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第5話 眼帯悪童と勇者(♀)メイド


(この世界は、俺の為にあるんだ! 誰も逆らうんじゃえぞ!)


(俺は公爵貴族だぞ! 愚民のお前達に何故、ほどこしをしてやらなければならん?)


(何が勇者だ! 俺の方が選ばれし存在だろうがあぁ!)


 ……これは悪夢かい? 《ゼロ・スフィア》の世界で普通に育った時の僕の人格。


 酷い精神状態に。酷い性格。そして、最後には……悲惨な最後を迎える。


 ああ、やだよ。僕……そんな未来。迎えたくないよ。


 だから努力しようね。この世界でちゃんと正しく生きて天寿を全うできるようにね。



「……あれ?…僕……夢……見てた?」


「ライト様。起きて下さい。ライト様……むぅ~……起きないですね……ダーリン。ちゃんと起きて下さい。私のダーリン」


 僕の耳元で、ダーリンとか言ってささやくのはアリアだね……アリアなら良いや。このまま寝てよっと。

 

「……後、1時間ね。アリア~! そうしたら起きるからさ」


「むぅ……そんなの駄目です。ダーリン♡ ちゃんと起きて下さい。じゃないとこのままダーリンのベッドにメイド服のまま忍び込みますよ」


「それは困るからすぐ起きるよ。アリア!」


「……なんで起きちゃうんですか。ダーリン♡」


「誰がダーリン♡だい。君と僕は家族だけど。対等な主従の関係だろう。変な呼び方は止めなさい」


「……嫌です」


「……なんでさ」


「それは私がダーリン♡の事を大好きだからです」


「そんな言葉どこで覚えたのさ」


「セレスティナお姉さま。じゃなくて……メイド長に教わりましたわ」


「……あのムッツリメイド長め。純粋無垢なアリアになって事を教えてるのさ」


「抱きますか?」


「何をだい?」


「わ・た・し・ですが?」


「抱かないよ。アリアは僕の大切な家族なんだからね。それとさっきから冗談が過ぎるよ。アリア」


「フフフ。わざとですわ。私のライト様」


 う~ん。なんでか分からないけど好感度MAX! 


 どこか淡々《たんたん》としていて澄ました顔をながらも、お喋り好きな銀髪クーデレメイドさんの名前はアリア・ミーティアス。


 この娘は本来、ゲーム世界ゼロ・スフィアの中だと元気いっぱいツンデレ勇者として登場し、悪役貴族の僕と敵対して最後には僕がアリアに殺されて終わるんだけどね。



(この外道のクラウディア! 私が成敗してあげるんだから!)

(ヒョエエエ!! やーらーれーたーあ!!)



 それがなぜか、ゲームの世界ゼロ・スフィアとは真逆のクーデレキャラに成長しちゃって、銀髪クーデレ幼馴染み勇者メイドとして僕専属として僕にずっと仕えてくれているんだ。


 それにしても今日のアリアのメイド服姿も可愛いね。


 僕が右目を失明してから10年経ったよ。だから今は12才になんだんだね。月日が経つのは早いこと早いこと。


「ライト様。右目用の《《眼帯》》ですわ」


「うん。ありがとう。アリア」


 2歳の頃、ダイダラボッチさんから貰った固有能力『輪廻』なんだけどね。


 あれ駄目だね。2歳児には制御不可能だったよ。


 だからクラウディア家お抱えの魔道具技師に、僕に合う眼帯を作ってもらってける様になったんだ。


 まぁ、今は別にけなくても良いんだけど。着けてた方が中二病ぽくてカッコいいからアクセサリー代わりに着けているんだ。


「そんな! 愛してるよ。アリアだなんて……嬉しいですわ。ライト様」


 言ってない。1ミリもそんな事は言ってない。


「うん。そんな事は言ってないよ。アリア」


「……それは嘘ですわ。ライト様」


 どうしてこんな娘に育っちゃったんだい。本当にこの娘はさ。ゲームだと元気いっぱいのツンデレキャラだったのに。変わり果て過ぎだよ。


 白銀色の綺麗な銀髪にウルフカットに整った顔立ち。


 後数年すれば可愛い少女から美しい美少女に成長するというのに、僕や関係者以外には冷たい態度をとる女の子に成長しちゃったんだろうね? 


