第五十一話 親愛の友
いつも読んで下さって、誠にありがとうございます!
前回の振り返り
春子と秀夫の元へと急ぐ二人は、黒猫を轢いたかと焦っていた。
が、ギリギリ黒猫が車の下へと潜って(くぐって)くれたおかげで、轢かずにすんだ!
そして、(黒猫の)足の怪我もあり、黒猫を保護することになった為、黒猫も仲間に加え、春子と秀夫の元へと向かう。
黒猫とカラらの昔起こったエピソードを聞き、お互いに謝ろうとするが…!?
今回も楽しんで読んで頂けると、幸いです。
「友達でいてくれますか」という黒猫の言葉に、カラらは一瞬目を丸くした。
が、すぐに「ニコッ」と微笑んだ。
「悪いけど、友達にはならねぇ」
…
「「「え」」」
思わず声が出てしまうマロ、モモ、ミケ。
「な、なんでそんな酷いこと言うの!?」
モモがそう言っている間にも、黒猫は「そう…だよな…。」と切なそうな顔をしていた。
「カルべ、オイラは、お前と……、オイラと、親友になってください」
深く頭を下げるカラらに、三匹はまた「え!?」と言う。
「…そういうことかよ…。ビビった…。」
「ホッ」としたように一息つくと、黒猫は大きな声で言った。
「あったり前だろ!」
黒猫の笑顔とカラらの想いは、その場にいた一同全員の胸に響いた。
「よおっし!これで一件落着だね!」
堅苦しく座っていたマロは一気に体勢を崩し、深呼吸をした。
「二匹とも、よかったね!今日から黒猫くんも仲間だよ!」
「ニコーッ」と太陽のように笑うモモの言葉を聞き、ミケはふとあることに気づいた。
「そういえば自己紹介がまだだったね!ミケだよ!よろしくね!」
ミケが言うと、二匹もハッとして自己紹介を始めた。
「モモです!」
「マロだよ〜。はい、次カラらね」
「え…オイラも?えーと、カラらだぁ」
三匹の自己紹介が終わると、再びミケにバトンが回ってきた。
「君の名前は?」
ミケの微笑みに、黒猫は何かを感じ取ったようだ。
「…え、ミ、ミケ…?…オレ達って…昔、会ったことあるか…?」
衝撃的な言葉に、ミケはついつい「え!?」と驚いてしまった。
「もしかして、カルべくん!?」
その言葉に、今度はマロ、モモ、カラらが驚く番だ。
「ええーーっ!?二匹って、会ったことあるの!?」
驚きを隠せないマロに、「ちょ、マロうるさい。」と軽く猫パンチをすると共に、モモは「どういう関係なの!?」と目を輝かせた。
だが、二匹以上に動揺しているのはカラらだった。
「え、ちょ、ま、え、えぇ…!?」
その三匹のあまりに良い反応に、二匹はクスッと笑いながら、詳しく話し始めた。
「ミケとカルべくんは、小さい頃よく一緒に遊んだり、日向ぼっこをしてたりしてたんだよ!でもカルべくん、昔に比べて随分大人っぽくなってたから、全然気づかなかったよ!」
ミケの説明に「そう言うことね!」と納得する三匹。
「まさかこんなところで会えるとはな…。あ、そうそう、オレはカルべ。ちなみにカルべの“べ”だけは平仮名だぜ」
嬉しそうに笑うカルべに、四匹もつられて笑った。
「あ、そういえば…」
モモが口を開いたと同時に、杏湖が「着いたよ〜!」とモモの声をかき消した。
「「「は〜い」」」
カラら、マロ、カルべは返事をすると、車から「ピョンッ」と飛び降りた。
「あ、コラ!黒ちゃんは怪我してるんだから、動いたらダメでしょう!」
そう言ってカルべを捕まえると、陽湖は「もう、全く…」とため息をついた。
「モモちゃん、さっきなんて言おうとしてたの?」
優しく話しかけるミケに、モモは「あのね、カルべくんの足、大丈夫かなぁって思って…」と自信なさそうに話した。
「そっか!モモちゃん、すっごく優しいね!」
何のためらいもなく満面の笑みでそう言うミケに、「えへへ〜、そうかな〜?」と照れるモモ。
「ミケちゃんとモモも早く降りて来なさ〜い!」
その陽湖の言葉に、二匹は「は〜い!」と元気よく返事をして、車から降りたのであった。
…
「春子さ〜ん、秀夫さ〜ん、いますか〜?」
陽湖がドアの前でそう呼びかける。
と同時に、どこからか「はい?」と声がした。
「…っ!きゃーーーっっ!って、春子さんでしたか!驚かせないでくださいよ〜!」
後ろから「ニョキッ」と顔を出す春子につい大きな声で驚いてしまい、陽湖は気まずそうに「あはははは…」と笑った。
少しの間、空気が「シーン」と静まりかえる。
「あの…引っ越しのお話なんですが…」
杏湖が「引っ越し」の話題を出すと、春子は「まぁ入り」とドアを開けた。
すると、殺風景な玄関、廊下、キッチンやリビングが目にとびこんできた。
奥の部屋に案内され、「ちょっと待っとって」と言われたため、用意されてある座布団に、二人は猫達と一緒に大人しく座っていた。
机と座布団、時計の他、すっかり何も無くなってしまった部屋を眺めていると、あっという間に春子はお茶とお茶菓子を持って戻ってきた。
「まぁお茶でも飲み。」
そう言いながら暖かいお茶を差し出してくる春子に、二人は「ありがとうございます」と礼をした。
「…結構準備が進んでますね…。」
控えめに話し出す陽湖に、春子は「そりゃあそうじゃろう。明日じゃけえのお。」と豪快に笑った。
「「ブーッッ!あ、明日!?引っ越しがですか!?!?」」
春子から出てきた思わぬ言葉に、二人は思わずお茶を吹き出してしまった!
