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Brother and sister


ーー妹と会ってから数時間後の自宅マンション。


「ーーカケルくんずっとこの調子なの?」

「うん。カケちゃん余程ショックだったのかな妹さんのこと」

僕の部屋にはエリカと千夏の二人が心配で一緒に居てくれている。

妹が自宅警備員になった原因が僕にあるのではないかといろいろ考えている。

そして何よりも僕自身がなぜ引きこもりになったのか?

中学生時代の順風満帆の人生と引きこもっていた現在の間の出来事が何も思い出せないでいる。


「僕は都合良い事だけは覚えていて嫌な事は棄ててきたのか・・・」

「ーーカケちゃん」

「きっと俺のせいで妹は辛い思いをしてきたんだ。じゃなかったら妹は、優梨奈は自宅警備員何かになってる筈がーー」

壁を思いっきり殴る。

「カケルくん物に当たるのは良くないの」

千夏が僕の手を掴む。

「カケちゃん自分を責めるのは辞めてよ。誰だって完璧な人間はいないよ。絶対にどこかに弱さを持ってる。人間誰も一人では生きていけないよ。私はそれを経験した。だから今は誰かの側で支えてあげたいの」

エリカが僕に抱き付く。

千夏はそれを見て、顔を真っ赤にして目を反らす。

「ーーごめん。一人で何か暴走して」

「だ、大丈夫なの。ただ、妹さんとはちゃんと真正面からお話した方が良いと思うの。今後の兄弟の事も支部の同盟の事も含めて」

まだ抱き付いているエリカを見ていられず目を反らしながら喋る千夏。

「そうだよカケちゃん。ちゃんと妹さんと話して自分のことや妹さんのこと聞けばいいじゃん。妹さんの悩みはカケちゃんがカケちゃんの悩みは妹さんにしか解決出来ない事もあるかもしれないじゃん」

エリカは上目遣いに僕を見つめる。

僕の心は少しずつ晴れてきた。

エリカは静かに目を閉じて顔を近づけてくる。

「ーーちょっ、え、エリカ」

千夏を横目で見ながらあたふたするーー

「わ、わ、私のことはお構い無くどうぞ」

慌てて体育座りをし顔を伏せる千夏。

「え、エリカ。ストップストップ!」

「もう何でよ。空気読んでよ」

「空気読むのはお前だろ?ちなっちゃん顔、真っ赤になってるぞ・・・って鼻血?」

「やだ千夏、鼻血出てるわよ。どれだけ初心(うぶ)なのよ」

「ちょっと胸がドキドキしちゃって・・・」

鼻を摘んで押さえる千夏。


三人は笑ってその場を過ごした。



ーー次の日の夕方


「今日はちゃんと妹さんに連絡するのよ」

「これどうやって調べたんだよ。個人情報だろ?」

千夏から手渡された紙には通信デバイスの個人アクセスようのコードが書かれていた。


「イズミさんに聞いたの。神崎カケルの妹だって知ってたみたいなの。だから簡単に教えてくれたの」


( そんな簡単に教えて良いものなのか? )


「緊張するなあ・・・妹と話だけなんだけどな」

「頑張ってカケちゃん!」

「頑張ってってーー」

通信デバイスと睨めっこすること一分、

「ーー通信するぞ!」

教えて貰ったコードを入力する。

通信が開始したーー

「ーー誰?」

聞き覚えのある懐かしい声が聞こえた。

「あっ、あの神崎カケルだけど」

「えっ、嘘なんでお兄ちゃんがーー」

「えっと、まあ昨日のこともあるしその・・・同盟支部として一緒にどうかなと」

「ーー今から鏡面世界の見まわりなの。キーくんにも伝えておくね」

「えっと、それとその。優梨奈ともちゃんと話たいと思ってる」

「ありがとう。じゃあまた連絡するねバイバイ」

通信デバイスを切った。

エリカと千夏から歓声と拍手が起こった。

「カケちゃんにしては上出来よ」

「素晴らしいの。良くそんな恥ずかしい台詞を実の妹に言えるの」

二人のその笑顔が何だか馬鹿にされてるような気がしてきた。

「妹さんは何て?」

「ああ、今から鏡面世界の見まわりらしい。また後で連絡してくれるそうだ。相方のキーって奴に同盟支部の件も相談するって」

その言葉にエリカと千夏は目を丸くしたーー

「ーーカケルくん今なんて?」

千夏が僕に近づいて来る。

「えっ?嫌だから同盟の件は相談してーー」

「カケちゃんその前よ!!」

エリカも大声で叫ぶ。

「えっ?キーって奴に相談するってーー」

千夏はその言葉に目を潤ませて座り込む。

「千夏、良かったね。こんなキセキあるんだね」

エリカも座り込み千夏を抱き抱える。

「ありがとうエリカちゃん。やっとあの人に会えるよ」


僕は、何のことか分からずただ二人を眺めていた。



その後、僕は千夏と涙の意味を知ることになる。


妹との拉致事件とともに・・・

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