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新トーキョーメガロポリス


「よく来たね。私が第六支部中央本部の副司令官のイズミだ。宜しく」


僕は、軽く会釈した。


初めての都会。

新トーキョーステーションはまるで迷路だった。

スマホ片手にナビウォークを使い何とか辿り着いた自宅警備隊中央本部に僕はいる。



目の前に居る天使のような女性はイズミ・キャンベル。

僕が実際に会った女性に中では間違いなく一番綺麗な女性だろう。

彼女がハーフだからとかではなく、女性にしては背が高く、金髪で顔が小さく青い瞳が大きく強調される。

細身なのでより一層、胸とお尻が大きく映る。


「神崎カケルさんーー適性能力ランクA。ここ最近では逸材ね」

「・・・僕にはよく分かりません。そもそも自宅警備員なのに何で新トーキョーの都会を守らなければならないんです?」


イズミのハイヒールの音が冷たい廊下に響く。

僕らは、長く続く廊下を並んでこの広い中央本部の中をイズミに連れられてどこかに案内されている。


「良い質問ね。まずは自宅警備員とは何か?って事から話さなきゃならないわね」


「はあ・・・」


「この第三次高度成長期に入って増えたものは何か分かる?それは若年層の引きこもりの人数と、今世間を恐怖に陥れている社会ゾンビの数よ」


「社会ゾンビ・・・」


「社会ゾンビには、謎が多くどこから現れたのか未だ謎なの。倒したら消えてしまうし捕らえてもなぜか消えてしまう。人々を襲い奪うことに執着している」


「奪うこと?」


「奪うーー全てを身につけてる物から、臓器まで髪の毛一本すら残さず全てを」


ーーーー!


「社会ゾンビが一番多く発生しているところはどこか分かる?」


「ーーまさか!」


「そう!ここ新トーキョーメガロポリスよ」


イズミがエレベーターの窓の外に手をかざした。

広がる大都会が身に飛び込んできた。

正直、僕が社会ゾンビを倒してこの都会を守れる訳がない。


「ーー乗って」


案内されたのは地下の駐車場だった。

赤いオープンカーに勢いよく飛び乗ったイズミが運転席に座っている。

僕は、言われるがまま隣の助手席に座った。


エンジンをかけて、アクセルを二、三度空吹かしし、タイヤのスリップ音を残して大都会へ繰り出して行った。



新トーキョーメガロポリスーー


この高度成長期に入って益々近代化が進んだかつての東京。

今や世界トップクラスの近代都市である。

東京23区は、13区に縮小され旧東京と新トーキョーメガロポリスに分かれた。

華やかに見える都会の裏側では、失業者が溢れかえっている現状。

それを見せないように旧東京などと区別したのだとも言われている。


赤いオープンカーは、大都会を疾走して行く。ひしめき合った高層ビルや煌びやかなマンションが流れて行くのを見つめた。

僕が住んでいた田舎では、大違いの全く見ることのない景色だ。


「この辺りからやっと第12支部ね。ここがあなたの管轄エリアよ」

「ーー都会から少し離れた居住地ですね」

「都心の中央は私たち中央本部が責任を持って守る。あなた達は周りを守りなるべく中央に来させないようにするのが目的よ。敵はゾンビだけではないのよ」


( 何? ゾンビだけじゃない? )


「その顔は、何も知らないみたいね。ネット放送も衛生通信もライブチャットも全て消された内容だから無理ないか」


イズミは、赤いオープンカーを道の真ん中で停めた。

丁度、居住地の境目辺りになる場所でここから都心のビル群が見える。


何気なく見ているとーー


( ん? 何か来る? 黒い靄のような物が )


「ーー来たわよ! 昼間はほとんど活動しないけど日が沈む夕方から日が昇る朝方にかけて奴等は行動するのよ」


「ヤツら・・・」


「クリーチャーよ。通称我々は黒と呼んでいるわ」


黒いスーツ姿のサングラスをかけた人にしか見えない人物が有り得ない速度でこちらに向かって来る。


「こちら第12支部イズミだ。黒発見ーー至急緊急警報発令せよ」

イズミは、通信デバイスを取り出し連絡をどこかにしている。


「ーーこちらセントラルコントロール。黒確認。イズミ、応戦出来るか?」

「オフコース! もう一人適性ランクAもいるわよ」

「ご武運を祈る」


「カケル!これを装着して。急いで黒が来るわよ」


渡されたのは腕時計のような物だ。

しかし、時計とは全然違う。

時間を示す物がない。

それにモニターもある。


「これは魔導力を感知させて扱う物よ。それと後で分かるけど他の自宅警備員のデータなども見れるわ。チェンジするから見てなさい」


イズミが目を閉じ集中するとーー


全身が光輝いたと思うとあっという間に迷彩の戦闘服に変わっていた。

迷彩服にはランクによって胸のエンブレムの金の星の数が違うのとスコアリーダーには更に銀の星のマークが追加されている。


「これはただの迷彩服ではないのよ。詳しい話は黒を倒したあとね!あなたもチェンジして」


僕は、言われるがまま適当に目を閉じ集中してみた。

魔導力をどうやって感知させるとか全然分からなかった。




意外に簡単に出来たーー


すぐに慣れることになる。

戦うことも。

通信デバイスから着信があるのも。

都会の暮らしも全て。


最初に感じた違和感何てすぐに消え去った。




イズミも僕と同じランクAの三ツ星。



そして僕の初めての戦闘となった。


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