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十ノ太刀【初めてのショッピングin theカフェ】

 そういえば、あいつの好きな食べ物ってなんだっけ。

 最近妙に忘れやすいようになっている気がする。実際、忘れてるわけだから自覚がない。

 昨日なんだかんだで作ってあげるって言ってた和風ハンバーグも作らずに終わっちゃったし。買った材料はそのまま冷蔵庫の中。

 茉鶴がああなっちゃったから仕方ないんだけど。

 ――――――あいつに、美味しいって言わせたかったかな…。

 あたしだって、教えて貰ってちゃんと練習してたんだから。ハンバーグだってものすっごく練習して、最近やっと元から作れるようになったのに。

 あいつは知ってるのかな。あたしが和風の食べ物以外作るの苦手って。

 カツオ節と大根おろしを乗せて、それだけで作れるようになったんだから筋金入りだよね。

 美味しいって言ってくれるかな…こ、今度こそ、ちゃんと作るんだから。あいつ遠慮して離れで衣食住してるし。お爺ちゃんも、あそこまで冬兎を嫌わなくても良いのに。



「吾に町を案内せい!」

 その言葉が引き金となり、俺は貴重な昼をツルギと一緒に潰しているのだ。

 ツルギといえば店の看板に目移りしたり珍しそうに辺りを見て質問して来たりと…俺が疲れているのは何故だろう。気のせいだな、うん。

 というよりあいつ、本当にこの時代の人間ではないんだろうな。

 刀出してる時点でこの時代とかの次元ではないような気がする。この次元の人間ではないのか。二次元か、あり得るな。ちょっと俺を連れて行ってくれ。

「若造若造ッ。これはなんじゃ!?」

 今は何の因果かスポーツ用品店にいる。お前刀持ってるからそれで素振りでもすれば良いのに。

「これはバランスボールだな。それに座って跳ねて痩せるんだ」

 俺が青いボールを指して言うと、ツルギは「ほぅ…」と漏らしてそれに腰掛け――、


 ずるんッッスコ―――――――――――ンッッッ!!!!ぼよよん…


 ツルギが要領を得ず乗ることで、見事に後頭部を床に痛打。ボールは反動で店を転がって行く。バナナで滑った芸人はこんな転び方をするのだろうか。

 そういう俺は転んだツルギが可笑しく大爆笑。

 そんな俺に腹が立ったのか、ツルギは痛打した頭を押さえ、涙目で睨んで来る。

「な、なにを笑っておる!」

「ぶッ!ふはははははははッッ!!は、ははゲホゲホ!!!」

 笑い過ぎて(むせ)た。ここまでツボに入った光景も久し振りだなぁ。

「あ、あのぼーるとかいうやつが悪いのじゃ!あれが吾をコケにするのじゃ!」

「ゲホゲホ!!ゴホッゲホ!!うぇ…笑い過ぎて気持ち悪い…」

 こほんと咳をして、ちゃんとキめる。うん、俺はクールだクール。

「お前はだいたいあぁ言う器具使う必要ないだろ。それでなくても外見華奢なんだからな」

 外に出る時にいつもの巫女服、はまずいという茉鶴の意見で、ツルギは茉鶴のお古の服を着ている。身長に大差ないし、ピッタリなのは驚きもない。

 しかしミニスカートに俺のスポーツパンツなのは何故だ。いや、俺はスパッツ派とかじゃないんだけども。ちょっと刺激が強い気がする。

「ほら、立てるか?」

「阿呆!これくらいで痛みを引き摺るわけなかろう!―――手を貸せ」

 何だか言ってることが前半と後半で全然違うんですが。

 とりあえず手を差し出す。軽いツルギの体はちょいっと引っ張るとすぐに立ち上がる。いや、どっちかというとツルギの運動神経が凄いんだろうな。

「ま…大丈夫なんだろうなぁ?」

 俺がピンピンしているツルギに訊くと、腕組みをして「当たり前だ」と言い張る。

 悪い。カッコ付けようとしてるところ悲しいお知らせなのだが、冷や汗出てるぞ。相当痛がってるなこれは。

「じっとしてろよ餓鬼」

「ひゃ、ひゃう!?」

 とにかく激しくぶつけたっぽい後頭部を見ないことにはどうにもならない。実力行使も止む負えない状況なのである。

 抱き着くような格好でツルギの頭を触る。どうやらタンコブはないみたいだ。

「お前、良かったな。女の子がガキの証付けずに済んで」

 ツルギは何を言っているのかわからないという顔をしていたが、俺の中ではガキ=タンコブという図が定着していたのである。昔から俺がやられまくってたから出来た図なのは言うまでもない。


