第6話 10年間の思い出話 前編
《10年前》
新しく得た眼《輪廻》のおかげで、右目の視力は戻ったんだけど。
朝起きたら家族が増えてたよ。銀髪の幼い女の子がね。僕が寝ていたらベッドにその娘がスヤスヤと眠ってたんだ。
そのせいでお母様は大慌て、お父様を血祭りにして、僕と女の子が眠るベッドの前で正座させられているよ。
「アナタ。これはどこの隠し子なのかしら? 浮気かしら?」
「するわけないだろう! そもそも、俺はイリアが私にかけた呪い…呪いのせいでそういう事ができないだろう。イリア意外には!」
「それもそうね……ライトが産まれた時に私以外の女の子とは関係を持たないって約束したものね……じゃあ、この女の娘はその前にってなるわね」
「だからなんでそうなるんだ! 俺が愛しているのは君だけだイリア!!」
「つっ///……そんな事を子供達の前で言わないでよ。(駄目だわ……耐えられない……今夜はお祭りね)」
なんか。お母様が赤面してるよ。これはお父様、今日の夜は大変そうだね。そして、僕の隣には……
「アゥ……」
「マゥ……」
銀髪の女の子。僕がこの娘に向かって右手を伸ばしたら、僕の右手をあむあむしてきたよ。可愛いね。
あ~! だんだん昨日の夜の事思い出してきたよ。
あの焼き鳥君ことオディ君が、バ美肉の黒髪美少女に変身したと思ったら。目の前にこの娘を抱いた女の人が現れて、オディ君にこの娘を託したんだっけ。
……そのオディ君はなんの魔法か知らないけど。僕の右目に住むとか言って、右目の中に入って行ったし。
(ご主人様の異空眼は快適ですね。カァ~!
ここなら、何人も住めます。どんどん住民を増やしましょうカァ~! お休みなさい。ZzzZzz)
なんて事を言って寝始めちゃったんだ。後で絶対に追い出してあげるからね。バ美肉ちゃん。
……この娘。行く場所ないだね。僕、1人で居るよりは2人で居た方が楽しいし。この娘も僕と一緒に育ててくれないかな~! お母様達。
「クチュグッタィ……テハナシテェ」
「アムアム……」
妹みたいで可愛いなこの娘。僕、妹欲しいな……
「アナタ。浮気を晴らしたいのなら……分かるわよね?」
「……イリア。あぁ、分かった……久しぶりに頑張ってみるよ。愛する君の為に。俺はずっと君を愛してるんだ」
「……うん。分かってるわよ///……そんな事///」
うわぁ……子供の前でイチャイチャし始めたよ。この展開は――――やったね。ライちゃん! これは絶対に妹ができるよ~!
なんて事があって3年経ったね。〖月日は百代の~!とか言うやつだよね。
「オニィチャマ~! ギュウ~!」
「うんうん。今日もエリーは可愛いね~!」
「………むぅ。ライト様は私の……」
そして、僕にはエリーゼって言う可愛い可愛い妹ができたよ。
王家から追われて来て、クラウディア家に保護されたメイドちゃんこと。
僕の専属メイドのアリア・ミーティアスちゃんがムスっとした顔で僕達兄妹を見詰めているよ。
「アリアオネェチャマモギュ~!」
「エリー様……はい……ギュです」
「いや、僕にしかギュ~!してないよ。アリア」
「はい。私はライト様の専属メイドですから」
……そして、この3年間でアリアは小さい頃から僕とずっと居たせいで。僕に依存するようになっちゃったね。まあ、可愛いからいいや。
そんな光景を少し離れた所から見ているのは、僕のお母様と、お忍びでクラウディア家に時々訪れるアリアのお母さん。シェリルさんだね。公爵貴族らしくティーパーティーしてるよ。
「……すくすくと育ってくれて。良かった……アリア。本当にありがとうね。イリア」
「本当よ。全く! 3年前にいきなりアリアちゃんがベッドに眠るライトの隣に居たのよ。隠し子がいたならなんでもっと早く言ってくれなかったのよ。私達は親友よね? シェリル」
後から知った事なんだけど。シェリルさんはお母様の古くからの親友で、あの森に居たのも。クラウディア家にアリアを預ける為にやって来てたんだって。
今はミーティアス王国の王都に戻って、王家の仕事をしながら、時々、娘のアリアの様子を見に来てるんだって。
「本当にごめんなさい。イリア……アリアの存在は、親友の貴女にも言えないくらいの秘匿案件だったのよ。前まではだけだ」
「まぁ、《《真なる》》王家の血筋だものね。そりゃあ、狙われるわ」
「……そうね。でもこの数年ミーティアス王国の治安が良いの。そのおかげで以前よりも命を狙われる事も無くなったから、クラウディア家に頻繁に来られる様になったんだけど」
「そうね。最近は5日に1回は家に遊びに来てるわよね……どれだけアリアちゃんが心配で可愛いのよ」
な~んて会話が聴こえてくるよ。そんなミーティアス王国の秘密情報を、こんな所で言っちゃっていいのか凄く心配になるね。それくらい今のミーティアス王国は平和って事なのかな?
