表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/30

気を揉む時間

 部活の帰り、あおくんとふたりでの帰り道。

 彼がポツリと話し出した。


 先週の金曜日、私をおいてきぼりにして、他の女子と帰って行ったときのこと。

 なんでも、そのにはずっとつきまとわれている男子がいて、その日も帰ろうとしたら校門のところにその男子の姿をみつけ、碧くんに助け船を求めたらしい。

 誰かと一緒ならその男子は声をかけてこないらしいが、ひとりだと一緒に帰ろうとついてくるというのだ。

 正義感が強い碧くんのこと、その女子のためにひと肌脱いだに違いない。

 以前から相談にのっていたとかで、放っておけなかったとか。


 それならそうと言ってくれればいいのに。


 余計な気を回していた自分がバカみたいに思えた。



 でも、絵里先輩とのことはどうなったのだろう。

 案外、今回と同じで気に病むほどのことはないかも。

 思いきって聞いてみようか。



 ……やっぱり聞きづらいな。

 でも聞きたいな。どうしよう。


 この後の話の流れで冗談っぽく、さりげなく話題にだしてみようか。



 そうこうしているうちに駅に着いてしまった。

 私たちは乗る電車が違うので、ここでお別れなんだけど。

 私の乗る電車が来るまで、碧くんは駅のベンチで一緒に待っていてくれた。

 ほんの少し距離をあけて座るベンチ。

 いつものようにたわいない話をしていると、急に笑いながら彼は言った。


「この間あっこ公園で見かけたよ」


「え? いつ?」


 公園なんて行ったっけ?


「高本と」


 あ、金曜日。高本くんと公園に行ったとき、碧くんに見られてたんだ。


「だって、碧くん先に帰っちゃうんだもん」


 ここは話をすり替えよう。

 バツが悪く、少しズルい返答をしてみた。


「だからそれは……」


「人助け、でしょ?」


 一体、高本くんとのあのベンチで話していたどのあたりを目撃されたのだろう。

 ただ話しているだけの時ならいいけど、彼に頭をなでられたところなんかを見られていたのなら、いくら私にその気がなかったとはいえ、凄く気まずい。


 私の問いかけには答えずに、碧くんは呟いた。


「仲いいんだな」


「え?」


「教室でふたりっきりで練習したり、帰りに公園のベンチで……」


「普通に友達感覚。碧くんと一緒」


 あ、また余計なひと言をつけ加えてしまった。


 友達ってことを強調したいがために、『碧くんと一緒』だなんて。

 一緒のはずなんてないのに、なに言ってんだろ、私。


「そっか」


「だから……」


 と、そこへ私が乗る電車がホームに入ってきた。

 まだまだ話したいことはたくさんあったけど。


「電車、来たよ」


 そう言われてそのまま電車に乗り込んだ。


 碧くんは微笑みながら手を振っていたけれども、どう感じたのかな。

 また明日まで気を揉む時間に占領されてしまいそう。



お読み下さりありがとうございます。


次話もよろしくお願いします!

14日に完結予定です♪

それまで毎日数話更新中。


ラストまでよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