終
なに塵の戯れ言だと思えばいい
私には何も与えられなかった。
何も感じなかった。
普通にはなれなかった。
周りが私に期待した。
何度も何度も挫折した。
普通になるために何度も努力した。血を吐き、病気になり、とても苦しかった。
普通に見られる為に努力した。
普通に見せ掛ける事を覚えた。
世界はいつも歪んで見えた。
食べ物は肉は血の味。魚は生臭かった。野菜はわからなかった。
馬鹿になろうとした。だが、生半可な知識と周りがそれを許さなかった。
人の顔は皆同じだった。親の顔でさえ意識してなければ認識出来なかった。
人はとても臭いがきつかった。
音はよく聴こえなかった。
字が見えなかった。覚える為に記号とした。
当たり前がわからなかった。理解はしていた。でも、それを私は身に付け使っていくことが出来なかった。
生きたいとはどうも思えなかった。物心がついた頃には生きる事の意味を知りたがっていた。結論、意味は無い。周りがこじつけているということだけはよく分かった。
私の家は仏教の家だった。私は仏教、いや宗教が嫌いだ。
この世は地獄だ。人は生きている様で実は死んでいる。
それなのに死後の世界だ、地獄だ天国だ、輪廻やら転生やらそういう事を無責任に垂れ流すのが嫌いだった。
そもそも、この世は地獄。死んでいるのにリタイアしても無になることは許さない、許されない。そんな事を創造し垂れ流しそれをただ信仰する。とてつもない嫌悪感が私を襲い、なんども吐きそうになった。
私はプライドというモノを身に付けてしまった。
それは地獄を加速させるだけの代物であり、無能で底脳な私を苦しめた。
周りは全て同じだった。皆、同じ事を同じ顔で言う。
私は人を信じることが出来なかった。
楽しいと思ったことは一度もなかった。
そもそも楽しいという感情が分からなかった。
私は生まれつき欠陥だらけだった。
何時からか、他人はそれを笑いの種とし蔑む事を知った。
嘘が得意になった。どんなに辛くとも苦しくても平常を装い、逃げた。
趣味がなかった。持てなかった。
暇というものはあった。色々なモノに手を出してみた。つまらなかった。人並みに出来なかった。
付き合ってた人はいた。いとおしいとは思えなかった。愛が分からなかった。
理論が嫌いだった。人を枠でしか見れない人しか居なくて、とてもつまらなかった。嫌いだった。
友はいた。どんなに一緒にいようとも既に忘れていた。
感情分からずとも理解は出来た。
周りに強いられ鍛えられた精神は私に狂う事を許さなかった。
適当という事が出来なかった。
血ヘドを吐き、進学校、難関大学に入った。全てつまらなかった。無駄だった。
私の未来に希望などなかった。絶望なら常にあった。
私はまた病気になった。
眠る事のない日々が3ヶ月ほど続いた。その過程は私を壊してくれた。
生というしがらみから抜け出す決心を着かせてくれた。
元から死について強く希望していたが、やっとそれが叶う。
私は全て憎もう。
私は無になる。
少しは楽しんで頂けただろうか?これはとある人物の人生だ。君たちには関係ない。
君は君だそれを見失うな