後輩というよりは、もはや友達だ。
昨夜思いたって、急きょ『バレンタインデーとホワイトデー』に因んだ連載を始めることにしました。
ラストはもう決まっていますので、必ず完結いたします。
どうぞ、ラストまでお付き合い下さいますように。
いつの間にか隣にいるアイツ。
気がつけばすぐ横でちょっかいをかけてくる。
自分の身長が175センチだからと、私の背が低いと言ってはからかう。
私だって161センチはあるから、決して低い方ではないと思うケド。
今だって私が目の前に立っているにもかかわらず、私の頭越しに遠くを見渡して、「あれ? あっこいないなぁ」だって。
私は池田 藍。高校2年生。体型はまあ、普通。髪型は肩に掛かるくらいの長さ。髪の量が多いからヘアカットの時、結構梳いてもらっている。『あい』って呼ばれたいのに、みんなは『あっこ』って呼ぶ。『こ』なんてついてないのに。
アイツだってそう。
ひとつ年下のくせに、『先輩』なんてつけて呼んでくれたことなどない。
いつだって『あっこ』って呼び捨てにする。
田中 碧斗。アイツは碧斗の『碧』から『あお』って呼ばれているけど、私は『あおくん』と呼んでいる。まるで年齢が逆のようではないか。
しかも同じフォークソング部の『先輩・後輩』の間柄。他のみんなのように『あっこ先輩』と呼んでくれてもよさそうなものを。
その上、敬語なんて一切なし。どういうこと?
部活の後輩というよりは、もはや友達だ。
まあ、それでもいいとも思うのだけど。
碧くんは、なかなかのイケメンで、今売り出し中のちょっと硬派な若手俳優に似ていると、クラブの中でも人気がある。昨年の4月に入学して、我がフォークソング部に1年後輩として入部してきたわけだが、その時にはすでに同学年の彼女がいたという。
まあ、半年ほどでお別れしたようだけど。
でもなぜか碧くんに彼女がいた間も、ずっと今と変わらず仲良く、というかおちょくられているというか。ふたりで先輩のコンサートに出かけたりなんかして。
うーん。やっぱ友達感覚なのかな。
そんな私たちだけど……。
お読み下さりありがとうございました。
次話「もうひとりの後輩」も今夜更新します。