第一話 風の導き事件
初めての投稿です。
よろしくお願いします。
誤字はあるかもしれません。
ふぁぁぁ 「やっぱり日向ぼっこが一番だなぁ。」
三毛猫のミケは、大きくあくびをしながらそう言った。
今はいつもよく来る静かな森の空き地でミケは一匹、日向ぼっこをしている。
季節はがっつりの夏、セミが一生懸命にミンミンと鳴いている。
太陽の日差しがきつい中、木の下でゴロンと転がった。
その木はちょうど良い大きさの影をしていて、草はふさふさとしていて居心地がいい。
そのせいか、いつも「うるさい」と感じるセミの声も今は清々しく聞こえてくる。
邪魔するやつなんて一人も居ないこの空き地が、ミケは大好きな場所だった。
風がちょうどいい涼しさで吹いてきてミケの頬を優しく撫でた。
そして、ミケは気持ち良さそうに目をつぶった。
ヒュー、 そう音を立てて風が葉っぱを2、3枚連れてきた。
いつもよりもずっと強い風。
(こう言うときに事件って起きるものなんだよなー。)
ミケは、つぶっていた目をぱっちりと開けて、くつろいでいた体をグワンと一気に起こした。
すると、いきなりミケがいつもよく行く街へと風が葉っぱを数枚連れて吹き始めた。
(何か猫の間で事件でも起こったのかなー…?)
ミケはそう呟くと、風の道案内に招待されて行った。
ミケがいるのは一つの島。
海が多いってことは魚も多い。
なので、色々な猫がたくさん住んでいるのだ。
その事で、周りからはよく“猫島”とも言われている。
そしてミケは、よく行く街のことを『猫街』と簡単に呼んでいる。
ミケは猫街が今の家みたいなものだ。
それは、ミケは行くあてもないからだ。
………
ミケには兄がいた。
お母さんに産んでもらった時に、お父さんに「もうお母さんには会えないんだよ。」と泣きながら言われた。
それはミケがまだ生まれてまもない頃だった。ショックが大きく、記憶は曖昧。
そして、お母さんと会えなくなってしまった約一週間後くらいに、お父さんは何かに連れて行かれてしまった。
残されてしまったのは兄とミケだけだった。
そして、それから少ししたある日、兄は、確か服の胸元に“ペットショップ”と刺繍されている人間に無理やり連れて行かれてしまった。
お母さんの時も、お父さんの時も、兄の時も、ミケは必死に止めた。
なのに………。
「お母さん!会えなくなるのは嫌だよ!行かないで!」
「お父さん、こっちだよ!ちょっと!お父さんを離して!!」
「ミケ兄、今助けるからね!ねぇ!ミケ兄を離してっ!!」
どれだけ言っても、叫んでも、言葉は通じなかったのか「シッシ」と追い払うと無視して何処かに行ってしまった。
一人になるのは嫌だった。
それっきりお母さんとお父さんと兄は帰ってこなかった。
なので、今はひとりぼっちなのだ。
でも、これだけはくっきり覚えている。
兄との名前決めの時のこと。
「家族そろって三毛猫だから、僕達の名前『ミケ』ってのはどう?」
兄は、満足そうにそう言った。
「妹はミケで、僕はー、ミケじゃいけないよねー…」
「名前が同じになっちゃう…、」と遠くを見ながら気まずそうに兄は笑った。
「お兄ちゃんはー…ミケ…にい……ミケ兄!」
ミケは、そう言うと、パァァァッと顔を明るくさせた。
「あ、いいね!僕は今日からミケ兄、妹はミケ…決定!」
ミケ兄も納得して満足げに頷いた。
ミケ兄にいい名前をつけてもらった。
胸の中に強く刻み込まれていた。
………
ミケは自分だけの世界に入ってしまった。
(風が葉っぱを連れて、分かりやすく案内してくれている…
ミケの目線に合わしてくれてる…。そんなに大きな事件があるのかなぁ、)
そう思い思いに自分だけの思いを繰り広げている。
ミケは稀にある自分だけの世界に入ると、なかなか出てこれなくなる。
ふと「はっ」として、自分だけの世界から出てきた。
目の前には電柱があった。距離も5㎜程しかないだろう。
ミケは後退りをする。と、通路の反対側で、声がした。
そして、ミケは声のする方を見た。
「あっ、」
話していたのは、最近よく見かける仲良しのおばさん3人組だった。
「あらぁ、この子猫、可哀想に、」
「小さいのに行方不明」
「早く見つかったらいいわねぇ、」
あ…これは、
猫の事件だ………
続きは週末に投稿すると思います。
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