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にゃんにゃん冒険隊 [事件解決!]  作者: みらい
第一章 爽やかな風と共に
4/106

第四話 駄菓子屋さんへ

「モモ!」

マロは弾んだ声でそう言った。

「マロ!」

モモは暗かった顔が「パッ」と明るくなった。

“やっと会えた〜”

2匹は無言で見つめ合っている。

言葉に出さなくても双子の二匹には思いが通じる様だ。


ミケは、そんな2匹を見守っていた。


そんな状況の中、またミケの頭の中から流れてくる。

“ピピピピピピピッ”

まだミッションは完了してません。

え?

【マロとモモを飼い主の元へ連れ戻せ】

(わかりました。)

また言ってもないのに言ってしまった。

「待って!」

そう呼び止めたが、頭の中の声は「スッ」と消えていってしまった。


「ミケ姉、どうしたの?」

ミケは「はっ」として答えた。

「う、ううん!何でもないよ!」

そうか、ニ匹から見れば、一匹言を言っているように見えるのか。

「そうなの?なら良かった!」


そんな二匹のやり取りを見ていた、モモがマロに尋ねた。

「ねぇねぇマロ、隣にいる猫って誰?」

「あ、ミケ姉?ミケ姉は、一緒にモモを探してくれたんだよ!

 それに、迷子になりかけてた僕のことも、見つけてくれてたんだよ!」

マロは、満面の笑みでそう言った。

「ふ〜ん、そうなんだ。」


モモはそう言い、ミケの方を向いて「ぺこり」と頭を下げた。

「ミケさん、助けてくれて、ありがとうございます。」

モモは、笑顔でそう言ってくれた。


ミケは、(モモちゃんはしっかり者だなぁ。)と思いながら、

「いえいえ。困ったときはお互い様。

 マロくんも一緒に頑張って探してくれたから、こうして会うことが出来たんだよ!」

と言った。


ミケの返事を聞けたモモは、マロに目線をやった。


「ミケ姉が迷子の僕を見つけてくれたからなぁ〜。」

ルンルン気分のマロが、何回も何回も繰り返し言っていた。

「で、何であんたそんなに嬉しそうに迷子自慢してるの?」

「え〜?そんな事ないよ〜。

 照れるな〜」

「………」

モモがジト目でマロを見つめていると、マロは「え?」と言う顔でこう言った。

「え、なんで?何その反応は?

 なんで〜!?」


「あ、ミケさん、こんなマロを見つけてやってくれてありがとうございます。」

モモは、おとぼけなマロに「デュクシッ!」っと一発猫パンチをかましながら、ミケにお礼を言った。

ミケは、「あ、全然いいですよ。」そう言って、(2匹は仲良しだなー。)と思い始めた。


「イタイな〜もぉう」

猫パンチされたところを摩りながら、マロはそう呟いた。


その時、いきなり頭の中から聞こえてきた。

ミッ…です。…………

1回目は少ししか聞こえなかった。

そして、2回目だ。

ミッションで…

「うわぁ!」

物凄い音量で聞こえて、ミケは思わず大きな声を出してしまった。


「うわぁ!何何!?ミケ姉どうしたの!?」

マロは、ご飯を食べている時に、後ろにきゅうりを置かれたような反応をした。

「え、あ、あはは。何でもないよ!」

ミケは「はっ」として我に帰って、恥ずかしくなってきた。

話をそらそうとしたミケは、空に目をやった。


「そういえば、雨ひどいね…それにこんなに暗いよ…

 マロくん、モモちゃん、これ、いつ帰る…?」

ミケは、空を見ながら二匹に聞いた。

「あらら…ほんとだ!今日は帰れないかもですね…」

モモは、真剣な顔をして答えた。

「じゃあどうする?ここで一夜過ごす?

 モモちゃんとマロくんに合わせるよ!」

「えー!?じゃあ僕の1番の幸せ、ご飯タイムができないよー!?

 ミケ姉、どうするの?」

マロは、「お腹が空いたな」と呟きながらそう言った。


「え?まだ食べるの?

