第六十一話 作戦実行
いつも読んで下さって、誠にありがとうございます!
前回の振り返り
みんなで早起きをし、引っ越しを止めるために作戦を立てるミケたち。
それぞれが、「涙」や「人間語」など、いろいろな引越しの案を出す。
が、ミケはごましおがいなくなったことに気づいた。
探しに行くと、すぐに見つかり、「かくれんぼ作戦」だと分かった。
だが、秀夫たちもごましおがいなくなったことに気づいたらしく…!?
今回も楽しんで読んで頂けると、幸いです。
すっかり落ち込んでしまった二人をみて、春子と秀夫は顔を見合わせた。
「何言ってるのよ。当たり前じゃない!離れていても、ずっと一緒よ!」
「電話しながら宇宙人体操でもしょーや」
「まーた宇宙人体操ゆーてから」
そう言って微笑む二人。
だが、秀夫は気づいてしまった!
「ありゃ、ごまは?」
…
その言葉に、一同は「え?」と戸惑う。
「まだ寝てるんじゃないんですか?」
杏湖はそう言って首を傾げる。
「いや。ごまちゃんはいつもご飯になったらこっちに来るんよ。」
辺りを見回りながら口元に手を当てる春子。
「そういえば、マロたちも来てないですね…」
「マロは一番に来そうなのに」と不思議そうに首を傾げる陽湖。
「ちょっとあの子らの部屋に行ってみょーきゃー。」
春子はそう言って立ち上がる。
「じゃあわしも行くわ。」
「私も行きます!」
「皆さんが行くなら私も…」
次々と立ち上がっていき、結局全員で行くことになった。
四人並んでごましおたちのいるはずの部屋へと向かう。
だが、案の定、襖は猫が通れるくらいの間が空いていた。
襖を「スーッ」と開くと、やはり誰もいない。
「おらんなっとるわ!」
誰もいなくなっている部屋を見て、「こりゃいけん!」と慌てる春子。
「というか、この襖を開けるって器用すぎません!?」
ふとそう思った陽湖に、「あぁ、ごまが出入りしやすいように襖をちょっと開けとったけーじゃろう」と秀夫は言う。
「あぁ!」と納得した陽湖は、「そうだったんですか!」と頷いた。
「取り敢えず、探しに行きましょう!」
そう言って杏湖は玄関へと向かう。
「そうじゃね!」
そうして、また四人並んで外へと向かった。
…
靴を履き、「トントン」と整えると、走り出すように玄関を勢いよく開いた。
「どこから探そうきゃー」
春子は辺りを見回しながら尋ねる。
「そうですね…まずは家の周りから…」
陽湖が答えていると、突然、何処からか「ブッ」と聞こえてきた。
「…え?」
その正体は………なんと、ごましおのオナラだった!
「ごまじいーーーっ!」
マロは声にならない叫びを上げ、頭を抱えた。
「すまんすまん。つい。しかし五年ぶりじゃの。わしが屁をこいたのは。」
そう言って「ガッハッハッ」と豪快に笑うごましおに、「レアなオナラだったー!」と一同がツッコむ。
「え。ねえ。待って。飼い主さんと目が合ったんだけど。」
そしてまたもやマロは「おわった」と言う顔で頭を抱えた。
「あっ!みんないるわ!」
六匹を見つけた陽湖は、そう言いながら春子たちのいる方へ振り返る。
「おる!?」
ごましおたちがいると聞き、春子は勢いよく振り返る。
「ほんまよ!」
春子は「よかった」とばかりに微笑んだ。
「見つかっちゃった!どうしよ!えっと、えっと、あ!みんな!あの作戦!」
ミケは小さい水道に行くまでのルートを確認し、「こっちだよ!」と水道の方に指をさした。
「あ、待って〜!」
四匹も、ミケを追いかけるようについていった。
そして、ミケが見つけた裏ルートを通り、なんとか水道までたどり着いた!
だが、ごましおは一匹残され「えっ」と戸惑った顔をしている!
「大丈夫、飼い主さんたち気づいてない!…よね?」
ミケは陽湖たちの様子を伺いながら、水道を手で押す。
「これ押すタイプの蛇口でよかった〜!じゃあみんな、いくよ!」
「チョロチョロ」と水が流れ始める。
ミケは水で上手く目元を濡らす。
「わぁっ!ミーちゃんすごい!モモもやる!」
そう言って、モモはミケの真似をする。
「ちょっと変になったけど…いっか!」
モモは「へへっ」と微笑んで、「次はマロの番だよ!」と言う。
「ふっふーん。このマロ様に任せなさい!」
何故かドヤ顔で胸を張るマロに、「早くしなさい」とモモが軽く猫パンチをした。
「こういうのはねー、勢いが大事なんだよ!い・き・お・い!」
そう言いながらマロは、蛇口をさらに押した。
すると、勢いよく「ジャーッ!」と水が出てきた!
「うわっ!」
マロもここまで水が出てくるとは予想していなかったらしく、マロの体に水が「ビシャッ」とかかってきた!
「キャーッ!ちょっとマロ!何してるの!早く止めなさい!」
モモはこちらまで飛び散ってくる水を避けるように遠ざかる。
「ちょ、ごめんめんめんめんめんご!!!」
マロはパニックになり、意味がわからない言葉を発しながらさらに蛇口を押してしまった!
