第三十六話 二匹の子猫
いつも読んでくださって、誠にありがとうございます!
前回の振り返り
咲の力によって『無限の世界』から脱出できた三匹。
記憶喪失が治った事も、咲のおかげだった。
三匹は咲に言われた通り、飼い主さんの元へ向かった。
杏湖の車を見つけ、協力して車のドアを開けた三匹は、二人とも寝ていることに気づいた。
マロが飼い主さんを起こしてみるも、作戦失敗で起きなかった。
二匹は悲しみに溢れ、涙をこぼしていた。
ミケもお父さんやお母さんのことを思い出し、いつの間にか目から涙が溢れていた。
その時、咲から貰ったお守りが光だした。
すると、咲が現れて再び困っていた三匹を助けてくれる。
飼い主さんは、起きるのか!?
今回も楽しんで読んで頂けると、幸いです。
「頑張って!」
「負けちゃダメだよ!」
「大丈夫、いけるよ!」
三匹はそんな言葉を叫び、応援する。
その応援が、咲に光を集めるつぼみとなった。
「ミケさん、マロさん、モモさん、ありがとうございます!これで、大丈夫です…!!!」
咲はそれだけ言うと、ついに光を放った。
「マ…ロ…。…モモ…。ミケ…ちゃん…?」
「「「!!!」」」
“飼い主さんっ!!”
…
飼い主さんの声が聞こえ、三匹は嬉しそうな顔、その反面驚いた顔で満面の笑みを浮かべた。
「やったぁ!飼い主さん起きたぁっ!」
「すごい!咲さんありがとう!」
「起きたね!!よかったよかった!!」
そんな言葉を交わしながら三匹は飼い主さんをめちゃくちゃに舐めまわした。
「ふぅ、よく寝た〜…」
すると、杏湖も起きる。
杏湖は背伸びをして賑やかな後部座席が気になり、振り向く。
「!あらあら、姉さん。猫ちゃんにちやほやされちゃって。」
杏湖は「ふふっ」と微笑み、冗談半分で「ずるいよ〜!」と満面の笑みを浮かべた。
「あららら、今日は結構寄って来るねぇ。杏湖、ちょっと助けて頂戴。」
陽湖は困っているような、嬉しそうな顔をして言った。
「ふふふ。もう大丈夫そうね。」
咲はそれだけ言うと密かに帰っていった。
…
三匹と二人は落ち着きを取り戻すと、一旦陽湖の家へと向かい始めた。
「でも、記憶喪失、どうしたら…」
⚠︎記憶喪失のことを忘れた方はお手数かけますが、 十二話〜 お読みください。
陽湖の呟きに「はっ」とした三匹は、横に首をブンブン振った。
「あら、三匹揃ってどうしたの?」
陽湖はミケ達の行動を不思議に思い、首を傾げる。
「違うよ!記憶喪失は治った!」
マロの言葉だけでは気持ちは伝わらない。
モモとミケも協力して気持ちを伝える。
「咲さんのおかげで治ったんです!だから治ったんです!」
ミケの言葉にモモは耳をピクッと動かした。
「咲さんのおかげだったんだよ!」
「そうなんです!」
ミケは微笑むと、「頼もしいなぁ」とお守りを見つめた。
「みんなのおかげで記憶喪失は治った!みんなの協力のおかげだよ!」
モモが言うと、三匹の一生懸命な言葉についに陽湖の心は動かされたのか、「そうね、マロ、ミケちゃんとモモは、記憶がなくなった猫同士とは思えないくらい、仲がいいわね。きっと、治ったのよ。」と微笑んだ。
三匹は、満足そうに陽湖の目を見つめた。
「そういえば、身体中痛かったのも治ってるよね!」
マロがふと口を開くと、二匹も「確かに!」と驚き、頷く。
「「「咲さん、ありがとうございました!!!」」」
…
そんなことをしていると、もう家に着いていた。
「杏湖、せっかくだしゆっくりしていきなよ。」
陽湖の言葉に「じゃあそうさせてもらうよ。」と家の前に横付けされている車を駐車場へと移動させる。
杏湖を待っている途中、三匹を抱いていた陽湖はふとあることを思い出した。
(そうだ、くりちゃんとあんこちゃんが家でお留守番してるんだった!)
