新任教師 桐山彩夏
俺はまた夢を見ていた。
けど、いつもの夢とは違いあの女の子は夢に出てこなかった。
俺はある男の子と遊んでいた。
「二人ともご飯できたから帰っておいで」っと
亡くなった母親なのか大人の女の人の呼ぶ声がした。
そこで俺は目が覚めた。
「今日からここが私の職場か、ついにこの日が来た。やっと会えるね」っと彼女は写真を見てそう言った。
その写真には彼女に加えて二人の男の子が写っていた。
担任の川上が育児休暇にはいり、どうやら今日から新しい先生がくるらしい。
教室にどうやらその新しい先生が来た。
若くて、およそ20代後半のスタイル抜群のクールな感じだった。
とうぜんクラスの男子の目は彼女に釘付けだった。
俺は驚いた。なぜなら今日の夢に出てきた女の人の姿に似ていた
「うそだろ、まさか...」「母さんなら死んだはずなのになんで...」
驚きを隠せない表情は二宮にも伝わった。
「初めまして、今日から1年2組の担任になりました桐山彩夏です。よろしくお願いします。」
っと自己紹介をしていたが、俺には話が耳に入ってこなかった。
「ちょっとそこの君聞いてるの?」
俺は担任の桐山に注意された。
「すいません...」
一時間目は体育だった。そこには桐山がいた。
「今日から皆さんの体育の授業を受け持つことになりました。」
先ほどのスーツ姿とは違いポニーテールのジャージ姿に男子の目は彼女に集まった。
「まず、そこの君朝の罰として今日の授業中はグランド走ってなさい」
その言葉に周囲は氷づいた。
「まじかよ...」
50分間ひたすら俺は走った。
こうして、地獄の1時間目は終わった。
俺の足は限界に達していた。
「なんだよ、あの女クールな顔して鬼かよ」
そして、6時間目ホームルーム来週の宿泊研修にむけての説明だった。
「黒川、顔が死んでるわよ」
「しゃーねだろ。だってあの女がいきなり罰とかいって授業中ずっと走らせやがって、顔に似合わねぇことしてきてよ」
「それより、朝のあんた様子がおかしかったけどなんかあった?」
「なんでねーよ。ただあの女が今日夢にでてきた人にどことなく似ていて」
「でたよ、中二病(笑)ほんとあんたって面白いわよね」
「うるせぇ」
「ところでさ、来週の宿泊研修のグループワークなんだけど、一緒に組まないかしら?」
「まぁ、べつにいいけど」
「ほんと?ありがとう!」
なんか最近こいつ、やけに素直だな。
家に帰ると、俺は桐山彩夏のことを考えていた。
クールな表情中にどこか優しい表情もある気がした。
それは体育の終わったときに
「おつかれさま。ちゃんと汗拭きなよ、じゃないと風邪ひくからね」
っと俺にかけた一言からうかがえた。
それはどこかなつしいような感じだった。
「俺はもしかしたら記憶を失った子供の頃にあの人に会っているのかもしれない」
勤務初日終了、私は黒川司のことを考えていた。
「朝はあまりにも、話を聞いてなかったから厳しく当たっちゃったけど、元気そうでよかったわ。これからは近くにいられる。ほんとによかった司が立ち直れて。けど、わたしのことは覚えていないのよね...」
こうして桐山彩夏の教師生活の1日目は終わった。
来週は宿泊研修
この宿泊研修で俺と二宮の関係が大きく変わることや桐山先生が俺の過去に関わっている人物だったことをこの時の俺はまだ知らなかった。