 あんた、どうせ今日もずっと『ごっはん〜ごっはん〜』とか言って食べてたんでしょ?」 

「うぐっ!」

マロは「バレたか…」みたいな顔をしながらそう言った。

どうやら図星だったようだ。


「べ、別に今までずっとずっとずーっとご飯に密着してたってわけじゃないんだ…」

「ミケさん!じゃあ今夜はここで過ごしましょう!」

マロが言いかけている途中でも気にせずに、モモは話を進めた。

ミケは(マロくん分かりやすいなぁ。)と思いながら、

「じゃあそうしよう!」

そう言った。

「え、え!?ちょっとー!?」

マロは、ご飯のことで焦っていたが、結局今夜はここで過ごす事になった。


「じゃあマロくん、モモちゃん、まずどこで寝る?」

ミケは、辺りをキョロキョロと見回しながら、そう言った。

「うーん…でもできるなら温かいところがいいですよね…」

モモは、そう言い首を傾げながら、ミケを見つめていた。


その時だ

またあの声だ。

【冷たいと、風邪をひいてしまうだろう。だから、椅子の下で、寝るといい。

 椅子の下は、意外とひんやりしている。そして、外から暖かい風が送られて来るのだ。

 だから、ちょうどいい気温で、気持ちいいんだ。だから是非ともそこで寝てみろ…】

そうオススメしてくれて、また「スッ」と声は消えていってしまった。


ミケは、さっき頭の中から流れてきた事を、「どこがいいか、どこがいいか。」と迷っているマロとモモに早速言ってみた。

「じゃあ、椅子の下はどう!?」

ミケは、そう嬉しそうな顔で言った。

「ミ、ミミミミミ、ミケ姉!?」

マロは、「なんで椅子の下…!?」と、驚いたような顔でそう言ってきた。

そう言っている間に、モモは早速椅子の下に行ってみた。

「あ!?いいですね!ここにしましょう!」

モモは、椅子の下にいることが気に入ったようだ。

「じゃあ決定ね!」

マロは、納得してなさそうだった。

ミケも椅子の下に入って行き、腰を下ろしながらこう言った。

「あ!本当だね!ここ気に入った!

 マロくんも入ってみなよ!」

すると、モモも続けて言った。

「そうよ、マロ。ミケさんがせっかく見つけてくれたんだし、本当に気持ちいいのよ?

 マロも絶対気にいるよ!さあ、ね?騙されたと思って!」

ミケに続いてモモも言ったからか、「仕方ないなぁ、」そう言いながら、マロも椅子の下に入った。

「…あ!本当だ!これ僕もご飯の2番目くらいに好きになったよ!」

満面の笑みでそう言った。

「あ、あはは、それは良かったね…」

ミケは、マロの調子の良さに、苦笑いをしながらそう答えた。


ふぁぁぁ。

モモは、そう大きなあくびをして、少し目を細めて言った。

「今日は色々あって疲れたなー。みんな、もうそろそろ寝る?」

「…」

でもミケは、何も言わなかった。

それは、ミケは先に夢の中に入っていたからだ。

「マロもう寝…」

マロも気持ちよさそうに夢の中に入っていた。

「ふふっ。おやすみなさい。

 マロ。ミケさん。」

モモは、二匹が寝ているのをみて少し安心して、笑ってしまった。

そして、二匹に「おやすみ」の挨拶を言い、モモも夢の中に入っていった…。

椅子の下はとても丁度良い温度で気持ちよかった…。



「チュチュチュン!」

「チュン!」

スズメのさえずりが聞こえて来る。


「ふぁあ。」

綺麗なスズメのさえずりが聞こえ、モモは自然と目が覚めた。

「あ、もう朝だ!」

モモは、昨日一晩お世話になった休憩所の椅子の下から這い出てきて「ググーッ」と手足を伸ばし、伸びをした。

「わぁ、青い綺麗な空〜!スズメの歌も綺麗〜!」

モモは、空や、近くの木を見た。

青い空、緑色の葉っぱが立派な木、その枝に止まっているスズメ達。

モモが景色に見とれているときに、マロが寝言を言った。

「すずめ………おいしそう…」

マロは、そう言い「じゅる」っとよだれを垂らした。

「もうっ!マロったらスズメを食べる夢でも見てるの…?」

モモは、朝の爽やかな気分が台無しになり、猫パンチでマロをおこした。

「イテッ!スズメに殴られた〜」

猫パンチに驚き、寝惚け眼で急に起き上がったマロは、思い切り椅子に頭をぶつけた。

「ゴン!」「ぶっ」頭をぶつけた衝撃でオナラも出た!


