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弐十壱ノ太刀【あいつの性別俺の性癖】

 俺の目の前には不思議な光景が広がっていた。俺が友達になることを命じられた会長の弟、榊原 涙が保健室でYシャツを脱ぎ掛けていたのである。

 いや、普通に脱ぎ掛けなら良いのだ。しかし…とある所に女の子限定の膨らみがある。男には絶対にないあれだ。

「と、とう…とくん…?」

 向こう側も男とは全く違う大きな瞳を見開いてこっちを見ている。明らかなる驚きだ。

 これは、俺が稀に地雷を踏んでしまう、ちょいとBL混じりっぽい話である。



「どうしたのよ冬兎。今日もなんだか変じゃない」

「今日もの"も"を強調したよね?酷いや茉理さん、ボクばっかり苛めるなんて」

 ドゴッという効果音と共に今日も俺の一日が始まる。

「マジで殴るところありました…?」

 顔面から拳が退かされると俺の視界がクリアになる。ついでに茉理の不機嫌そうな顔が見えた。腰に両手を当てている、すごく…ツンデレっぽいです。

 うむ、しかしそうか…今日は縞々のニーソックスか。黒とピンクなところがマニアックだ茉理さん。読者サービスですね、わかります。自分で言っておいてなんだが読者って何だろう。

「茉鶴は仮入部の朝練見てくるとか言うし、アンタと二人で登校だし、朝から運勢占い11位だし…ッ」

「最初と最後俺のせいじゃないし二番目のやつにいたっては理不尽だよね?12位になってれば俺が大分スッキリしたの――」


「一条院奥義、華孔旋!!!」

 ―――スド――――ンッッッ!!!

 頂きましたァアアアアアアアアアアアア―――――ッッ!!!!


 前に言っていたと思うドMな反応をやってみた。調子に乗っているがかなり痛い。

 宙で一回転をした後、桜の木に突っ込んだ。あぁ…俺完全にギャグキャラだ。

「えいッ」

 頭隠して尻隠さずの状態で刺さっていた俺の尻に、かなり勢いに乗った何かがぶち当たる。もうここからの展開はどうなるか想像が付いたな。落ちが見えたッってやつか。

 痛さで声を出す前に俺の引っ掛かっていた枝が折れて、ズドムッッ!!と地面に着地する。うむ、ナイスだ俺。尻餅の突き方も絶対に可憐だぜ。もしかしたら尻の骨が折れちゃったかも知れないぜ。

「……何で落としたの…?」

「時間の無駄なんだから仕方ないじゃない。一々木に登るのも面倒だし、結構遅刻すれすれなんだから」

「遅刻すれすれな原因が自分のせいだとわかってる!?お前起きてから30分くらい話し聞かなかったじゃん俺殴ったじゃん!見てよこの頬の凹み具合!ジャッ○ー・チェンもビックリだ!」

 ツンデレは全部低血圧なのだろうか。ツルギは眠たがるだけだがこいつはマジに暴力を振るうから始末が悪い。抱き付くとかしてくれれば美味しいのに。

 スカートのポケットに手を入れながらこっちを見てくる姿だけは可憐だ。しかし如何せん態度と腹の中の煮え繰り方が半端じゃない。

 

 ―――キ―――ン…コ―――ンカ―――ン…コッ


 チャイムが何故かコッで終わったが…それはもう別に良いや。なんたって…、

「茉理さ〜〜〜ん!!!置いてかないで下さぁ〜〜〜いッ!!!」

 いつの間にか金髪ツーテ娘がかなりの速度で走り出していた。酷い、酷いよ茉理さん。俺を置いて一人で行くなんて。これからは怪獣マツりんって呼ぶぞこら。

「ちょ、付いて来ないでよ!」

「酷いやマツりん!俺も君と同じ学校の生徒ですよ!?チャイム変なところで区切る学校の生徒なんですよ!?」

「マツりんって何よバカッ!死ねゴ○ブリッ!」

「もはや台所の悪魔もしくは黒い核兵器扱いですか!?しかも死ね!?この怪獣マツり――ぐぼぁあああッッッッ!!!!!?」

 茉理の手から放たれたカバンが、核弾頭から射出された核並みの速度を付けて走っていた俺の顔面にぶち当たった。

 カバンが宙を舞う俺の顔から離れて行き、俺の視界には空の青さが映る。

 

