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十七ノ太刀・後【なぜいるクソガキ】

 結構いい歳の(ばば)から丸い物を貰った。「甘いからお食べ」と言われたがどう食べれば良いかわからない。

 袋に包まれていたので、それを剥がすと中には綺麗なピンク色の物が入っていた。これはなんなのだろうと思い匂いを嗅いでみると甘露に似た物みたいだ。

 うむ、どこの世界でも年老いた女子は優しいものじゃ。自分が苦労を知ってるから相手に優しく出来るのだな。

 いやしかし…"がっこう"とはどこなのだろうか。まさか迷ぉたのか吾は。

 まずいな…吾は口下手なのじゃ…人見知りなのじゃ…わかぞぉ〜どこにおるのじゃ〜。


「あれ?巫女服の―――女の子?」


 バカバカバカバカ無理だ無理。

 俺は手首にはめられた手錠を見ながら溜め息をついた。手錠のクサリの先には変に意気込んでいる生徒会長こと榊原 黎がいる。待て、そのやる気はどこから出てるか教えてくれ、俺も試すから。きっと従妹の暴力も幸せに感じられるだろう。

 ―――地球滅びねぇかな…と思わずにはいられん。

 てゆーか確実に往復したら沈むよな、このプールだと…沈んだらあれか、救助されて茉理に顔見られて終わりか。どっちにしろ終わりじゃねぇか。いい加減にしないと俺怒り狂うぞ。

「…水泳部員が多いですわね」

 うわっ、男の方は水泳部なんてないぞ。差別かまた差別か。そりゃ男の水着姿なんて見たくないから良いんだがそれはどうなんだ。

「あら、あれは水泳部のエースの水雫(ミナダ)さんですわね。良い障害物ですわ」

 なぜだ…負けたくないとか言ってた割りには水泳部のエース出て来てて焦らないのはなぜだ…しかもなんか嫌に上から目線だ…ッ。

「さて、本命に挨拶をさせて貰いましょうか。冬子、少し歩くわよ」

「へ?どなたが本命なんですか?(バレンタイン的な意味で)」


「一条院さんに決まってるじゃありませんか。彼女以外わたしの眼中にありませんもの。堂々と挨拶をし、堂々と勝利を収めますわ」

 ――――高飛車だぜ、バンッ!!!


 って違うぞ、気をしっかり持て俺ッ。有り得ない…というか有り得てはいけない展開に意味不明な文を出しちまった!

「か、会長さん!こ、ここここここここは!ここはお気を確かに!?自分の手札をバラして宜しいのですか!」

 俺の命が収められるから!止めてくれ!

 しかし俺が言うと会長は手の甲を口に当てて「当たり前じゃありませんの」とおっしゃる。

「真剣に勝負をしたからこそ、真の勝利が得られますもの」

「な、なぜにそこまでゴ○ラ…えほん、茉理に執着なさるのでしょうか?」

 会長は少し茉理のチームの方を見た後に少し微笑んでいた。

「だって、わたくしが…気兼ねなく競える一番の人ですもの」

 というより気兼ねありで戦ってたら俺は何回ほどあいつに殺されてるんでしょうね。うぉぉ…特に印象に残ってるものだけで365は越えてるぞ。

 最近あいつの俺だけに対する態度が恐るべき速度ででかくなってると思うんだ。小3くらいからあいつの呼び捨ては始まってたんだけどねッ。

「ですが、貴女の運動神経のよさは体型からわかりますわ。貴女にも強力して頂きますわよ」

「それは良いんですが…そ、その、一条院さんへの挨拶は…その―――」

 ちょっと止めた方が良いんじゃないんでしょうかと言う前に俺の腕は手錠に引かれ出したのであった……。



 茉理の金髪は目立ち、すぐに見付かってしまった。そして茉理と一緒にいるポニーテールの鐘茜卯さん。もうどちらも外見が良い。鐘茜卯さんにいたっては中身も綺麗だ。

「もう一方が木炭みたいに真っ黒なんだがな」

 金髪は鐘茜卯さんと会話して…いると思いきやなんだか下の方に視線を向けていた。

「―――のじゃ!」

「―――からって学校にまで来るんじゃないの!それにあのバカはここにはいないわよッ」

「―――のじゃ!ここに若造がいると吾の勘が告げておる!……数珠丸しまってしもうたから上手(うもう)わからんのじゃが…」

 なぁんだ、銀髪クソ娘か………銀髪クソ娘か…。

 ああ、なんかここまで来るとリアクション取り辛ぇ。どうすれば良いんだ。泣き叫べば銀髪娘は家に帰ってくれるのか。というか何でここにいんだよ…。ついでにその勘大正解だよ…ッ。

「ま、まぁまぁ、ね?迷子なんだし、帰しちゃったら可哀想だよ」

 なんだ、鐘茜卯さんはシスターでも目指しているのだろうか。確かに対応としては良いんだがそいつは俺に破滅を持って来る。帰して下さい。

「ふんッ。2体1なのじゃ小娘ッ」

 よし、お前腹が立つから迷子のまま一生帰ってくんな。

「一生迷子してれば良かったのに…ッ」

 茉理…ここまで聞こえてる。それは呟きとは言わない陰口じゃない。不満が口から漏れてるだけだ。しかし今はお前に前面同意。

 手錠が引っ張られる。おい会長待ってくれ。あれを見ろ。ややこしい状況にアンタがいってみろ。もっとややこしいことになるから。


「一条院さん、ちょっと良いかしら?」


 ツルギの言葉を聞かないように耳に栓をしていた茉理の肩を叩く会長。俺は顔を出来る限り俯かせて冷や汗を流している。何で戦争時のスパイよろしくな緊張感を味わなけりゃならんのだ。

「あ、榊原先輩、こんにちは。それでツルギ、家に帰らないと――」

「ナチュラルにスルーしないで下さ…い、いえ、ここで講義したらいつものことですわね…」

 ――――は?え?会長ってそんなキャラなんですか?