「わーっ!マロくん逆だよ逆!上げないと!」
そんなマロに、ミケは慌てながらもそう言う。
「逆!?こ、こう…?」
マロは、恐る恐る蛇口を上に上げてみる。
すると、「キュッ」と水が止まった!
「ふぅ〜。全く、ビックリさせるなよなぁ?」
カラらは、マロのあまりのドジっぷりに「は、ははは…」と呆れたように笑う。
「ちょ、おい!ごま爺が!」
ふと振り返ったカルべは、ごましおが春子たちに連れて行かれそうになっていることに気付いた。
「へっ!?まって、一旦戻ろ!」
モモは急いでごましおの元へと向かう。
「ミケたちも行こう!…カルべくんとカラらくんは、あの…日本語の作戦お願いしてもいい?」
少し申し訳なさそうに言うミケに、「まかせろ!」と二匹が声を合わせた。
「ありがとう!」
そんな会話をしながら四匹もモモに続いた。
「ちょっ、ちょっと待ったぁぁっ!!!」
モモはそう叫びながら春子にしがみつく。
「ダメ!ダメだよ!引っ越ししないで!」
一生懸命訴えるが、春子は「どしたん?」と、全く伝わっていたかった。
「行かないでよ…!」
下を向いて「ポツン」と呟くモモに、春子は「ハッ」とした。
「モモちゃん…もしかして…」
涙の作戦に気付いたのかと「ドキドキ」しながら、モモは唾を飲む。
「………お腹すいたん!?!?」
「えっ」
予想外の言葉に目を「パチパチ」とさせ、呆れたようにため息をつく。
「ちがぁう〜!」
「もうこれはダメだ」と確信したモモは、「みんな早く来てよ〜!」と振り返る。
が、向こうは向こうで大変そうだった。
「えっ、おっ、あっ、えっ、どした?」
頭も体もびしょ濡れになり、「シュッ」と細くなってしまったマロを見て、ごましおは非常に混乱している!
「いや、これは違う!違うんや!ちゃうねん!」
マロは恥ずかしさのあまり、意味不明の言葉を何度も発する。
「これは…作戦の一つなの!ほら、泣いてる感じにしようと思って…!」
ミケがそう言うと、ごましおは「ホッ」と安心したように「あぁ、そうじゃったのか。とはならんけどな。風邪引かんようにしんさい。ガッハッハ」と笑った。
「ちなみに、オイラはカルべと一緒に“行かないで”っていう作戦なんだぁ。あ、人間語でなぁ。」
その言葉を聞き、ごましおは「絶対に伝わらないぞこれ…」と思ってしまい、「ちょっと待て」と言おうとした。
「じゃあ行ってくるぅ!行くぞぉ!みんなぁ!」
が、カラらは嬉しそうに走り出してしまった。
「き、聞いとらん…。」
ごましおは苦笑しながらも「わしも行くか。」と、重い腰を上げた。
「おじさぁぁぁん!おばさぁぁぁん!行っちゃやぁよぉぉぉ!!!」
マロは、ついにやけになった!
「ギヤァァァッ!!!なにぃ!?なんで濡れてとん!?」
マロが濡れた状態で春子の足に引っ付いてくるため、つい叫んでしまった。
「今だ!行くぞカラら!」
「おう!」
そう言って二匹も秀夫と春子の元へと向かう。
「くぁwせdrftgyふじこlp!!!(行かないで!)」
「うわっ、なんじゃ?」
秀夫は焦りながらも「これらをどうにかしてくれ!」と春子たちに助けを求める。
「くぁwせdrftgyふじこlp!!!(行かないで!)」
「くぁwせdrftgyふじこlp!!!(行くな!!!)」
※彼らは引っ越しを止めているだけです。
「ぎゃぁぁぁっっっ!!!なんかしゃべっとるぅぅぅっ!」
春子はもっとパニックになる。
「「ふっ…ふふふ…あはは…あははははっ!」」
あまりの慌てぶりに、つい陽湖と杏湖は顔を見合わせて笑ってしまう。
「笑っとらんで助けてや!」
春子は苦笑いしながらも訴える。
「ご、ごめんなさいっ…ふふっ。きっと、その子達は自分たちなりに、一生懸命引っ越しを止めているんだなぁって思ったら…つい…!」
陽湖は優しく微笑みながら、そう言った。
「!…そうじゃね。ありがとうね。…朝ごはん、食びょーきゃー。ごまちゃんらの分も作ってあるけー!」
嬉しそうに微笑む春子は、悲しそうに微笑んでいるようにも見えた。
…
「「今まで、ありがとうね」」
最後まで読んで頂き、ありがとうございます!
前回のクイズ
マロとモモは何時に起きたでしょう?
前回の答え
「午前2時に起きた」でした!
クイズ
ごましおはどこに隠れていたでしょう?
答えは次回の後書きに書いていますので、よければご覧ください。
次回投稿は、完成次第の投稿となりますのでご承知ください。
小説は楽しく読んでいただけましたでしょうか?
今回も最後まで読んで頂き、ありがとうございました!
よければブックマーク、評価をよろしくお願いします!
次回もよろしくお願い致します!