 ―――お母さん、今日も冬兎は元気ですよ。どのくらい元気かと言うと宙を舞って地面に激突しても平気なくらい元気です。俺そろそろ仮面○イダーになれるかも知れないです、変身スーツ無しで。


 俺の中で苦手な科目ベスト3のトップに輝くのが数学である。いや、本当に最初から(つまづ)いたんだって。訳のわからんxyの公式とか並べられても無理な物は無理なんだよ。

「………や、やっと終わった…」

 机に頬をつけながら溜め息を吐いた。ダメだ、苦手科目だけは得意科目にならん。普通の授業の数十倍くらい疲れる。しかも、なんだって数学の担任は嫌味そうな奴なんだ。もっとやる気が削がれるってもんだろ。

「次の時間は合同体育だよ、フユ♪わたしもフユと色々合同したいな〜♪」

 背後から男子校舎だと忘れさせるくらい甘い香りを出す柔らかい体が抱き付いて来る。この香りは…あれか、苺のカキ氷の香りだな。

「抱きつくな!?」

「良いじゃない〜。なんかわたしだけ別の更衣室で着替えさせられるんだから〜。もう、わたしも男の子なのにねッ」

「差別されたくないなら先ずその外見からなんとかしろ!別々の更衣室なのは良き先生の計らいだ!間違い起こす男子を出したくないだろうが!」

 きっとこいつ相手に間違った男子生徒は次の日死ぬほど後悔した上に他の生徒に白目で見られるのだろう。俺もそんな犠牲者みたくないぜ。

「お前もさっさと着替えに行け…」

「いやだよ〜〜!フユと着替えるんだからぁあああ〜〜〜!!!」


 こいつツルギの次にしつこいよなッ!さっさと着替えに行け!


 と言う訳で、色々とカットしまくった結果、俺は一人で保健室の前に立っているのだ。カットし過ぎて説明省いたな…。

 まぁ、男子達の視線が怖いから俺はずっとここで着替えている訳だが。いや、あいつ等の獣の目は凄いですよ、なんか俺の3サイズが測定されそうな勢いだ。いや、3サイズなんてないんだが。

 もうそろそろ半ズボンも寒くなって来る頃なんだが…長ズボンって走りにくいんだよなぁ。

「しつれいしまぁ〜すッ」

 ガラガラと引き戸を開けながら定例の事を言う。言わないで入室した時地獄を見たんだ、俺。あの時女子の身体測定だったなんて知らなくてさ、入室したんだけどその時体育終わって体操着姿でさ、女子が俺のことに全然気付かなくてね。もう、逆に男子だと気付いて痛め付けてくれた方が楽だったな。精神的に大打撃だったぞあれは。

 って、そんなこと言ってる場合じゃないんだ。もう後5分まで迫ってるし、早く着替えなくては。

 目の前では髪が肩まである男子生徒が半脱ぎでこっちを見ている。


「と、とう…とくん…?」


 ありゃ、涙だったのか。何か、やっぱりお前肌白いよな面白いくらいに。

「涙じゃないか。お前もここで…着替え…きがえ…え…?」

 Yシャツ半脱ぎがエロッちぃとかそういう問題じゃない。俺は薔薇じゃないとか言う前にかなり気になることがある。

 ブリーフがエロい…じゃなく、お前、胸膨らんでないか。しかも、それが本物だとしたなら…俺が見ているのは生チチ…?

