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なんだろう? 

 今日は木曜日。

 先日の日曜日に絵里先輩とあおくんがランチに出かけてから、4日も経つ。

 月曜日の部活は高本くんとずっと一緒だった。

 昨日、一昨日と部活の時間は7対3の割合で、バンドの練習と高本くんとの練習とにあてている。


 だから、日曜日のことが気になるけれども、碧くんとゆっくりと話す機会もなく、どうなったのか全く解らない。

 絵里先輩だって、碧くんと出かける前は話ができるように協力して、と言っていたくせに、いざ話がまとまってお出かけしたら、その後はなんの音沙汰もない。

 まあ、報告義務はないけれども、私なりに頑張って協力したわけだし。

 そこは、ね。

 楽しかったよ~とかの報告くらいあってもいいと思うのだけど。


 そんなことを思いながら部活のために学校へ行く。

 今日も午後1時~4時まで。最初の2時間はバンドの練習、後の1時間は高本くんとふたりでの練習。


 ギターを取りに倉庫に行くと、碧くんがひとりで『番』をしていた。

 みんなの大事なギターを保管しているので、クラブが始まる前と、終了後はカギを開けた倉庫には必ず一人はギターの『見張り番』をしているのだ。部活の出席者が全員出し入れを終了すると、カギをかけて職員室に持って行く。


 今日は碧くんが当番なんだ。


「あ、当番お疲れ~」


 日曜日のことが気になってはいるけれども、なにも思っていない素振そぶりで普通に挨拶をする。


「おう、お疲れ~」


 とても後輩とは思えない挨拶。いつもの挨拶にちょっと嬉しかったりする私。


「はぁ? それ、先輩に言う挨拶ですかぁ? ため口ですかぁ?」


 だけど、つい言ってしまう。


「ん? なんか問題ある?」


「いえ、別に……」


 ううっ。特に問題はありませぬ。


「あれ? あっこどこだ?」


「はぁ?」


 またいつものように私の頭越しに遠くをキョロキョロ見ながら言う。


「ここにいますけどぉ!」


 すると今度はおでこの前に手をかざしながら、上体を揺らしつつ、なおも遠くの船でも追っている様子で彼は言う。


「声は聞えるのに姿が見えぬ」


「ここで~す」


 思いっきり目の前で両手を大きく振りながら、ジャンプしてアピールする私。


 そこでやっと、「おおっ!」っと大袈裟に驚きながら気づいたフリをする彼。


「もう! やめてよねっ」



 そう言って笑い合うふたり。

 いつもと一緒。でもなんか懐かしささえ感じる。

 最近あまり話せなくて……やっぱ寂しかったな、なんて。



 笑っていた彼が急に真面目な面持ちに変わる。


 え、どうしたの?


「今日は、一緒に帰れる?」


「うん。大丈夫。どしたの?」


「いや、その時にでも」


 なになになに!

 気になる!



 なにか話があるなら、今言って!



お読み下さりありがとうございます。


次話もよろしくお願いします!

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