スタンド・バイ・ミー
ドラえもんの「スタンド・バイ・ミー」じゃないですよ
発表する作品が、ことごとく映画、ドラマなど映像化される、ホラー界の巨匠、スティーブン・キング。
デビュー作は「キャリー」。1974年、大ヒットし、ブライアン・デ・パルマ監督により映画化されました。
スティーブン・キングは、続いて書き上げた吸血鬼の話、「Second Coming」を、編集者ビルに渡すと、ビルは渋りました。
何でか?
それは、「キャリー」と同じ、ホラーだったから。
当時はホラーだけでは食べていけませんでした。
(今の時代だと、一部の人を除いて、何を書いても、それだけでは食べていけないかも)
「エクソシスト」は一発屋だったし、クトゥルフ神話を創り上げた小説家、ラブクラフトの晩年は悲惨なものでした。ビルは、キングにホラー作家のレッテルが張られることを危惧したのです。
そんな訳で、スティーブン・キングはホラーではない作品を書くことになります。
それが、「スタンド・バイ・ミー」。
原題は「The Body(死体)」。「Second Coming」のすぐ後に執筆されましたが、しばらく発表されず、1982年に、中編を4つ集めた作品集「恐怖の四季( Different Seasons )」に収載され、1986年、ロブ・ライナー監督により、映画化されました。
1960年のオレゴンを舞台にした青春映画。12、3歳の少年が、夏休みの間に、死体を見つける旅に出るというお話です。
誰にだって少年少女の時代はありました。仲間たちと楽しくふざけ合った子供時代。もう2度と戻ってきません。
登場する大人は全員、癖のある嫌なやつ。「スタンド・バイ・ミー」は大人のための「星の王子様」なのです。(サンテックスの童話)
最高に、切なく、清々しく、爽やかな映画です。
なぜ、そう感じるのか?
まず、原作をアレンジした脚本が素晴らしい。
例えば、ゴードンの友達のバーン。坊主頭なのにクシを持ってこさせたり、それを鉄橋から落とさせたり、キャンプの夜、獣の声を聞くたびに、ビクビクと銃を向けたり、最後の別れるシーンで小銭を拾ったり、
そういう、細かなギャグが映画の雰囲気をすごく良くしています。
監督も、撮影もすばらしい。ああいう郷愁感あふれる映像、リアルで活き活きとした演技。
でも、それだけじゃない。
それは何か?
音楽です。
映画には、5、60年代にヒットした名曲が満載。
「ロリポップ」「エヴリディ」「レット・ザ・グッド・タイムス・ロール」「カム・ゴー・ウィズ・ミー」「ウィスパーリング・ベルズ」「ゲット・ア・ジョブ」「ヤケティ・ヤック」「グレート・ボール・オブ・ファイアー」「ミスター・リー」「ブック・オブ・ラブ」などなど……
特に、ベン・E・キングの「スタンド・バイ・ミー」。
これまでに、これほど映画の顔となり、映画の心を現した曲があったか。映画の20年以上前に作られた曲が、もう映画なしに語れないし、映画も、この曲なしに語れない。
トライアングルと、ギロのリズムに、独特なベースコード、ストリング。そしてベン・E・キングの心に響く歌声。
どんなことがあっても、君に側にいて欲しい(スタンド・バイ・ミー)と、訴えてきます。
スタンド・バイ・ミー。
でも、主人公、ゴードン・ラチャンス以外の仲間は、旅の後、若くして皆、死ぬ運命なのです。クリス役のリヴァー・フェニックスは、本当に若くして死んでしまった。
切ない。切なすぎる……。
何回でも観れる映画。
曲は1日中、聴いていられるでしょう。
この映画は、絶対に見逃せませんね。
ちなみに、映画では、12、3歳の子供たちがスパスパとタバコをふかしています。現代だと、まじめな大人たちからクレームが来そう。
でも、この時代60年はまだタバコの規制は進んでいなかったし、あったとしても、健全なる不良少年には、規制は関係ありません。
ただ、映画が撮られたのは86年だったので、ロブ・ライナー監督は、子供たちに本当にタバコを吸わせられなかった。映画で吸っているのは、実はタバコじゃありません。
あれは「レタス」を乾燥させて紙で巻いたものなんですね。
どんな味なんでしょう?
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みなさま、おすすめ、ありがとうございます!
Y(#^.^#)Y
さて、次回の曲は、なんでしょう~。
クイズです。
どなたが当たるかな?
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