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能力適性検査


鈍い音が鼓膜に響いて思わず耳から通信デバイスを離してしまうーーそれほど雑音とノイズ音が酷い。


「ーーこちらコード0985ーーターゲットゾンビ二体が、、が、、そちらにーー」


ノイズ音が酷すぎて聴き取れない。


「コード1001ノイズ音で聴き取れない。再度応答願う」


砂嵐のような鈍い耳障りの音が響いていて思わず耳を塞ぎたくなる。

( こんなに通信が上手くいかないことは珍しいな・・・通信を妨害する電波などが発生しているのか?)



ーーその時



けたたましく警報が鳴り響いた。



時刻は朝の六時、窓の外をカーテンの隙間から警戒しながらそっと覗き込んだ。


自宅のあるマンション敷地内全域に魔導障壁を張り巡らせている。

この魔導障壁に何者かが触れた瞬間に警報がマンション中に鳴り響く。

警報は、自宅警備隊のメンバー全てに情報が流れてチルドレンコードや現象の情報がリアルタイムに配信されるようになっている。


「ーー社会ゾンビ二体」

覗き込んだ先には社会ゾンビと呼ばれる僕等の世界であちらこちらで徘徊し手当たり次第にいろんな家を貪る敵である。



なぜ生まれたのか?

なぜ僕等はそいつらと戦っているのか?

僕等は、何のために?



「こちらコード1001。標的目標確認、ゾンビ二体。廃除する」

「自宅警備隊セントラルコントロール。

了解!警報と目標確認。コード1001、ご武運を祈る」



再び、リビングのカーテンの隙間から目標の位置を確認する。

ゾンビ二体は、貼られた魔導障壁をこじ開けようと足掻いていた。


魔導障壁は、絶対ではない。


いつかは壊れるーー


自分の家は自分で守るしかないのがこの時代の法律だ。


「ーー気は乗らないのけど殺るしかないな」


マンションの窓を空け、身を乗り出す。


普段から余り外に出ることのない僕もこの時ばかりは渋々外に出るしかない。


まるで誰かに強制的に外に出るように仕向けられているかのようだ。


太陽の光が突き刺さるようで痛い。

薄暗い部屋から急に明るい世界に飛び出たので目がくらむ。立ち眩みもする。


「っ、一気に片付ける。外は苦手だ」


屋根の上に立ち、玄関先の魔導障壁をガリガリと搔きむしり強引に入口をこじ開けようと足掻いているゾンビ二体を上から睨みつける。


「ーーチルドレンコード零。【レイブル】発動!!」



凶々しいオーラが体を包み込むーー瞬間的に魔導量を増大させる選ばれた自宅警備員にしか扱えない裏コードである。


ゾンビ二体もその魔導力に反応し宙を見上げ敵の存在があることを確認するが


遅かったーー



膨大な魔導量を帯びたその右手の先には銃が握られていて既に銃口はゾンビの一人向けられていた。


「永久に彷徨う此の世ならざる者よ 浄化の力により消え去りたまえ 《魔弾ラグナ・リボルバー》」


銃口より放たれた光の閃光弾はゾンビ目掛けれて放たれたーー




* * * * * * * * * * * * *



薄暗い部屋。


ここ数年カーテンを開けたことは記憶にない。


ホコリとカビ臭いこの部屋が僕の城だ。


引きこもり?だって。

僕だけが特別引きこもってる訳じゃない。


この世界が、この今の時代の若者は皆、引きこもっているーー


ネット住民の八割は三十四歳以下の若者でほぼ全員無職だ。


今は西暦2117年。


第三次高度成長期、科学は進歩した。


貧困格差は大きくなり全て自動化の人工ロボットが開発された為人間は働かなくなった。


パワハラやセクハラなど企業に対する訴えが加速する現象に企業は従業員を人工ロボットにシフトチェンジする。


求人募集する企業はほとんどなく失業者で溢れかえる現象。


賃金のかかる人間より文句も言わず黙々と働く人工ロボットを選ぶのは当然である。


それに伴い犯罪は後を絶たなくなった・・・


人々は万引き、窃盗などの犯罪を繰り返すようになった。


そんな世代の子供たちは何の夢も希望も抱く事もない。


腐った大人と汚い政治。 暗いニュースが飛び交う毎日にストレスを感じる子供たち。


そんな子供たちは引きこもり世代と呼ばれネットの世界で生きている。


テレビ需要はほぼなくなり全てはネット配信され朝から晩までネットをして暮らしている。


絶えない犯罪の現象、警察官、警備員不測。


この世の中に一番なりなく無い職業のため、誰も警察官や自衛官になりたいと思わないのは当然である。


そこで政府はある決断をする。


自分の家は自分で守れ!


自宅警備隊プランである。


人間は、幼少期から青年期の間にだけ特殊能力値が大幅に増大していると判明された。

子ども頃には見えた者が大人になると見えなくなったりすることや子ども頃は傷が治りやすいなどそれは全て特殊能力である。


十五歳〜三十四歳までの全ての若年無職者の人間が対象である。


三十五歳以上になると特殊能力値が極端に下がると実験結果が出ている為である。


全ての無職者は強制的に自宅警備隊の能力適正検査を受けて能力判定をさせられる。


適正ナシは自宅警備員としてではなく社会に出てまだ働ける能力があると判断され社会厚生プログラムを強制的に仕込まれてしまう。


適正ありA判定は、自宅警備隊の中でもトップクラスの能力の持ち主であり能力開花の可能性を秘めている。


何万人に一人いるかいないかの幻のような存在らしい。


自宅警備隊に所属するには社会から完全に見放されて社会復帰が困難な人間ほど適正能力が高いとされているのだ。


そのため新世代の子供たちが特に多いのが特徴だ。


自分の家は自分で守る。


生きていくには戦う。


これがこの腐った社会で生きていく術である。



そして僕、神崎 カケルも強制的に能力判定を受けることになる。


















結果、能力A判定。



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