「それは目に入れても痛くない程かしら……」
「お母様。5日振りで……す」
「アリア~! いつも一緒に居てあげられなくてごめんね。~!」
アリアがシェリルさんに話しかけに行ったら、シェリルさんはアリアをぎゅっとハグしたよ。アリアも嬉しそうだし良い親子愛だね。
「お母様///……いえ、私にはライト様がいましゅから///」
「そうね。絶対に他の女の子に取られちゃ駄目よ。ライト君はイリアにだから、将来は超絶イケメンになるもの。イケメンは死守よ。死守」
「はい……お母様」
お父様から聞いたけど。アリアがある《《程度の自己防衛》》できる様になるまでは、クラウディア家で預かるか~! 王都の治安どれだけ悪いんだろうね。
「平和ね~!……しかし、本当に不思議よね。ここ数年のミーティアス王国って、王都以外本当に平和過ぎるわ~!」
なんて事をお母様は言って紅茶を優雅に飲んでいたよ。
◇
夜、それは悪さを企む人達が活発になる時間。
そして、それを成敗しながら、その人達のありとあらゆる物を分取るのが僕達――――
《夜 クラウディア領地南西》
「シャハアァ!! 黒仮面と」
「――――銀輝花嫁」
「「2人合わせて黒銀団~! 見参!!」」
うんうん。カッコ良く決まったね。
悪党狩りの為に小さい頃からずっと服装とポーズのバージョンアップを繰り返してきたかいがあったよね。
「ライト様の黒仮面お姿……今日も素敵ですわ」
僕がとある職人に作ってもらった、戦闘用メイド服を着たアリアが目をキラキラさせて僕を見つめているね。そんなに良いのかな? この黒い仮面と黒コートのコスプレみたいな衣装。
「うんうん。銀色仮面と戦闘メイドに身に包んだアリアも素敵だよ」
「……そんな。ライン様。私と結婚したいだなんて……挙式はいつになさいますか」
「うん。そんな事は言ってないし。どこでそんな言葉を覚えてきたのかな?」
「はい。セレスティナお姉さまに教えて頂きました」
「……あのムッツリメイドめ」
アリアとそんな感じで、いつもの様にコントをしてると仲間を失った盗賊さんが声を荒げて叫び始めたよ。
「な、何なんだお前等は? いきなり現れて仲間達をどこにやりやがった? その可笑しな格好はなんなんだ?! とくに黒の仮面の奴。なんなんだその武器は?」
……まぁ、真夜中の森の道で、こんなコスプレイヤーみたいな姿でいきなり現れたらビックリするよね。
「む! ライン様の格好を馬鹿する方は誰であろうと許しません」
アリアは僕の事を言われてムカついたのか。手に持っている《《箒型仕込み杖》》の剣を鞘から抜こうとし始めたんだ。
「はいはい。ハウスハウスだよ。銀輝花嫁、ここで君が暴れたら地形そのものが変わっちゃうからね」
「……ライ……ですが黒仮面様。この方は黒仮面様を可笑しな方と馬鹿にしました。粛清致します」
チャキンッ!と仕込み杖から鋭利な刀を抜き取るアリア。月明かりに照らされて絵になっているね。なんだかアリアが神々しいよ。
そんでもって相変わらず凄い殺気だね。これでアリアは僕と同じ5歳だなんて思えないよ。この世界の女の子主人公だからか。
アリアのステータスは出会った時からどれも高いし。1度怒ると、誰彼構わず攻撃するから僕がちゃんと制御してあげないといないんだよね。
「ひいぃぃ!! だ、誰か助けてくれえぇ!!」
「切り捨てごめんで……ふぁぁ!! ラインしゃま! 何で私の首すじを指でなじょるんでしょかあぁ///」
アリアは首すじが性感帯だから感じ易いんだ。弱点だね。
「勝手に切り捨てちゃ駄目だよ。アリア。この人には、これから盗賊のアジトに案内してもらわなくちゃいけないんだからね……たんまりと貯めに貯めこんだ財宝がある盗賊のアジトさ。ねえ? 盗賊さん」
「ひ、ひいいぃぃ!! 勘弁してくれ!! 案内する! 近眼のお頭の所に案内するから助けてくれえぇ!!」
「うんうん。良い返事だね~! それじゃあ、お宝貰いに行こうか。僕の大切なパートナーの銀輝花嫁」
「はい……私の大切な黒仮面様!」




