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発展途上の魔法文化圏  作者: 桜音羽瑠
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【8話】 男二人の密会

あの山でみた美しい炎、そして幼馴染み。

 それから、突然歪んだ壁に吸い込まれ、真っ白な教室に出たと思うと、今度は少し廊下を歩くと魔方陣で真っ白な空間に飛ばされ、更にそこでみた数々な不思議な現象。


 これらについてなにか知っているかと聞かれたら、何も知らないけど不思議だね。としか言いようがない。

 もちろんそれは……


「さて、お前はどこまで知っている」


 と、問いかけられても同じことである。俺は不思議な現象であること以外なにも知らない。それ以外に知っていることは、先生に聞いたいくつかのことだけだ。


「どこまで知っているって言われてもなぁ……」

「そうか。では質問を変えようか。璃緒や俺の存在について、璃緒からなにか聞いていないのか?」


 ……さっぱり忘れていた。そういえば壁に吸い込まれる前に璃緒がなにか言いかけていたんだった。

 それに、こんなのは聞いていないなどと何か知っているようなそぶりも見せていた気がする。


「何も聞いていない。話す前に教室に転送されてしまったからな」

「聞いていない……か、でもお前には俺の持っている情報を、共有する必要があると考えているんだが。……まずは予備知識からだな」


 なんのことだ?俺に共有したいことって。なにかやらかしたことでもあったか?

 南雲は立ち上がり、部屋を歩きながら続ける。


「まずは先程のシロアさんの件はありがとな。その事件についてだが……実はあのような事件が日本中のすべての高校で起きているんだ」

「……どういうことだ」

「行った通りのことだよ。色々な高校で鉄柱が落ちたり、車が突っ込んできたりしている。そしてそのなかで事件を食い止められたのはたったの二十三件だけだ」


「そうなのか……それと気になったんだけど、さっきから事件って言ってるけど事故じゃないのか?鉄柱が落ちるとか事故でしかないだろ?」

「いや、事件で間違いない。確かに自然に鉄柱が落ちたとしたらどう考えても事故だが、意図的に落とされたとしたらどうだろう」

「意図的?誰かが仕組んだって言うのか?」

「ああ、そうだ日本政府が意図的にすべての高校で起こした事件。その事件をたったの二十三件しか止められなかった。ということを前提に聞いてほしいことがある」


 正直いってもう頭がいっぱいいっぱいだった。日本政府が仕組んだって?すべての高校で?何でそのようなことをするのか見当もつかない。

 ましてや、南雲が俺にこの事を話す理由はなんだ?そして璃緒と南雲の関連性について……気になることはたくさんある。

 …………しかし考え込んでいてもなにも始まらない。どうやらまだ話しは続くようだし、考えるのは話を聞いてからでも遅くないだろう。


「まず、俺や璃緒についてだ。俺や璃緒、その他にこの学年には四人いる。その正体は先駆者テスターと呼ばれ、能力を扱う才能がある人を選んで教育をほどこされた人々のことだ。」

「な、なんでそんなことを……まさか能力者の出現を日本は予測してたというのか!?」


 日本の内閣はそこまでするようになったのか?そういえば最近内閣の不祥事や国会での事件が起きていないような気がする。能力者についてのことがばれないように慎重になっていたのだろうか。


「その通り。俺も璃緒もテスターだからある程度のことはすでに知っていた。……だが事件報告後に、本部との通信が途絶えてしまった。璃緒やその他の連中も通信は切れている。まぁこうなることはあらかじめ予告されていたことだが」

「な……なんか信じられない話だけど今は信じるしかないか……俺は南雲の言ったことを信じるよ」

「ありがとな、あと大輝と呼んでくれて構わないぞ」

「オーケー、俺のことも慧でいいよ」


 大輝は金髪の癖に話し方が固いから怖い人だと思っていたが以外にそうでもないらしい。


「わかった。慧、さてここからが本題だ。先程言った事件についてだ。あの事件では二十二件が先駆者テスターによって防がれた。つまり残りの一件だけは先駆者ではない人によって防がれている」

「なるほど…………ってそれおれじゃねーか!!!!」

「ああ、それゆえ慧、君は大分注目されることになるだろう。元々あの事件は対応力と適正をみるテストみたいなものだったみたいだし、被害に遭っても全員ほぼ無傷になっているようだしね」

「え、俺が政府から注目を受けてるってこと?」

「そういうことだ。慧の行動は政府に大きな影響を与えるだろう」

「お、おう」


 俺がそんなに影響力のある存在になるなんて……少なくとも日本で二十三番目に影響力があるなんて、そんな嘘みたいな……


「というわけで、これが俺の伝えたかったことと、今日の君が寝ている間に説明されたことだよ。今回は俺の情報があてになったけど、次回からはそうもいかないだろうから慧にも頼らせてもらうことになると思う」

「わかった。よろしくな大輝」

「ああ、よろしく慧」


 大輝は立ち上がり部屋を出ていった。

 今日、頭につぎ込まれた情報量は憲法に比べれば少ないが、理解するのは憲法よりも難しいであろう。

 情報量が少ないとはいえ、理解できないようなことが多すぎる。アニメや漫画の世界にのめり込んでいる人なら、もう少し理解が早まっただろうか。

 しかし、このような能力者が生まれていいのはその世界でのみだ。現実世界で能力が使えるようになると、やはり、その人々でも理解に苦しむであろう。


 とはいえ、現実に起こってしまったのだから仕方がない。すべてを受け入れ了承することを前提で生きなければならなくなったのだ。



ーーだからーー



 考えを整理するべく俺は眠りについた。


そして、作者も寝るのでした(´ω` )zzZ

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