「えっ?何これ!イタイ…クサッ!え?凶暴なスズメは!?」

寝惚けたマロは、訳がわからず走り回った。


それを見ていたモモは、あまりのバカバカしさに「プッ」っと吹き出し笑い転げた。


騒ぎ声を聞いて、慌てて起きてやってきたミケは、二匹の状況について行けず、呆然と見つめて思わず呟いた…「何?この状況…」



落ち着きを取り戻したマロとモモに話を聞き、状況を理解したミケは、これからどうするか考える事にした。

(とにかく、二匹を家まで連れて帰らないとね。

 まずはご飯、それから二匹に家の事を聞かないと)


「ねぇねぇ、じゃあこれからどうする?」

「僕、お腹が空いた」

二匹の会話に気付いたミケは、会話に加わる事にした。


「あ、近くに駄菓子屋さんがあるんだけど、

 そこいっつもご飯をくれるから、行ってみる?」

ミケは、よく行く駄菓子屋さんの、優しいおばちゃんの顔を浮かべながらそう言った。


「でも、私たち会った事ない猫だけど、ご飯くれるのかなぁ。」

不安げに言ったモモの話を無視して、マロは走り出した。

「いいね!行こう行こう!今行こう、すぐ行こう!Let’s go!」

「待って、マロくん!場所知ってるの?」

ミケは、慌ててマロを追いかけた。

「もう!マロはしょうがないな〜

 後で猫パンチだ!」

モモは、しょうがないな…という顔をしながら追いかけていった。



暴走していたマロを捕まえ、モモの猫パンチの刑が終わり、一段落した後、三匹は駄菓子屋さんへ向かっていった。


休憩場から駄菓子屋さんへと向かう途中、ミケは、二匹の家の事を聞いた。

「二匹はどこに住んでいたの?」

「猫街!」

二匹は元気よく声を合わせて答えた。

(猫街かー愛護センターはここから反対側だなぁ。)

「猫街のどの辺?何か目印になる物ある?」

ミケは、もっと詳しく聞いてみる事にした。

「う〜ん、何かあったかな?

 あっ!そう言えば家の前に電柱があったよ!」


マロのおとぼけな答えを聞いたモモは「はぁ。」とため息をついて、

「違うでしょ。電柱ならどこでもあるでしょう!

 うちの近くには猫神社があります!」

と答えた。


「猫神社なら分かるかも。」

ミケは、自分の記憶を頼りに、猫神社への道のりを思い浮かべた。

ミケの話を聞いた二匹は「やったぁ!帰れる!」と声を上げて喜んだ。


そんな話をしながら歩いていると、道の先に大きな木があり、その横に一軒の家が見えてきた。


「あ!あれが駄菓子屋さん?早く行こうよ〜!!」

マロは、嬉しそうに走っていった。

残された二匹は「やれやれ」といった顔で顔を見合わせマロを追いかけていった。



「誰もいないのかなー?」

先に着いたマロが玄関に爪を立てて開けようとしているが、ドアは開かないようだ。

「あれ?ドアが閉まってる?おばちゃんいないのかな?

 おーい!誰かいませんか〜」

ミケはマロの隣で「ミャー」と大きく鳴いたが返事は返ってこなかった。


「お店開いてないの?他に入り口はないの?」

モモは、そう言って二匹のいる玄関から離れ、裏口の方へ歩いていった。


その時だった。

モモが、裏口にまわろうと、角を曲がると、家の横にあったゴミ箱の上にいる“何か”と目があった。


「きゃーっ!」

「ガー!ガー!ガー!」

モモが、声を上げると、その“何か”も大きな声で叫び、「バサバサ」と音を立てながら、空へ飛び上がり、隣にある木の枝にとまった。


「どうしたの!?」

モモの大きな声に、二匹は慌てて来た。

「な、何か大きなものがいたの…!