「一条院さ――」

「茉理ちゃん、そこまで言っちゃったら可哀想だよ〜」

「良いの!こいつはこれくらい言わないと聞かないんだから!」

 

 ズ―――――――――ン…ビュォォォォォ


 うわぁ、会長ってカッコ良い人だと思ってたんだけど実は無視されるキャラだったのか…。というか俺の周りキャラ濃いからなぁ。お嬢様生徒会長じゃキャラ薄いか。

「ふんッ。い、良いですわ!絶対に競技ではわたくしと冬子が勝つんですから!」

 おい待ってくれ!目の前にゴ○ラとクソガキがいるのにその名前はまずいって!ヤクザな人達の本拠地に水鉄砲持って突っ込むくらいやばいって!

「え?冬子って」

 茉理が振り返る直前、俺は会長の腰に腕を回し持ち上げて―――、


 ビュンッッッ!!!!ドパ――ンッ!!!!!


 と音を立てながら背泳ぎ選手張りなスタイルでプールに突っ込んだ。そんな中で俺は、

 うわっ畜生!鼻に水入りやがった!痛ぇ!

 茉理に海へ突き落とされた幼少時のトラウマが蘇り掛けていた。あん時はこんなもんじゃなくパニックだったが、しかし!今なら言える!背泳ぎ選手凄い。怖くないのかこれが。

 とりあえず少々状況が飲み込めていない会長の手首を掴み、水中を泳ぐ。出来れば向こう岸まで辿り着きたいのだが…。

「…ッ!ッ!(何をしますの冬子!一条院さんと話してましたのに!)」

「………っ。…っ。(水中でなぜ話せるかはツッコミませんが。強いて言うなら命の為です許して下さい)」

「…ッ?ッ?(もしかして一条院さんと何かありましたの?言って御覧なさい)」

「……っ。………っ。(先ず上に上がりましょう。そろそろ息きつくなってきました)」

 俺がジェスチャーで上を指すと二人一緒にプールから顔を上げる。俺はそれと同時に顔を半分プールにつける。女の子達は生徒会長と女子生徒がいきなりプールに突っ込んだ状況に驚いているようだ。

 いや、そりゃ傍から見たら大水泳大会みたいな感じなんだろうが、こっちはバイオ目じゃないくらい怖いんだよ。今なら真っ暗な部屋でホラーゲーム出来るわ。

「さっきから変ですわよ、冬子。いきなりプールに飛び込ませたりして」

 しかし俺は茉理に止められてるのを無視し、巫女服を器用に脱いだツルギに目線が行っていた。ちょっと待て、あいつの腕にバチバチ鳴っていそうな青い何かが絡んでいるんだが。

「知ってます?純水って電気を通さないんですよ?」

「何の豆知識ですの?それに、こんなところに電気が通るなんてありませんわよ」


 ―――バチッッビリッビリビリビリッッ!!!


「あ!宗近(むねちか)は水嫌いなのを忘れておったのじゃ!」

 ツルギがプールに飛び込むと同時に、その手に刀身が曲がった刀が現れ、それから雷ビックリな電気が放電。

 うわ、これは死ぬわ。ついでに会長、電気が流れる可能性は0じゃないんだぜ。

「な、なにしますの!?」

 とりあえず会長を抱き締めて二人の間の水を無くす。意味無しなんですがこれくらいしないと読者サービスにならない。

 バチッと背中に強い刺激が来るが、それだけで正直肩透かしだった。

「と、冬子…離しなさい…」

 会長に電気が流れていないみたいだ。どうやら俺のところで電気が止まったらしい。なんだこの超展開。というか背中めっちゃ痛いんだが。

 しかし身をよじられると胸が体に当たるんだが…これは挿絵ありにするべきなのだろうか。

「す、すみません…か、体が痺れて…きゅぅぅ…」

 すまん、やっぱりこんなの無理です。背中から痛いのが来て感覚がなくなって来た。しかも意識も無くなって来た…。

 俺が本格的に会長に寄り掛かると「冬子…?冬子…ッ?」と肩を揺すって来る。そこで俺の背中の何かに気付いたのか会長は焦りながら近くの女子を呼ぶ。

「医療班!榊原の医療班を呼びなさい!軽症だけど安心は出来ないわ!早く!」

少し遅れてしまい申し訳ないです。

えぇ、次回は出来れば土曜日にアップしたいのですが…半分以上勢いなのは秘密です。


どうしよう…新しいキャラを早速空気にしてしまった。どうしよう…新しい終わり方が見付からない…。

ちゃんとしたあとがきは次回に回したいと思うのでそれでは〜

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