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クリスタル∽ゼロ―双月姫の誓い―  作者: 宛 幸
第1章 クリスタルとギア
3/4

epⅡ 付きまとい少女S

進学してから一週間経とうとしていた。

そこでクラスにはグループが形成されていた。

ちなみに僕は一人。それは構わないのたが……。

「ちょっと、話があるの」

最近よく聞く声が僕の耳に届いた。

「ねぇ、聞こえているのでしょ?わかってるから返事しなさいよ。ねぇったら」

僕は一人で構わないのに、ちょっかいを出して来るのがいる。

それは入学式に果たしたあの出会いが切っ掛けとなった……。



回想。

入学式が終わって次の日のHR(ホームルーム)。出席欠席の確認の次いでに自己紹介も名前の早い順にしていた。

「……霧咲和花(きりさきのどか)翔光(しょうこう)中学出身。……以上」

前の人のが終わり、僕の番。

神沢(かんざわ)中学出身、久崎駿介(くざきしゅんすけ)。以上です」

そんな感じで無難にこなした。

特に語ることはないし、言いたいこともない。これでいいんだ。

自分の出身地を言った瞬間、回りが反応したけど、そんなことはどうでもいいと思う。

だって気にしてもどうにもならないし。

進華(しんか)学園中等部出身、椎梛朱雀(しいなすざく)。よろしく」

綺麗な声色だと思ってその自己紹介した人の方を向くと、今朝会った子のものだった。

こんな偶然もあるものなんだな、と感心した。

ある意味必然かな?とも思った、

「……っ」

彼女と目が合ってしまった。

会った瞬間彼女は目を反らしてしまったが。

そしてこれからのことやらなんやら説明が終わってHR終了のチャイムが鳴った。

これであとは下校するだけ。

僕は鞄を持って教室を出ようとした。

が、

「……ちょ、……ちょっと待ってっ」

僕は肩を掴まれ前進することを止められた。

「……何かな?僕が帰ろうしてるのわかるだろ?」

「そんなのわかってるわよ。そ、それより、ちょっと付き合いなさいよ」

僕は一瞬考えて答えた。

「やだ。てことで――」

「――なんでよっ!?この誘ってるんだから付き合いよっ!」

僕の首元を掴んで話してくれない椎梛と言ったか……そいつは怒鳴り出した。

「わかったわかった。付き合えばいいんだろ?ならまずその手離して、な」

「……わ、わかった。ちゃんと離してあげた

だから、逃げないでよね」

何故か上から目線な椎梛はそっぽ向いて歩き出した。

まるで猫みたいだな、と思った。

「……早く来なさいよ」

「はいはい…」

僕は椎梛に着いて行った。

んで来た所が昨日も来た裏庭だった。

「……なんでここに来ないとならん」

「べ、別にいいでしょっ。そんなこと…」

「ま、いいけど」

まさかこんなに早く来るとは思わなかったな。僕のベストプレイス。

「それで、なんの用?」

僕は早く帰りたいが為に急かす。……いや、特にすることもないけどね。

「……あんた、私になんかした?」

「それって、なんのこと?」

「惚けるの?昨日、あんたが私にしたことよ」

昨日?思い出すが特に変わったことはしてないよな?……あ、お姫様抱っこがあった。

「あんた……私を、その……抱き止める時に何かおかしなことしたでしょ」

顔をちょいとばかし赤くして訊いてくる椎梛。

「ん?特になにもしてないけど?」

「だから惚けないでってばっ!」

僕は至って真面目なつもりなんだが……椎梛にはそうは見えないらしい。

何が駄目なんだろうか。顔か?

「私見たんだから。なにかぶつぶつ言ったと思ったら、風があんたの手にくっついたのがっ」

……まぁ、わかっていたつもりだったが、コネクトマジックのことか。

でも見られていたのか……やっぱ使うべきじゃなかったかな。

「別にそんな“不思議”なこと起きなかったけどな?」

不思議を強調して言ってやる。

それでは納得できるはずもなかったのだろう、椎梛は反論をする。

「そんなはずないわっ。私見たもの。あんたが変な“魔法”みたいなことしてたこと」

なかなか近いとこ突いて来るな。

「……う~ん。誰にも言わない?」

このこと知られたくないんだよね。いろいろと不味いから。

「言わないわよ。……というか、不思議なことならそこらに転がっているわ。そんな隠すことでもないでしょ」

転がっているのは否定しようもないけど、隠すことはそれとこれとは別なんだな。

「……ま。誰にも言わないなら言うよ」

「それでいいのよ」

なんか偉そうだな。それが彼女の性格なのか。

「……はぁ。まぁ、論より証拠。コネクト、ウインドリンク」

僕がそう呟くと回りから風が集まり僕の腕に渦を巻く。

それを椎梛が凝視する。

「……これでいい?」

「よくないわよ。説明しないよ」

……だよな。

「これはコネクトマジックって言って、……まぁ、所謂一つの魔法ってやつかな?さっきやって見せたように、呪文を言葉にして元素を操るんだよ」

「……魔法。やっぱりギアとは関係ないのね…」

椎梛は何か下を向いてぼやいていたが、やがてキリッと顔を僕に向かせて言う。

「その、コネクトなんとかって言うの?もっと教えて」

コネクトマジックだよ。マジックくらい覚えろよ。

……てか、

「教えろって……簡単に言うな。無理だよ。教えられない」

「なら教えてくれるまであなたに教えを請うわ。……ずっとね」



回想終了。

そんな感じで土日抜かして空き時間があれば迫って来るようになった。

すごく傍迷惑な話だ。

「ほら、聞こえているのなら返事しなさい。というか聞こえているでしょ。なんとか言ったらいいのよ。久崎駿介」

キーキーうるさい女の子だ。

しょうがないから反応してやる。

「何かな?椎梛さん」

「……きもちわる」

全力でスマイルゼロ円してあげたのに、言葉通りに引かれたよ。僕泣くよ?

「……はぁ。たく、椎梛もよくやるよ。厭きないねぇ」

僕はそろっとおさらばしたい気分なんだけど、そうは問屋……というか、椎梛が許さなかった。

「いいじゃない。何しようが私の勝手よ」

それはそうなのだが……こうも何日も迫られたんじゃあ、堪ったものじゃない。

「……それはいいけど。僕は前にも言った通り、教えないぞ」

「別にいいわ。教えるまで付きまとうから」

それは一種のストーカーというやつではないのでしょうか……。

しょうがない。

「……帰るか」

「あ、ちょっと待ってよっ」

僕が教室から出たあとも引っ付いて来た椎梛。

女の子と奇怪な出会いをしたから運がいいかなと思ったが、逆にそれは運の尽きだったか……。

僕は溜め息しか出なかった。

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