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発展途上の魔法文化圏  作者: 桜音羽瑠
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【2話】 初めての教室


 とはいえどうしたらいいものか。この状況を打開するには一度みんなをに話を聞いてもらうのが一番いいだろう。しかし見知らぬ人の言葉なんて届くわけがない。

 ならばいっそ先生たちが出てこなきゃいけないような軽犯罪でも犯すか?……いや、それはない。しかしまぁ、俺もこの状況で少し疲れてしまっているようだ。



「慧くん、おーい、慧くーん?」

「あ、いやごめんちょっと考え事してて」


 改めてこの状況を見てみると本当に酷いものだ。やはり皆冷静を保ててない。かくいう俺もギリギリ冷静さを保っていると言っていいだろう。


「大丈夫?浮かれない顔してるよ」

「うん、大丈夫だよ。というより、やっぱりこの状況おかしいと思わないか?」

「そうだね、ちょっと聞いてたのと違うかな」

「そう……か。璃緒、やっぱり先に璃緒のことについて教えてくれないか?怪物やあの炎のことも……そうすれば何か分かるかも知れないし」


 俺が昨日みた炎、そして校長先生の話、謎の怪物、能力者。そして何かを知っているかのような素振り。やっぱり璃緒は何かを隠している。


「そう……だね、じゃあ話してもいいかな。実はわたしー……」

「ちょっと待て璃緒、ここ、なんか変じゃないか?」


 周りが真っ白の壁のなかこの近くの壁だけ少し模様が付いてる。昔の幾何学的な不思議でどこか引き込まれる模様。

 なぜ璃緒の話をさえぎってまでここが気になったのかはわからない。しかしなぜか、無性にこの壁が気になってしまったのだ。

 他の生徒たちは気づいていないようだ。


「ここになんかあるのかな……っと」


 俺が壁に触れた瞬間、壁が目映い光を放ち……


「え、ちょ、まって、なにがおきてるん……」


 ブォン


 その音とともに自分の視界が一瞬揺らぐ。グラグラして頭が痛い。一瞬なのに永遠のように時を感じる。


 やがて視界が戻ると、そこは知らない場所だった。


 ここは教室だろうか、近代的な机と椅子が幾つか並んでいる。壁は真っ白で汚れ一つない。少しだけ真新しい新品の家具の匂いがする。

 と、教室と思われるこの部屋を眺めていると不意に一人の人が目に入った。


「フフ、はじめましてあなたは、えーと確か慧くん、だったっけ?あなたの担任の教師となる月島よ。それにしてもあなた、Aクラスの一番目。すなわち学年一位ってことになるわ。おめでとう」


 水色短髪の美しい女性。スタイル抜群でぱっつんぱっつんの服を着ていて下はタイトスカート。それでいてどこか頼りがいがありそうな感じだ。

 大人の魅力を漂わせている先生に、少しだけとれてしまった。


「あ、どうも……っじゃなくて!一体何が起こったのか説明してくださいよ!ただでさえ何が起きてるか理解が追い付いていないのに……」


 ブォン


「慧くん話の途中で悪いわね。えーと、Aクラスの二人目、すなわち七位ね。えーとあなたは、白亜シロア……白亜=グリモアル=ファルセさんだったかしら」


 そこに突如なにもない空間から現れた謎の美少女。髪は真っ白でどこか気の抜けた顔をしている。

 自分も先ほどあんなに風に現れたのか?そんな疑問が頭をよぎる。


「う、うう頭がじんじんする」

「大丈夫か、えーとシロアさん?」

「シロアでいい、よ」

「へ?」

「もーっ、呼び捨てで良いって言ってるの!えーとあなたは……」

「俺は榎本えのもとけいだ、よろしく……シロア」

「よろしく、榎本くん」


挿絵(By みてみん)


 白亜が満面の笑みで微笑んできた。こ、これは大体の男なら一撃で持っていかれる破壊力があるぞ……思わず俺も持っていかれるとこだった。

 しかし、自分の体調のことよりも名前の呼び方を直してくるなんて変な子だなー、という印象の方が俺には強く残った。


「シロアさん大丈夫?」

「先生もできれば、さん付けはやめ、て」


 シロアは俺に満面の笑みを向けた後に、再び頭を抱えていたようだ。

 先生の言い方まで直すとはなかなか肝が据わってる子だ。これには流石に少し驚いた。


「んもぅ、そんなこと言われたら困っちゃうわ、それよりもまずはその酔いを治しましょ【リコペレーション】」


 先生の周りを淡い光が包み込む。その後すぐにシロアに向かってその光が流れて行く。

 先生が放った光はシロアの体に引き込まれていくかのようにスッと消えた。先生の元々の美しさに加え神々しい光が追加され、とても綺麗だった。


「シロアちゃん、あなたは感覚神経が強いようね、これからの成長が楽しみだわ」

「先生、今のって……」

「ええ、魔法よ」

「へー魔法ですかー……って信じれるわけあるか!!」

「先生、さっきまでのが嘘みたいに治りました!ありがとうございます」


 俺の悲痛な叫びを無視するかのようにシロアが先生に詰め寄りお礼を言っている。


「ふふん、先生これでも回復魔法は得意なのよ」


 やっぱり何かがおかしい。これって俺がおかしいのか?魔法かなんか知らないけど、こんな当たり前のことだっけ?


「あ、そういえば、校長先生の話では先生が色々説明してくれるって話だったので、先生説明お願いできます?」

「そうね、そろそろみんな来たようだし始めるとするわね」

「え、みんな?」


 俺達が話している間にいつの間にか人が集まってたようだ。人数は約40人。

 それぞれこの高校の指定制服着ている。男女比は半分くらい。


「この中で具合悪い人とかいますかー?」


 誰も手をあげるものは居なかった。


「よしっ、じゃあ適当に席について、説明を始めるから」


 そう言うと先生は黒板の前に立った。そこでリモコンのようなものを持ち出し、幾つかボタンを押すと天井からモニターが出てきた。とても近代的な機械だ。


「さて、何から説明したら良いのやら、とりあえず1から順を追って説明するね」


 再びボタンを押すと、一つのニュース記事がモニターに写った。


『謎の怪物発見数増加。近年、正体不明の生物が確認される例が増えています。それに伴い、目撃される人形の生物の確認も増えてきています。この案件について世界ではさまざまな見解が出ています』


「このような内容のニュースはみんな一度は見たことがあるよね?じゃあまずはこのニュースについての真実を教えようか」


 意義を唱える者は居なかった。


「このニュースでは謎の怪物と呼ばれている生物それは合成でも何でもない……本物よ。私達は懐魔と呼んでいるわ」


 教室がざわめき始める。それを収めるかのように先生がパンパンと手を叩き、なだめるように再び話し出す。


「はいはい、この程度でいちいちざわつかれると話が進まないから質問は後で受け付けまーす。では続きね、次は一緒に現れるっていう人形の生物のことについてね。端的に言うとあれは人間そして未来の私達よ」


 いよいよもって意味がわからなくなってきた。あの怪物が実在してたのは昨日のなんとなく知ってた。

 しかし先生の話が本当だと璃緒もあの人形の生物と同じってことになるのか?

 やっぱり非現実過ぎて頭が追い付かない。


「そしてあなたたちがこの高校に集められ、変な演説を聞き、一見おかしいクラス分けをされた理由は……」



懐魔あいつらを倒すためよ」



 先生はどや顔で言い切った

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