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発展途上の魔法文化圏  作者: 桜音羽瑠
1/9

プロローグ

 忙しくて他の作品お休みしていました申し訳ありませんm(_ _)m

 これからもよろしくお願いします。

 この作品に続き、他の作品も随時更新して行きます。



 俺の名前は榎本えのもとけい。明日から高校生になる。だからといって特にワクワクしてるわけでも無いし、高校生になったからって髪を染めたりするわけではない。


 中学校の卒業式を終えてからは、友達と数人で遊び回った。それはそれは楽しい日々だった。しかし明日入学式の今、もうやるべきこともやりたいこともなくなってしまった。

 毎日毎日、ぐうたら怠惰な日々を送っていた。今日も今日とてもて余した時間をやり込んでいるゲームに費やしていた。


「ああ、腹が減ったな」


 突然自分の腹が空腹を訴えてきた。

 冷蔵庫を確認するわけもなく、母親へ声をかける。


「かーさん、飯」


 返事はない。


「あ、そうか、今日かーさん仕事じゃん」


 そう独り言を呟くと、俺は財布をもってコンビニへ向かった。二日ぶりに履いた靴は少し小さく感じた。


 俺の地元は都会というには少し足りてない、田舎と都会の中間くらいの町だった。

 少し遠くには山がはっきりと見えるが、反対側を向けば少しビルが建ち並んでいる。


 夕方なのにまだじりじりと日が照りつけている。照りつける日で、屈むと蜃気楼が見えるほどのアスファルトを踏みしめながら、コンビニへと向かっていく。


「だーるまさんがころんだ」

「タッチ!」

「キャーッ逃げろー!!」


 公園で子供たちの遊ぶ声が聞こえる。ここの公園を通るときは子供たちの遊ぶ声とほんの少しだけ草の匂いがしてくる。俺はその匂いも好きだった。

 ああ、この公園でもよく遊んだな。


 小学生低学年の頃、俺には幼馴染みの女の子がいた。


 彼女の名前は桃咲とうさき璃緒りお


璃緒とはとても仲が良かった。

 公園ではカラスが泣き出すまで遊んだし、雨の日も周りの子を巻き込んで、泥だらけになりながら遊んだ。近くの山に二人だけの秘密基地も作った。


 だが、小学校三年生の終業式以来、璃緒とは音信不通で、電話を掛けても家に行っても、彼女と再び会うことも話すことも叶わなかった。彼女は今どこで何をしているのだろう……


