宿泊研修 傍にいることで
突然のことで私は受け入れられなかった
まさか、桐山先生が黒川の実の姉で黒川に双子の兄がいたんだって
しかも、黒川にそんなつらい過去があったのかと
あの、マイペースで無神経な黒川からはとても想像はできなかった
私は昔のことを思い出していた
それは、勇気を振り絞って遊びの仲間に入れてもらおうとしたけど
私は無視され、子供たちはどこかへ行ってしまった。
私は悲しくてそこで泣き崩れてしまった
そしてそのとき、「あんな奴らとなんかよりさ俺と一緒に遊ぼうよ」
「俺と遊んだほうが何倍も楽しいからさ」
「俺の名前は司、君の名前は?」
「私の名前は夏希」
それからわたしは毎日のように彼と遊ぶようになった
一人孤独だった世界から救ってくれたのは彼だった
「あのときの彼の名前も司...まさかね...」
私は司くんに助けてもらってばかりだった
そして、黒川にも少なからず助けてもらってばかりだ
今度は私が黒川を助ける番だ
私が隼君に代わって黒川の支えになることを決めた
俺は偶然、桐山先生の写真を拾いそれを見てしまった。
そこには桐山先生と幼い時の俺と思われる男の子と双子の兄の隼だと思われる男の子が写っている写真だった。
それをみて俺は事故の時の記憶、隼の存在を思い出しショック状態になり意識を失った。
「司、起きて」
っと俺に声をかけたのは事故で亡くなったはずの双子の兄の隼だった。
「隼なんでここに...」
「なんでって司を迎えに来たんだよ」
「迎えに来た...」
「そう、ようやくこの日がくることを待っていた。これでまた一緒に暮らせるね」
どうやら、俺は死んでしまったらしい。だから、隼が目の前に現れたのかもしれない。
隼が差し出した手を俺はつかもうとしたその時
「まって司君!まだ行かないで!もっと一、一緒に遊びたい!!」
そう声を声をかけたのは、最近夢で見なかったあの女の子だった。
「司なにやってるのさ、ほらお父さんもお母さんも待っているよ」
「あぁ...」
そして、俺は隼についていこうとしたとき
彼女に俺に向けて
「司君、私ね司君のことが好き。だから私は司君ともっと一緒にいたいの。
けど、司君ももう行く時間なんだよね。今までありがとう。」
と俺の前から去ろうとしたその時
「司、行ってこい」
「いいのか隼」
「うん、お父さんとお母さんには俺から言っておくからさ」
「ありがとう隼。ちょっと帰りが遅くなるかもしれない」
「ほら、早く行けよ」
そして俺は隼に背中を押され、彼女を全力で追いかけた。
目が覚めた、ここはどうやら病院の中みたいだ。俺は夢を見ていたらしい。
「黒川...」
っと言って俺の手を握っていたのは
そう、あの夢の女の子と同じ白く透き通った髪の二宮夏希だった。
「よかった、ほんとに、私、黒川がいなくなったら私...」
彼女は泣いていた。珍しく俺を心配していた。
「ありがとうな、二宮」
っと俺は泣いている彼女の頭を撫でた。
「俺はもしかしたらこいつに助けられたのかもしれないな」