表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
45/219

第44話 生命危機

 

 自分の目の前で、視界を覆うほどの爆発が起こった……。

 それと同時に、俺に横殴りの衝撃が起こり、大きく()にぶっ飛ぶ。

「え……ぐあッ……!」

 地面に打ち付けられ、咳き込む。

 素早く体勢を立て直して、さっきまで俺がいた場所を見る。

「おい……まさか……嘘……だろ?」

 青奈が、倒れている。

 俺を助けるために、突き飛ばすというベタなやり方をして……。

 自分が、爆発のダメージをくらった。

「チックショウッ!!」

 急いで駆け寄って、抱き起こす。

 なんで、助けに来といて、格好つけて登場して、こんなことになってんだよ……。

 どうやら……何も考えずに飛び込んだじゃなく、ちゃんと姿勢を低くして、頭を下げた状態で助けてくれたみたいだ。

 

 なんて、言ってはみても、甘い状態じゃない。

 

 逆に、中途半端な体勢だったせいで、頭部にかなりの衝撃を受けたらしい。

 体のあちこちにも、火傷をしている。

「ヤバイ……俺は回復魔法、使えねえし……治療道具もない……」

 急がなければいけない。

 正直言って……命に関わってる。脈が、弱い。

 そうだ……俺はこういう時に弱い。

 傷付く前から助けようとして、戦うことばかり。

 傷付いた後、弱っていても、俺は何も出来ない。

「待て」

 青奈を抱きかかえて立ち上がった瞬間、後ろから声がかけられた。

 苛立って振り返ると、唯一残ってる初老の男が俺たちを見ている。

「うるせえ……お前の相手をしてる場合じゃねえんだよ」

 吐き捨てて通路に出ようとした時、急に体が震え出した。

「な……」

「今までは、争わない方向だったが……折角の実験台、失う訳にはいかないんでね」

 こんな時に、ふざけたこと言ってんじゃねえ――

 青奈をゆっくりと通路に寝かせ、男に振り向く。

「その発言だけで、戦う理由としては充分だぜ」

 早期決着のため、移動魔法で詰め寄ったが……その一瞬で俺は床に倒れていた。

「は……? なんだ、これ……?」

 この、振動か……!

 振動系? 珍し過ぎて、対策方法なんてないぞ。

 床に振動魔法を使って、俺の足に伝える……つまり、足が痺れた状態の強化版、それを俺の足に施したんだ。

 それで、俺は足に力が入らずに倒れた。

「接さなきゃ、いい話だろ」

 風魔法で少し浮遊し、そのまま飛び掛かる。

 しかし、触れた瞬間に、俺の全身から力が抜ける。

 駄目だ……少しでも触れたら、さっきと同じ状態になってしまう。

()りにく……ッ!」

 俺が歯軋りした時、力が脱けて寄り掛かってしまった。同時に、男の拳が俺の腹部を打つ。

「ゴフッ……」

 更に、体中に小さい切り傷が発生した。

 これは……超音波のような、細かい振動で対象を揺らすことで、砂のような細かい物質に刃物の役割をさせているんだ。

 結構床に転がっていたからな……体中、切り裂かれるのも無理はない。

「う……が、ああ……」

 転がって距離を取り、パラを抜いて男に向ける。

 それと同時に、男が瞬時に詰め寄ってきて、俺の右手を蹴りつけてきた。パラが床を転がって離れる。

 ヤバイぞ……既に俺は、かなりの魔装法を使ったせいで疲れている。

 これ以上の魔装法は……。

「うあああああああああッ!」

 最後の力で、制服から雷魔法を放つ。

 この総量なら、直撃で気絶はするハズだが……。

 移動魔法を使ったのか、雷魔法とは逆方向に恐ろしい速さで回避した。

 威力を絞ったせいで、範囲が狭かったんだ……今まで戦ってなかったからって、完全に油断した。

 そんな……限界だ……。

 魔装法はもう使えない。

 あの、元不良の先輩と戦った時以来だ。

「や、べえ……」

 男は、倒れている俺を見下ろしている。

「ふう……まあ、お前があの八人と戦ってなければ、俺に勝ち目はなかったな」

 通常の肉弾戦に持ち込むか……?

 いや、振動魔法を使われたら、勝負にならない――

「なんて、構ってられるかッ!」

 即座に立ち上がり、通常の右拳を振るう。

「無駄なことを……」

 すぐに力が脱けて、よろめく俺の体に衝撃が走る。

 再び倒れた俺の目に、男の全身が映る。

 ……拳銃だ。

 男の手に、古めかしい回転式弾倉(リボルバー)が握られている。

「なんだ……持ってんのかよ……」

「何も言っていないだろう?」

 これは……いよいよ勝ち目がなくなってきたな……。

 ボーッとする頭で考えながら、拳銃が突き付けられるの無感情に眺める。

 引き金が引かれそうになった時……。

 

 カチャッ。

 

 男の背後で音が聞こえた。

 男が振り返ると……そこには、俺のパラを持った青奈が立っていた。

 な……どうやって?

 あんな重傷で、あんな状態で、なんで?

「お兄ちゃんに……何も……するな……」

 クソ……何してんだよ、俺。

 青奈に無茶させてんじゃねえ……。

 必死に立ち上がろうとした瞬間、男の表情が見えた。

 笑っている。

 さっきまで、特に変わったこともしていなかったこいつが……何かに気付いた。

「やめろッ!!」

 俺の叫びは虚しく響き……男は青奈に銃口を向けて、引き金を引いた。

 それとほぼ同時に、青奈がパラの引き金を引く。

 青奈の銃弾は……ある意味では狙い良く、男の右足腿を貫いた。

 男は後ろへと倒れる。

 その後頭部をすかさず俺が殴りつけて、昏倒させる。

 これで……研究者、九人全員片付いた。

 

 しかし。

 男の銃弾は――

 

 青奈の心臓を真っ直ぐに射抜いた。

 

 青奈はそのまま、ガックリと膝を折り……前のめりに倒れた。

 

  

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