「……ひ、ひぅ…」

「泣くなその格好で。声出したら人が来てお前も俺も真っ青まっしぐらだ。良いな?泣くなよ?」

 俺はズボンのベルトに手を掛けた状態で静止している。涙に至っては半脱ぎだ、この状況をどう思う。…やべぇ、すごく回避不能です。何をどう言えば良いのか詰まります。これがゲームなら積みました。

 どうせここで男子とかに見付かったらトウト×ルイとか言われるに決まってるんだ。見てた男子は全部消すとしよう。


 ――せんせー!男子一人怪我したんですけどー!


 ノックと同時に声が聞こえた。まだだ!俺達の心の準備(ターン)はまだ終了してないぜ!

「ひょ…ッ!?」

 俺が無理矢理腕を引っ張ると涙の口からあり得ない声が出る。なんだ、お前は虫使いなのか。そしてもうライフが0なのか。

 とりあえずカーテンで覆われたベッドに二人で入り込む。同時に男子生徒達が部屋に入って来た。危ない、とりあえず第一関門は突破したな。

「とうとくん…あの…」

「ちょっと我慢し―――ッッッ!!!!!」

 焦り過ぎて忘れていたがベッドに涙が仰向けで寝転がり、俺はそれに覆い被さっている。ちょっとこれから○○使っちゃうぜ的な展開直前の場面だ。この場合俺の方がやばい(理性的な意味で)。

 というか、こいつ明らかに男じゃないよな。匂いから柔らかさ、近くで見るともっとわかる女の顔立ち。いや、俺の好みかも知れないのは置いておくとして、この状況はまずい。


 ――おい、先生職員室じゃね?

 ――めんどくせぇなぁ。蛇口で洗い流してカットバン貼っとくか。


 あぁ……男子諸君、出て行ってくれたことは嬉しいのだが…この状況をギャグにしてから帰ってくれないかね。このままじゃ何も出来なくて後編に続くとかになるじゃん。

「い、いやそのこれはね?ついやっちゃうんだ♪的なノリと言うか…その、すまん」

 涙の上から退くと、背中を向けて座る。あぁ〜〜〜…あのさ、無消化のままこの話題飛ばして良いかな。もう明日の朝の茉理にぶっ飛ばされるところで良いから飛んで下さいお願いします。また変な話に巻き込まれそうで嫌なんです。

「――――……み、見ました…?」

 見ました。えぇ、R-15タグか『みせられないよ!』をつけるか迷うくらい見ました。あぁ、そういや俺、子供の頃茉理と風呂入ってたよなぁ…もっと見てれば良かったのにと後悔してみる。

 ここら辺でさ、誰かが「話は聞かせて貰った!」とか言いながら飛び込んで来てくれれば良いのに。もうさ、会長襲撃の時の黒服達で良いから来いよ。この場治めろよ。


「…隠しててごめんなさい……僕…女の子、なんです…」


 BLフラグ消えたな。ありがたいけどありがたくない。無消化ですっ飛ばすって言ったじゃん。

 何でまた問題フラグ立ち上げるの!?俺にまだまだ苦悩しろと!?理不尽に(さいな)まれろとおっしゃるか神よ!俺はドMじゃなィイイイイイイ―――――ッッッ!

 ――――チャイムが空しく鳴り響いていた午前中の出来事である。

はい…新事実発覚と同時に一ヶ月も迷っておりました申し訳ないです首括ります。

いや本当にネタ出なくて!?最後には色んなのを搾り出してたんですよマジで!?

涙が女の子という設定は黎が出て来た時にはもう出来ていて…まぁ、設定の意味はまた内容で出すでしょうが。

キャラが濃くなり過ぎて鐘茜卯さんと会長のキャラが…ついでに茉鶴ちゃんも怪しくなって来ました。

どうなるのだろうかこの小説。

トンでもなく長くならないように努力します。というかもう次回作の件が友達と出ており、ツルギを完結までは持って行きたいのです。どれくらい掛かるんだろう…。

連載って一個が限界ですよね、わかります。

もしかしたら短編も作るかも知れないんでうpしたらそちらもヨロシクお願いします。

それでは、また次回にヨロシクおねがいします!

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