう考えても不自然だろ、あれ。」
カルべはそうツッコみながらも、マロに続いて歩き出した。
「何言ってんだよ、今日は雨だろ」
「いや晴れですけど??今あなたには何が見えてる??」
意味がわからない事を言い始めたカルべに、カラらはそうツッコんだ。
「何言ってんの?今日は晴れだけど?」
カラらの気持ちを代弁してくれたマロ。
皆さん、もうお分かりだろう。
ここから、二匹のじゃれ合いが始まる、と。
「ミーちゃん、あの二匹は放っておいて、モモたちも行こう!」
そう言って笑うモモに、「う、うん」と苦笑いで答えるミケ。
「ま、騒がしいくらいがいいよな。」
鳩ノ介がそう言うと、「だね。多様性でいいと思う。」とポッくん。
「ちなみに英語ではダイバーシティっていうんだぜ!ダイバーシティ!知ってた?なぁ知ってた!?」
「うわ出たー、覚えた言葉すぐ使ってくるやつ」
自慢げに話す鳩丸に、鳩太郎は「はぁ…」と頭を抱えた。
「…この状況で、大丈夫なのかぁ…?」
唯一まともなのは、安定のカラらだった。
………
みんな、ワシじゃ。ごましおじゃ。
いつも通り、みんなの脳内に直接話しかけている。
どうやら今、ワシの飼い主さんが電話をしてるらしい。
もしかすると、ミケたちの所かもしれん。
…つまり、絶好のチャンスじゃ!!!
早速行ってみよう。
「わふ」
ごましおは、とりあえず吠えてみることにした。
「ごまちゃんどしたん?」
微笑みながらそう聞く春子。
だが、春子は椅子に座って電話をしているため、相手の声が聞こえない。
「わふっ、」
ごましおは春子の靴下を引っ張り、地面に座るように促した。
「ま〜、どーしょーるん?」
春子はそう言いながらも、立ち上がった。
「はいはい、ごまちゃんも話がしたいんだと。」
電話越しの相手にそう話す春子に、ごましおは顔を明るくさせた。
「わふっ!わふっ!」
そう言いながらとび跳ねるごましおに、春子は「嬉しげにして」と微笑んだ。
「あら、ごましおくん!元気?」
聞き覚えのある、優しい声。
「おぉ、陽湖さんか。」
ごましおはそうと分かると、「わふ」と返事をし、嬉しさのあまり一周まわった。
「おーい、みんな、ごましおじゃ。聞こえるか〜?」
電話に近づいて聞いてみるが、特に反応はなく、「ふふっ」と、おしとやかに笑う陽湖の声しか聞こえなかった。
と思ったら…。
ドドドドドドド
「ご〜まじい!!」
この声は…マロだ!
「おお、マロ!元気にしとるか?」
ごましおが聞くと、「うん!めっちゃ元気!地球割れるくらい元気!!」と、いつも通りの元気ハツラツなマロの声が聞こえてきた。
「ごま爺久しぶり!そっちはどう?」
続いて、ミケの声が聞こえてきた。
「おお、ミケ!今やっと着いた所じゃ。家は広いの。…じゃなくて!今の所、作戦は何も思いついておらん…。」
ごましおは「う〜む」と考えながら話す。
「今ミケたちは、こうやって電話している時、後ろでいつも通り過ごしていることで、“懐かしい”“帰りたい”って思ってもらう作戦をしてるの!」
ミケが一通り話終わると、「そうじゃったか」とごましおが頷く。
「そうじゃ、一つ言っていなかったことがある。」
ごましおが真剣な声で言うと、ミケたちも「うん…」と慎重な声で返す。
「ワシらがこっちに帰ってきた理由は、“介護”が目的だと思うんじゃ。」
最後まで読んで頂き、ありがとうございます!
前回のクイズ
カラらの好きな事は何でしょう?
前回の答え
空を自由に飛ぶこと でした!
クイズ
ごましおは、誰がいないことに気が付いたでしょう?
答えは次回の後書きに書いていますので、よければご覧ください。
次回投稿は、完成次第の投稿となりますのでご承知ください。
小説は楽しく読んでいただけましたでしょうか?
今回も最後まで読んで頂き、ありがとうございました!
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次回もよろしくお願い致します!