「ふむ、これが現代の本なのか」

 いやそりゃラノベだ。どっちかと言うと男のロマンの本だ。

 しかしまぁ、こいつがクマのプー○んとか持って来たら餓鬼とか言って笑ってやるのだが、中々良いコンセプトで持って来たじゃないか。

「撲殺天使ド○ロちゃんか。お前間違いでもあの刀で俺を斬らないでくれよ、復活しないから」

「何を言っておるのじゃ?」

 どっからどう見てもお前ってコメディキャラだなとは言わないでおこう。

 ツルギは○クロちゃんを開いて首を傾げている。何が面白いのかわからないと言ったところか。

「ま、お前にはちょっと早いかもな」

 いや、早いとかの問題なのだろうか。こいつ俺より年…低いよな外見的に。


 次はツルギの為に服屋…な訳だが。

 店員と他の客の微笑ましい視線が背中に痛い。きっと兄妹とか思ってるんだろうな。

「こういうひらひらの服は良さがわからん。どちらかと言うとお前の穿き物の方が動き易くて良いと思うのじゃ」

 ツルギがスカートを捲ってスポーツパンツ(以下スパッツ)と見せると店内が一気に冷めた。微笑ましかった視線が痛い犯罪者を見る視線に変わっている気がする。

「ちょちょちょ待ってくれ――!!店員さん!110番に掛けるのはやめて!?誤解です!うわッなんだこのけたたましい音は!いや待てこれは警報音!学校の消防スイッチで聞いたことある!なんで!?なんで押すの!?誤解ですってば―――ッッ!!!」


 疲れた…一年分の体力と精神力を使った気がする。結局服買えなかったし。

「………泡がいっぱいじゃの」

 キャラメルマキアート…お子様用コーヒーを目の前に置かれ銀髪少女は大きい瞳を更に見開いてそれを凝視している。

 俺の目の前にはツルギのようにキャラメルシロップが入ってるわけでもなく、普通のアイスコーヒーが置かれている。飲む気は余りないのだが、入店したからには何か頼まないといけない。面倒な世の中だ。

「若造、これはなんなのじゃ…?」

「アイスキャラメルマキアート。普通のコーヒーより二倍くらい高いんだから有難く飲んでくれよ?甘いからお前でもいけるだろ」

 飲め飲めとジェスチャー。ストローの使い方がわからないのだろうか。

「これな。こう、口で咥えて、吸うの」

「口で咥えて…(しゅ)う…ちゅーちゅー」

 なんか言い方が誤解されそうで卑猥だな。これも役得なのだろうか。

 というよりキャラメルマキアート高いし、これくらいは許されますよね。後で見返りとか神に要求されんの怖いんですけど。

「おぉ、美味だぞ若造!」

「わかってるから…」

 茉理もそれ好きだったんだよねぇ。今じゃ俺の前だとコーヒーしか飲んでくれないけど、昔は俺の少ない小遣いで買ってやったっけ。

 随分と嫌われたもんだ。笑顔も全然見せてくれなくなったし、俺なにかしたっけ。

「どうしたのじゃ?」

 少し考え込んでいたので、いきなりツルギの顔が目の前に…、


 ドガンッガシャンッゴトンッ!!!!


 驚きすぎだなぁ俺。椅子から転げ落ちるってどうよ。

「だ、大丈夫か若造!」

 心配する掛け声でさえ若造かいこら。いつ俺は名前で呼ばれるよ。もしかしてツルギにはいつまでも若造という愛称で呼ばれてるのだろうか。

「大丈夫…コーヒーは無事だから。んぐ、んぐ」

 コーヒー美味いし、頭ぶつけてないだけ良しとしますか。

 今日の夕飯、どうしようかなぁとか考えながら、また今日も過ぎていく。

今回も重要な話には絡んで来ない平和な話です。

如何だったでしょうか。僕は書いてて短くなってしまったなという気が…しないでもないです。


ツルギの可愛さをわかって欲しい!

……はい無理ですね。僕の書き方では伝わりません100%

なんだかツルギの言葉を書いていると要らん言葉がずらずらと…。

書き殴りの文章はやめましょう。


というわけで、次回からは少し物語りに関係する話が出てきます。

新キャラ続々です。

僕は新キャラをちゃんと使えるかゾクゾクです。

とまぁ、少し愚痴っぽくなってしまいましたが、今回はこれでお別れといたしましょう。

次回でまた会える日を、楽しみにしております。

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