第9話 星翔る王都へようこそ
星空の国と呼ばれる国がある。その名もミーティアス王国。
"星詠み"と呼ばれる一族が作り上げた巨大国家。それが大国ミーティアス王国。
そんな大国の王都の名前も王国の名前と同じミーティアスである。
そんなミーティアス王都にやって来たのが眼帯悪童と銀髪メイドの一行がやって来た。
〖キュイイイ!!〗
「カァ、ご主人様~! アリア様~! 王都が見えて来ましたよ~!」
馬車を引く白兎馬の手綱を操りながら、使い魔のオディちゃんが僕達に報告してくれたね。
「了解~! そのまま超安全運転で頼むよ。オディちゃん。王都の中で旅の道中みたいにふざけた事をしたら、直ぐに鳥獣跋扈の異空眼エリアに行ってもらうからね」
「カァ~!……了解しました。カァ~!」
オディちゃんとの道中は本当に大変だったよ。道に迷うし、崖からは落ちそうになるし、盗賊には襲われまくるしね。
……ていうかあれは本当に盗賊だったのかな? 見るからに屈強そうだったんだけど。どっかの国の兵士だったりしてね。
「王都ミーティアス。初めて来たよ。大都市だね。アリア」
ふと、僕がアリアの方を見つめると。アリアはなんだか不安げな顔をしていたよ。
「ライト様……私はあの王都で産まれたらしいですわ。ですが私は王都で過ごした記憶を覚えていません。存在を隠されてここまで育ちましたから、王都でやっていけるのか少し不安です」
そういえば。アリアはミーティアス王家に連なる血筋だったけ。そりゃあ、アリアを暗殺したい上級貴族や王族は多少なりともいるよね。
2歳の時、あの夜の森で盗賊みたいになのに追われていたもんね。そりゃあ、王都に住んでいてまた同じ事をされるかもしれないと思ったら怖くもなるか。
……アリアは僕がわちゃんと守ってあげなくちゃね。アリアは僕の大切な幼馴染みで専属メイドなんだから。
「……大丈夫さ。アリア。アリアの事はこの僕がずっと側に居て、守ってあげるからさ」
「ライト様……そんな……結婚しようだなんて大胆すぎますわ。」
「うん。そんな台詞は一言も言ってないけどね」
今年で12歳になったアリアさんはさぁ。本当に自分の都合の言いように言葉を解釈するよね。困った専属メイドさんだよ。全くもう。
「ライト様~! 門みたいな所で人がこっちに手を振っていますカァ。瀕死にしますカァ?」
僕の使い魔。時々、可笑しな言動をするんだよね……後で『洗脳眼』で再教育しておかなくちゃね。
「なんで、いつもの夜の世直しタイムみたいな事を、日が明るいうちにやろうとするんだい。瀕死にしないよ。生かしておくんだよ。オディちゃん」
「カァ~! 畏まりました~!」
王都内に入る前の検問かな? かなりの警備兵が駐屯しているみたいだね。
「お止まりを! お止まり下さい! 王都管理局の者です」
「申し訳ありませんが。通行書をお店頂けますでしょうか? 規則ですので」
えっと……外の様子を知りたいから『千里眼』を発動っと。
『千里眼』
うん。見える! 見えるよ! 検問をしている兵士の毛穴まで見えるよ…………見え過ぎて気持ち悪くなっちゃった。
「カァ……ご苦労様です。兵士の方々」
「うぉ! 極東美少女?! 美しい!!」
「あれはもしかして着物と言う極東の服か? 素敵だ」
……検問の兵士達がオディちゃんを見た途端メロメロになってるよ。
正体はただの焼き鳥君なのになにを見とれているんだか。僕の専属メイドのアリアの方が100倍可愛いってね。
「ねえ? アリア」
「そんな……ライト様! 結婚式は南国のハレカレ島が良いんですのね。分かりましたわ」
「……うん。そんな事は一言も言ってないよ。アリア」
「ライト様~! そんな……今はお昼ですわ~!」
何かの妄想を絶賛楽しんでいるアリアは置いといて。外の様子の続きを見ないとね。
「これが王都への通行書です……カァ」
「美しい美少女だ……おっと失礼しました。確認します……なんと。クラウディア公爵家の方々でしたか。これは大変失礼しました」
「お詫びに明日、貴女をお食事にお招きしたいのですが。いかがでしょうか? 王都でも有数のレストランを予約してみせます」
「お、お前! 抜け駆けする気か? この美しい方は俺が誘おうとしていたんだぞ!」
「誘ったもん勝ちだ! 麗しき極東の方。ぜひ、私と明日、お食事を!」
「いえいえ。俺と!」
「邪魔をするな!」
「なんだと~!!」
……バ美肉ちゃんを巡って、検問兵同士の醜い殴り合いが始まちゃっよ。
「カァ~! それではお勤めご苦労様です。さようなら~!」
オディちゃんは目の前の検問兵の喧嘩なんてフルシカトとして、馬車に乗り込むと王都の中へと入って行ったよ。
性転換バ美肉ちゃんにも相手にされない王都の検問兵さん達……なんか可哀想だね。
◇
《王都ミーティアス》
「カァ? ライト様~! お屋敷に入る為の扉が開きませんよ。カァ? なんで?」
オディちゃんが、ガチャガチャ玄関口でなにやってるけど。今はそれどころじゃないや。見てよこの素晴らしいお屋敷を!
