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失踪事件①


「暇ねえ、何かすることないの?」

エリカは、顔を膨らましてソファーに寝転んでいる。


僕が住んでるマンションは一人暮らしには十分過ぎる4DKだ。


「何で朝から僕の部屋に居るんだよ」

「同じマンションに住んでいるし同じ階に住んでるんだから別に良いじゃないの」


第十二支部のメンバーのうち僕とエリカ、千夏は同じマンションに住んでいたのだ。

カイトと柊もこのマンションから徒歩十分位の距離に住んでいるのだ。


「毎日、毎日僕の部屋に来ることないだろ?」

明らさまに迷惑だと態度で示してみるが、


「毎日一緒にいることがチームワークよね。千夏」

うん、うんといつの間にか僕の背後に千夏が現れた。


「うわっ、お前もどうやって入ってきたんだ?」

オートロック、指紋認識機能付きの最新のマンションだぞ。


「お腹空いたわねえ、カケちん何か食べ物ないの?」

ソファーにうつ伏せになり、スマホをいじりながら僕に命令してくる信じられない女だ。

「何でお前に毎回毎回、食べ物を提供しなければならないんだよ」

僕がムッとしながら拒否すると、

「ーーなら、良いわよ」

エリカは、ツンと口を尖らせ、またスマホをいじりっていた。


千夏は、床に座りソファーを背もたれにして持参したノートパソコンを覗き込んでいた。

これもまたいつもの光景だが、千夏は本当に余り喋らない大人しい子だ。


ーーしばらくすると


「ちーすっ」


玄関のドアが開く音と同時に軽い感じの挨拶が部屋に響いたーー


「神崎さんお疲れッス。お嬢、言われた物買って来ましたよ」

柊がコンビニの袋とともに現れた。

( お嬢買って来ましたよってそれで良いのか柊よ・・・)


「ご苦労! 柊選手。気が向いたらほっぺにちゅーでもしてやるよ」

「あざーす。めっちゃ期待してやす」

( 期待すんなよ。絶対ないぞ柊 )


「ちなっちゃんはいつものコレっすね。

ーーあっ、神崎さんの分もあるっすよ」

「ありがとう柊。毎日悪いな」

「大丈夫っすよ。第十二支部の活動費から捻出してますから」

「・・・・・・」

( 柊、後で話そうか・・・ )



★ ★ ★


「ーーあれから他の支部のダチとかに疾走事件の調査どうなってるか聞いてみたっす」


( 疾走じゃなく失踪な )


「他の支部でも急に黒が現れたり消えたり自宅警備員が既に何名か行方不明になってるらしいッスよ」


「ここにも・・・載ってる」

千夏がパソコンの画面を指差す。


全員が千夏の周りに集まる。

「お嬢となり失礼します」

「ウザい。寄るな、集るな」

「ツンツンあざーす」

( ひいらぎぃぃ。悲しくなるぞ )


『新トーキョーで自宅警備員が行方不明』


「コミュニケーションセンターの件はまだ誰にも話してないよな?」

「俺は、話してないっすよ」

「私も」

千夏も頷いている。


「まだ他の支部では鏡に出入り出来る何者かを確認出来てないのか」

僕は顎に手をやった。


「私たちしか知らない情報なのね」


「鏡の中の住人が鏡の世界に引きずり込んでるのかも・・・」

珍しく千夏がハッキリした口調で発言した。

「ちなっちゃんもそう思った?僕もその線を疑ってたんだよ。消えた人達は鏡の中に連れて行かれたんじゃないかって」


一同息を呑んだーーあの時の戦闘シーンを思い浮かぶ。


「ーーそう言えばカイト遅いな?どうしたんだろ」

重い空気を読んでか柊が愛想笑いを浮かべ口を開いた。


「まさか、鏡の中に連れて行かれてたりして」

エリカが空気を読まず冗談に聞こえない一言を言い放つ。


・・・・・・


「ーー冗談よ、冗談。本気にしないでよ」

流石にマズイと思ったのか少し焦るエリカ。


「柊、カイトに連絡してみてよ。ちょっと心配になってきた」

僕は、嫌な胸騒ぎがしてきた。


「ん、・・・あれ?電源切れてるのかな。カイトに繋がらないっすね」

柊は、何度もカイトに電話をかけてみるが繋がらない。

電波が入らない場所にいるか電源を切っている状態のようだった。


いつもなら昼前には僕の部屋に全員が揃っている。

他愛もない話などして過ごし、夕方頃に社会ゾンビやクリーチャーが出現するのでチームで討伐に出かける。


その際に陣形や役割などを決めて小部隊としての動きを練習しているのだ。


「エリカ、チェンジしてカイトのスマホの位置情報を探せるか?」

僕が真剣な眼差しをエリカに向ける。


エリカも僕の只事ではない雰囲気を察知したのか、彼女も表情が変わる。

「任せて。やってみるわ」


エリカは、空間把握能力に長けている事が判明した。

ある一定範囲内のどこに誰がいるのかを正確に判断することが出来る。


「ーーおかしいわね。カイト第十二支部にいるわよ。けど、何で?コミュニケーションセンターに?」


その言葉にみんなの顔が曇るーー


「やっぱりあそこには何か秘密があるんだ。カイトも何か事件に巻き込まれてる可能性がある。みんなカイトを捜しに行こう」



第十二支部自宅警備隊小部隊はカイト捜索に乗り出した。

神崎 カケル


174/68 ( 23 )


短髪のツイストパーマ寝グセに近い


適性ランクA

能力(魔弾・レイブル)

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