なんか気になる
『マイド・オオキニバーガー』で無事に碧くんと、いや、碧くんたちと合流できた。
絵里先輩の碧くんに対する気持ちを聞いて、協力する羽目になってしまったのだが、内心穏やかではない。
なので、いつもはあまり頼まない『関西風のうま味出汁を活かしたうどん』とオレンジ味の炭酸飲料を注文してしまった。ハンバーガーショップなのに。
絵里先輩は可愛く『アップルパイ』にココア……ってちょっと甘々な気もするが。
みんなから「先輩アップルパイっすか」「可愛いっすねぇココアなんて」などと言われて嬉しそう。
それに引き替え私はというと、「おっ。あっこおっとこまえ~」とか「女子力ひっく~」なんて言われちって。
挙げ句の果てに碧くんったら、「先輩を見習え」だって。どういうこと?
ポテトのひとつでも頼んで、可愛いお口をちょびっと開けて上目づかいでちびちび食べろとでもいうのか。
そんなこと、このメンバーでできるはずもない。「はいはい」と適当にあしらうように返事をしたけど。
これはもはや引き立て役かっ!
などと思いながらもやはり碧くんと先輩とのやり取りが気になる。
一応気を使って碧くんと先輩が隣同士になるようには座ったけれど。
まあ、それでも一応私はその向かいに座ったけれど。
みんなと話しながら、『関西風のうま味出汁を活かしたうどん』を1本ずつちゅるちゅると吸い上げ、上目づかいで様子を見る。
みんなと笑いながらも、オレンジ味の炭酸飲料をストローでちゅうちゅうと吸い上げながらも、向かいの席をチラ見する。
もちろん、右耳はみんなとの会話に、左耳は全力で向かいのふたりに集中させている。
そんな器用なことができるものかって?
ふふふ。それができてしまうのだなぁ。
どうやら先輩は、碧くんとふたりでお出かけがしたい様子で、しきりに都合のいい日を聞いている。
碧くんは初めは笑いながら断っていたようだけど、絵里先輩の猛アタックぶりに根負けして、遂に約束したみたい。
嬉しそうな絵里先輩の隣で、少しばかり苦笑している碧くんを見ていると目が合った。
『仕方がないよ。先輩だし』
そう言われているように感じたが、私はどんな顔をしていいものか解らず、取りあえず微笑んでみたけれど、心の中は大涙。
碧くんと絵里先輩、ふたりでお出かけするのかぁ。
まあ、そんな話しになるだろうと予想はしていたにもかかわらず、先輩に協力したのだから仕方がないっちゃ仕方がないのだけれど。
お読み下さりありがとうございました。
次話「深呼吸」もよろしくお願いします!