「どこにいるんだろうな」


 ふと呟いてしまった。


 公園を通りすぎ、再びコンビニへと向かう。その道は先程までの道より少し重い。璃緒のことを思い出してしまったからだろうか。


 やがてコンビニがはっきりと見えてくる。住宅街にぽっつりと建っているコンビニ。このコンビニは不良の集まりや暴走族が居たりなんて物騒なことはない。


 そのコンビニに一際異彩を放つ人物がいた。コンビニで働く名物店長である。

 がたいが良く、それでいてイケメンで金髪というこの町では珍しい風貌の人だ。最もここが外国なら珍しくもなんともないだろうが。


 少し風が冷たくなってきた。そんな中、今日はコンビニに入る前に異彩を放つ人物を発見した。髪色が桃色の人物。もちろん、店長とは別の人物だ。


「ん?ピンク?」


 髪が長いから女性だろうが、顔がよく見えない。

 二次元でもないのに、髪色が綺麗なピンクでなぜだか違和感を感じさせない。


 思わず、昔見たアニメのキャラクターにに重ねてしまった。それほどに彼女は自然体で、産まれてからずっと髪がピンクだと言われても信じてしまうほどに違和感を感じない。


 ふと彼女が振り向いた。


 俺は反射的に電柱に体を隠した。特に悪いことはしてるつもりはなかったのだが、体が勝手に動いてしまった。

 そこで見えた顔に驚きを隠しきれなかった。


「え、嘘だろ……璃緒?」


 俺が璃緒を見間違うはずはない。あれは絶対璃緒だ。昔は良く璃緒にあとをつけられ、散々に驚かされたものだ。

 今は立場が逆だ。フフフ、驚かしてやる。今すぐ声を掛けたい衝動を押さえて。璃緒への逆襲をするべく、あとをついていくことにした。


 少し騒がしかった周りの音も止み、静まり返っている。そんな少し不気味な空気を感じながら、コンビニそっちのけで璃緒についていった。



                ◇ ◇ ◇ ◇


「あれ?」


 只今俺は客観的に見ればストーカー行為となることしてるわけだが。しかし、どうやって驚かそうか考えているうちに璃緒はどんどん山のなかに入って行ってしまった。


 もちろん、今更あとをつけるのをめられるはずはなく、俺も山の中へと進んでいく。

 昔と変わらない、土と樹木の薫りを味わいながら、どんどん先に進んでいく。


 おいおい、いったいどこまで行くんだよ。


 心のなかで悪態をついているあいだも璃緒は山道をもろともせず進んでいく。


「おわっ!」


 木の根っこに足を引っ掛けて盛大に転んでしまった。良く見たら近くにキノコが生えている。これは……ベニなんたか茸だった気がする。


 おっと、今は璃緒を捜さなければ。しかし璃緒の姿はそこにはなかった。


「くっ見失ったか……ん?あれは、璃緒と作った秘密基地か、まだ残ってんだな」


 所々ボロボロになっているが、まだ形を保っている。中は確認もするまでもなく覚えている。

 近くの四角形に並んでいる木をベースにしてその回りに布を張り、それを草や木の実、枝などで隠したら簡易的な基地。

 その中には擬似キッチンや寝室といったものがある。


「なつかしーな」


 と、物思いに耽っていたその瞬間。視界がグニャッと歪む。続いて足元がぐらつく。


「くそっなんだいきなり」


 悪態をつく間も視界は歪み続けている。だが直後、視界の歪みがもとに戻った。

 風がどうどうと吹きめぐる。どんどん風が強くなっているようだ。


「なんだったんだ今のは」


 どうせ少し疲れていたのだろう。璃緒も見つからないし、今日はもう帰るかと、後ろを振り向く。


「グルルルル」

「ん?…………っっっ!!」


 振り向いた瞬間目の前に飛び込んできた謎の黒い物体。

 言葉にならない。なんだこの物体は、ふわふわと浮いている。大きさはサッカーボール位で少し歪な球の形をしている。しかも大きな口らしきものがその物体の大部分を占拠している。

 口らしきものがついていることから、生物だと予測させられるが、体はついておらず、足や手、目や耳もない。


 ……そんなのが数匹突然目の前に現れた。


「なんだ、こいつは……」


 突然現れた謎の生物に目を取られていると、ここ一番、一際強い風が吹き荒れた。

 しかし、その風は先程までとは違い、少し熱気を含んでいた。


 ……いつの間にか見失っていた璃緒が体に炎を纏っていた。


「璃緒!!」


 何かの事故かと思い必死に叫ぶ。

 しかし璃緒は俺の言葉を聞いて一瞬驚いたような顔をしたが、すぐに謎の怪物の方を振り向いて、その手から怪物に向かって炎を放った。


 まるでアニメや漫画のような光景に、俺はただただ黙って見ていることしか出来なかった。辺りはどんどん熱気に包まれていく。

 璃緒が放った炎が怪物たちを根絶やしにしていく。


 怪物は炎を打たれ、一匹を残し消え去っていった。

うち漏らした怪物は口の中から謎の球体を璃緒に向かって吐き出した。

 だがその球体すらも簡単に打ち落とした璃緒は最後の一匹にとどめを指した。そして俺の方を振り向いて……

 


「久しぶりだね慧君、ところで君はなんの能力者?」



挿絵(By みてみん)



 え?なんて?

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