 黒くて…羽が大きいの!ほら!あ‥あそこ!」

モモの指差す方には、嘴が大きいカラスが三匹を睨んでいた。

「あ!いた!

 くそぅ…シッシ…」

マロが「シッシッ!」と言おうとしたら、“カラス”に声を遮られた。

「カァ、カァ、」

「大変!仲間を呼んでいる!」

カラスは、突然仲間を呼び始めた。

「いまのうちに隠れないと!」

ミケは、カラスの大きなくちばしや、鋭い爪で、たくさんの猫が怪我をしているのを知っている。

(マロくんとモモちゃん“だけ”でも助けないと!)

ミケはマロとモモを、玄関脇の段々の植木の下に、連れていった。


「ここに隠れてて!

 ちょっと見に行ってくる!」

そう言い、ミケはカラスのいる方に、体を向けた。

「え、なんで!?

 私も行く!」

モモは、意を決して、そう言った。

「え?え?

 じゃあ僕も〜!」

マロは、モモにつられて言った。


「だめっ!!」

ミケは、いつもと違う厳しい顔つきでそう言った。

「二匹はカラスと戦ったことあるの?

 カラスのくちばしや、爪で大怪我をすることがあるのよ!

 下手すると、命を落としかねない!」

ミケは、そう厳しい口調で言いながら、「くるっ」と向きを変えた。


「ミケ姉は…」

そう言われてミケは、「ピタッ」と止まった。

「ミケ姉は、カラスと戦ったこと、あるんだよね?」

マロは心配そうに言った。

「もちろん。

 だからこんなこと言えるんだよ。

 それに、もうすぐ駄菓子屋さんのおばちゃんが帰ってくるはずだよ!

 それまで私が足止めしているだけ!

 だからそんな心配しないで。」

「だめだよ…そんなの…」

ミケは、二匹の静止も聞かず行ってしまった。



ミケは、玄関先を離れ、カラスのいる木の前に行きシッポを膨らまして「シャー!」と威嚇の声を上げた。


そんなミケの姿を見たカラスは、悠然とミケの前に飛び降りて、様子を伺うようにミケの回りを歩き始めた。

ミケは、カラスから目を離さず「うー」と唸り声を上げ警戒している。

しばらくすると、カラスは急に歩みを止めて、翼を目一杯ひろげ、「ガッガッガッ!」と大きな声で鳴いた。


その様子を隠れて見ていたマロとモモは驚いて、

「ひっ!」

「きゃ!」

と、声を上げた。


しかし、ミケはカラスの威嚇を知っていたので、驚きはせず、逆に臨戦態勢をとり、後ろ足に力を入れた。


その時、カラスはミケに襲い掛かろうと、バサっと翼を羽ばたかせ飛び上がった。

カラスの動きを見ていたミケは、同時に飛び上がり、カラスの翼を目掛けて、鋭い爪を出した前足で引っかいた。


ミケの予想外の反撃に驚いたカラスは、バランスを崩して、ミケの爪を翼に受けたが、カラスの大きな羽根に遮られ、羽が一枚パラリと落ちただけだった。


ミケの動きを警戒したカラスは、バサっと後ろに飛び退き距離をとった。


一連の攻防を、固唾を飲んで見守っていたマロとモモは「やったー」「ミケ姉、強〜い」と、大はしゃぎをしている。


(おばちゃんが帰ってくるまで、何とかなりそう。)

そう考え、ミケは油断せず臨戦態勢をとった。

(ん?)

その時、ミケは自分の周りで黒い影が動いている事に気付いた。

(何これ…? はっ!まさか!)

ミケは、ハッとし空を見上げた。

そこには、円を描くように旋回しながら「カァ、カァ」と鳴く二羽のカラスがいた!

完成したら投稿すると思います。

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