「引っ越し以外に何があるんね〜!」
「何がそんなに面白いのか」と言うほど爆笑し始める春子に、つい二人も「そうですね」と笑ってしまった。
「…でも、明日なんですか!?車ですよね?何時ですか!?」
陽湖の言葉に続いて、杏湖も口を開いた。
「鶏ちゃん達はどうするんですか?それと、住所は!?」
すると、何故か春子は黙り込んでしまった。
そんな春子を見て、二人は首を傾げながら顔を見合わせている。
「あんたら、一個ずつ言いんしゃー!!!」
突然叫びだす春子に二人は「ギョッ」と驚く。
「わたしゃー聖徳太子じゃないんじゃけぇ!一緒に言ったら聞こやーせんわー!」
「言い切った」とばかりに「ふぅ、」と息をつく春子を見て、二人は「す、すみません!」と謝りながら、正座したまま机にゴンッと額を叩きつけて深く頭を下げた。
そんな心忙しい三人のやりとりを聞きながら、ミケたちは五匹で会話をしていた。
「引っ越し明日なんだって!どうする?ごま爺にももう会えないんだよ!?」
焦りながら話すモモに、「うわーん!やだよぉ〜!」と「ゴロゴロ」寝転がりながら駄々をこねるマロ、「どうしよう…」と頭を悩ますミケに、放心状態になっているカラら、そして、状況が全く理解できずに「ポカン」と口を開けているカルべ。
そんな五匹の耳に、「コケーーーッ!」と言う独特な鳴き声が聞こえてきた。
「え、なになに!?」
その場にいた一同(春子を除いて)は、驚きを隠せずパニックになっていた!
「まぁ〜、まぁた鳴いとらー!」
一人だけ冷静な春子からは、鶏たちの扱いに対する“慣れ”が伝わってくる。
「あれらは放っといて大丈夫よ。で、何じゃったきゃーの?」
春子の言葉に「ハッ」とした二人は、「そうでした!引っ越しのことです!」と息をそろえて言った。
「何時にここを出発しますか?」
陽湖は眉を下げ、悲しさを帯びた声で聞いた。
「私らがここを出るのは朝の6時くらいよ。」
「カチ、カチ」と静かに音を鳴らす時計を見ながら、春子は話した。
「は、早い…ですね…。」
静寂な部屋に、時計の音と、真剣に話す三人の声だけが響く。
「あ、そういえば、車なら鶏ちゃん達はどうするんですか?」
陽湖の質問に続いて杏湖も質問してみる。
「あれらは、引越しセンターの人らに頼んで、連れて行こー思よーる。」
「売ってもいいがな」と冗談を言う春子の言葉がどうも可笑しくて、二人はついつい笑ってしまった。
「そうです!住所を教えてくれませんか?お手紙とか、年賀状とか、やりとりしましょうよ!」
杏湖はそう言いながら微笑んだ。
「いいね!杏湖、ナイスアイデア!」
すると、二人は微笑みながらハイタッチをした。
が、春子の顔は、一気に曇ってしまった。
「…悪いが、住所は教えられん。」
その衝撃的な言葉に、二人の上がった頬は一気に下がる。
空いた口も塞がらない。
「え…?なんで…ですか…?」
杏湖がそう聞いても、春子はゆっくり首を横に振ることしかできなかった。
衝撃と悲しみに包まれた空間に、三人は、ただただ黙っていた。
ミケたちがいなくなっていることを知らずに。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
前回のクイズ
ごましおの姉の名前はなんでしょう?
前回の答え
『ナナ』でした!
クイズ
黒猫は、カラらに「これからもずっと〇〇でいてくれますか?」と言いました。
丸に入る言葉は何でしょう?
答えは次回の後書きに書いていますので、よければご覧ください。
次回投稿は、完成次第の投稿となりますのでご承知ください。
小説は楽しく読んでいただけましたでしょうか?
今回も最後まで読んで頂き、ありがとうございました!
よければブックマーク、評価をよろしくお願いします!
次回もよろしくお願い致します!