⚠︎ くりとあんこを忘れた方はお手数かけますが、 第十五話 などをお読みしてください。
陽湖は杏湖がひまわりの柄のかばんを持ってこちらへ向かって来ていることを確認する。
「あら、綺麗なかばんだねぇ!どこで買ったの?」
陽湖はかばんをぼんやりと見つめながら優しげに聞く。
「これ綺麗よね!去年の誕生日にお友達から貰ったの!」
杏湖はかばんを手に持つと、「ふふっ」と微笑んだ。
「あ、入っていいよ〜」
陽湖の言葉に杏湖は「じゃあお邪魔しま〜す!」と入っていった。
広々とした玄関で靴を脱ぎながら陽湖は話し出した。
「そういえば杏湖、くりちゃんとあんこちゃんがいたでしょう?」
「え?あの猫ちゃんの?」
杏湖の問いに「そうそう」と頷く。
陽湖は三匹を降ろすと二人の靴を揃え、杏湖より一足先にキッチンへと向かった。
「杏湖飲み物、何がいい?」
陽湖の言葉に杏湖は「じゃあコーヒーお願いするね」と答えると、三匹を順番に撫で始めた。
「やっぱりいつ見ても可愛いね〜」
杏湖は微笑み満足そうに言う。
「そうよ〜、でもミケちゃんはどこから来たのかしら、」
コーヒーのほろ苦い香りとともに陽湖の声が聞こえてくる。
「ん〜…、二匹のお友達とか?」
杏湖の言葉に「…そうね。」と苦笑いをした陽湖がいた。
杏湖は居間の隅の方にかばんを置くと、キッチンで手を洗う。
「杏湖、コーヒー出来たよ。」
「あ、姉さんありがとう、そういえば、くりちゃんとあんこちゃんは?」
杏湖の言葉に陽湖は一瞬固まる。
「え?いなかった…?」
「うん。そっちに行ったのかと思ったけど違った?」
二人は徐々に子猫達が心配になってくる。
もちろん話を聞いていたミケ達もそれは同じだった。
「え、くりちゃんとあんこちゃん、いなくなっちゃったの!?」
ミケの言葉に二匹は「えーーーっっ!?!?」と驚く。
「どうしたらいいの!?」
モモの焦りにマロも「わっかんないよぉ〜!」とその場をうろうろし始める。
「みんな!ちょっと落ち着いて…、あの二匹はまだ子猫、だからそんなに遠くには行ってないはず…!」
ミケの真剣な意見に二匹は頷いた。
そんな時に、「事故とかしてないかしら…他の人が連れて帰っていたらどうしましょう…」という心配そうな陽湖の声が聞こえて来て、三匹は「ハッ」とした。
「それだとだめだね…」
モモの心配そうな声に「もォォォっどこ言ったのぉっ!」とマロが叫ぶ。
「でもっ、それだと愛護センターに連れられた可能性も…!?」
ミケの青ざめた顔に、モモは「無くは…ない…!」と言う。
いてもたってもいられなくなったマロは、「っ!僕、探してくるっ!」と走っていってしまった。
「あ!マロ外に出たらダメよ!」
陽湖の声も聞かずに無我夢中に走って行ってしまった。
ミケとモモも顔を見合わせると、「うん」と頷きマロについていった。
「あぁっ!モモとミケちゃんまで!」
そんな焦った陽湖の声をまともに聞こうとせず、三匹はくりとあんこを探しに行った。
…
「どうしましょう!三匹までいなくなっちゃう!」
陽湖の言葉に「姉さん、ここはまず子猫達から探しましょう。」と杏湖は冷静に判断する。
杏湖の真剣な眼差しに、陽湖は「…うん。」と頷いた。
「あ、姉さん電話来たから待ってて」
杏湖はちょうどポケットに入れていた携帯を耳に当てながら言うと、そそくさと居間の方へと向かって行った。
「あ、えぇ…」
一人残された陽湖は、「ふぅ」とため息をつき、近くにあった椅子に不安そうに座った。
電話で話す声が微かに聞こえてくる。
「久しぶり!」や、「そうねぇ!」などと陽気な声が聞こえてくる。
が、陽湖が驚く言葉が聞こえて来た。
「え、うそっ!?くりちゃんとあんこちゃん、そっちにいるの!?」
杏湖の声に陽湖は思わず立ち上がった。
「うん、わかった、じゃあこれからそっちに向かうね!」
杏湖は電話を切った後、小走りでこちらに向かって来た。
「聞こえたよ!子猫達、そっちにいるんだって?」
「そう!たま花屋さんよ!」
⚠︎ たま花屋さんを忘れた方はお手数かけますが、 第二十四話 などをお読みください。
「あぁ、あそこの!」
二人は「うん」と頷くと、たま花屋へ行く準備をした。
…
三匹は数分間「ここは?」「こっち?」などと子猫達を探し回っている。
が、一向に見つかる気配はない。
そんな時、草むらから五つの影が見えた。
「あれ?なんかいるよ?」
マロの言葉に二匹は「どこどこ?」とその物体を探し出す。
「ほら、あそこだよ!」
マロの目線には確かに五つの影があった。
「そこの君達〜!こっちにおいでよ〜!」
マロが叫ぶと、ミケは「マロくんっ何者かわからないのにそんなこと言っちゃダメ!」と口止めする。
「え〜?なんで〜?」
マロが頬を「ぷくーっ」と膨らませると、「やめれ」とガチトーンな声のモモからマロの顔を目掛けて力拳の猫パンチをくらう。
「ディクシッ、いったっ!?」
そんな二匹の茶番を見ていたミケだったが、いきなり五つの黒い影がこちらに飛んできて、「はっ」とした。
「みんな、危ないっ!!!」
前回のクイズ
咲は、三匹に誰の元へ戻れと言ったでしょう?
前回の答え
咲は、三匹に『大切な人の元へ戻れと言った』でした!
クイズ
三匹は、力を合わせて咲達に何をしたでしょう?
答えは次回の後書きに書いているので、ぜひご覧ください。
次回投稿は、完成次第の投稿となりますので、ご承知ください。
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今回も最後まで読んで頂き、ありがとうございました!
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次回もよろしくお願い致します!