四方を囲む外壁、細部まで手入れされた美しい庭園、公爵貴族レベルが住むような大屋敷。
そう。ここはクラウディア公爵家が王都に持つ別荘の1つ。その名もエリーの屋敷だよ。
「うんうん。やっと着いたね~! ここでアリアと楽しい王都生活が始まるんだね。後はラグナ魔法学園の入学式当日を待つだけだね。アリア」
「そういえば。イリアお母様から、ライト様に王都に着いたらお手紙を渡すように言われていましたわ。どうぞ」
「うんうん。ありがとう……お母様からの手紙?……凄く嫌な予感がするね。直ぐに読むよ」
「……はい」
アリアが気まずそうな顔をしているね。嫌な予感が確信に変わってきたんだけど。
〖私の可愛い可愛いライトへ。ラグナ魔法学園って入学式試験があったみたいなの。言い忘れててごめんなさい♡(わざとだけどね) ちゃんとアリアちゃんと一緒に補欠入学試験を受けてね。2人なら絶対に受かるだろうから、お母さん。なんの心配をしてないわ。クラスは最下位クラスからのスタートだけだね。それとね。王都にある別荘はお父様が娘のエリーにプレゼントするらしいからライト達は魔法学園の寮に住んでね~! それとライトがクラウディア公爵家の権力を使えないように魔法証明とか、その他諸々の手続きができないようにしておいたからね~! 追伸――――ライトがお父様名義で色々といけない事をしてたのを突き止めたからね。何なのかしら? クラウディア領地の置の置くにひっそりと建てられていたライト大邸宅て? 家に帰って来たらお仕置きコースよ♡ 私の可愛いライトちゃん♡ お尻叩き確定ね♡〗
……とんでもない長文で恐ろしい僕宛の手紙だったよ。
「ふ~! 少し深呼吸して落ち着かないとね。そうそう現実逃避~、現実逃避~!……お母様の手紙は忘れて、もう一度この素敵過ぎる大屋敷の感想なんかを考えようっと。レッツスタート……」
――――僕は使える権力はフルで使うタイプの悪役貴族だからね。
だからクラウディア公爵家の権力を好き放題使わせてもらったよ。
お父様名義の勝手に利用して、王都ミーティアスの一等地にあるクラウディア家の別荘に住むことにしたんだけど……そんな甘やかしを許さないのが、家の真の家長、お母様だったんだ。
王都の別荘の名義を妹のエリーにするなんてさ。
「カァ……だから、内側から魔法障壁がかけられてるんですね」
「ライト様……これから王都の生活はどうされますか? 」
アリアとオディちゃんが心配そうな顔で僕を見つめてるよ。
別にそんなに心配しなくても、僕達には夜な夜な世直しで集めた違法なお金がいっぱいあるから安心なのにね。
「ん~……とりあえず。お腹も減ったし酒場に行こうか。オディちゃん。妖艶な大人の女性に変身できるかい?」
「カァ? お任せ下さい。ご主人様……『黒影』カァ~!」
ボワワ~ン!とオディちゃんから黒い煙が出たと思った次の瞬間。オディちゃんの姿は黒髪のナイスバディーなお姉さんに変わっていたんだ。
「ウフン~! カァン~!」
「オオオ……凄いです。オディさん」
アリアがオディちゃんの変身に拍手してるよ。
そして、なんか自信ありげにしてるが少しイラッときたよ、オディちゃん。
なんでそんなに美人なんだい。
「アリア、とりあえず。ここ最近の王都の新しい情報とかも知りたいし。高級な酒場にでも行ってみようか。僕達も姿を変えてね」
「はい。ライト様。私はライト様が行かれる場所でしたら、どこでも構いません。ずっとお隣でお支え致します」
天使みたいな笑顔だね。アリアはやっぱり天真爛漫で可愛いや。癒されるよ……
「うん。ありがとう。アリア……変身しようか」
『偽造眼』
僕は『偽造眼』で僕とアリアの姿を、さっきオディちゃんをナンパしていた検問兵の2人へと変えたんだ。
◇
《夜 高級酒場エルドラン》
下級貴族や上級冒険者が集まる普通よりも少し高い高級酒場エルドラン。
この酒場は、ミーティアス王国の色々な秘密の情報が集まる穴場的場所なんだ。
ゲームだと何回も来たことがあるけど。本当にゲームのまんまなんだね。
ギイィ……ガコンッ!
「いらっしゃいませ。お客様3名様ですね。今夜、当店へのご予約はされていますでしょうか?……なんと美しいお方……おっと! これは失礼致しました」
酒場なのにタキシードを着たサービスマンが出迎えてくれたよ。凄いね。そして、妖艶な姿のオディちゃんに興奮してるのかい? とんでもないね。
「お邪魔するカァ……お邪魔致しますわ。テーブル相手いますカァ?」
「畏まりました。ご予約は無しですね……今、店長に予約の空き状態を……え? 空いている1番良い席にあんなにですか。畏まりました」
少し離れた場所に、筋骨隆々でマイクロビキニタキシードのマッチョさんが待機していて、頷いてたけど。あれがもしかしてこっちの世界での店長さんなのかい? 凄いヤバい店だね。この店。
「それではお席へとご案内させて頂きます。こちらへどうぞ」
僕達3人は、変身を疑われる事もなく店の奥へと向かったんだ。