 絶対あのムッツリメイド長の可笑しなメイド教育のせいでしょう。これ。


「ラグナ魔法学園の入学式まで、後少しだよね?」


「はい。ライト様と通えるのが今から楽しみですわ」


「そうなんだ。まぁ、学園じゃあ同じ生徒同士だし。アリアも入学式と同時に王都実家に戻……」


「はい。絶対に実家には帰りませんわ。私はライトのお側にずっとおりますわ」


 それは困るんですけど。君はこの世界ゼロ・スフィアの主人公なんだよ。それじゃあ、この世界に主人公が不在に……ならないか。


 そうだった。主人公キャラって、ストーリー別に男の子と女の子が居るから。


 別にアリアが僕の専属メイドをやっていても。男の子主人公がこの世界で活躍してくれるんだから、なんの問題もないだね。盲点だった。


「……まあ、人の人生は人それぞれだし。良いか」


「はい!」


 なんて可愛い笑顔なんだ。守りたいこの笑顔。


「ライト~! またお寝坊さんなの? いつまでもアリアちゃんに起こしてもらってたら、そのうち尻に敷かれっぱなしになるわよ~!」

「お兄様~! 起きないと爆発魔法かけちゃうよ~!」


 ……この朝からテンションMAXな声は。お母様と僕の妹のエリーだ。


 部屋に入られる前にさっさと身支度を整えちゃおう。


 あの2人は僕とアリアが一緒に居るといつもラブラブとか言ってからかってくるからね。


「……お着替えをお手伝いしますわ。ライト様」


「それは良いや。そのくらい僕一人でやれるからね……ちょっ! 近寄らなくていいから。アリア」


「嫌です。私とライト様は常に一心同体。夫婦です」


「いや、違うから……僕にジリジリ寄ってくるの止めようか。アリア」


 あのムッツリメイド長~! 小さい頃はあんなに純粋で可愛いかったアリアをなんて娘に育ててるんだよ。


 これじゃあアリアの将来が心配だよ。僕は…… 


「隙ありですわ。ライト様!」


「ちょっ! 何、僕をベッドの上に押し付け……アリア。悪ふざけもその辺にするんだ」


「あぅ……ライト様。大胆ですわ♡」


ギイィ……ガチャッ!


「ライト~! 早く起きなさい~! せっかくお父様が王都から戻って来たんだから、家族団欒《かぞく

だんらん》で朝食……を?」

「お兄様~! だから昨日は早く寝て下さいねと言いましたよ……ね?」


 僕の部屋の扉が開かれたよ。


 そして、お母様と妹のエリーに、僕がアリアをベッドへと押し倒している所をバッチリ肉眼で見られちゃった。


「……ちょっと! ライト! 何をしているの? アリアちゃんは王家に連なる娘のよ。ヤるなら場所と時間を考えなさい」

「お、お兄様がやっとアリアお姉様を押し倒しました。お父様に報告します」


 

「アリア。また僕を変態さんにする気なのかい?」

「……ライト様と添い遂げられるなら。なんでもしますわ」

「顔を赤らめながら言うんじゃないよ。はい、デコピン!」


ペチンッ!

「あぅ……ごめんなさい。ライト様」

「うん。僕はアリアのそういう素直な所は好きだよ。アリア」

「……それは私の事を好きと言っていませんわ。ライト様」


 顔を赤くして、おでこを擦るなんて……アリアが凄く可愛いく見えるね。いや、実際にアリアは可愛いんだけどさ。


「お兄様。エリーを無視しないで下さい!」

「エリーは朝から元気だね~! 明るく育ってくれて僕は嬉しいよ」

「はい? なんですかそれ?」


 エリー事、エリーゼ・クラウディア。


 僕の2歳下の妹で、僕の右目の視力が戻った時にお母様とお父様が仲直り。


 そのまま昔の恋が燃え上がって頑張った結果がエリー誕生だね。

 

 ゲームだと主人公に立ちはだかる超性格があれな悪役令嬢キャラとして出てくる予定なんだけど……


「アリアお姉様。何もされていませんか?」

「大丈夫ですわ。エリーお嬢様。ライト様は私を傷付ける事なんて絶対にされない方ですから」


 ゲームと違って、凄く仲睦まじいね。主人公(♀)と悪役令嬢。


「はいはい。ライト~! 朝の恒例行事はその辺にして食堂に早く来なさいね。ほら。エリー、食堂に戻るわよ~! 2人の邪魔をしちゃ駄目よ~!」

「お、お母様。なにするんですか。アリアお姉様から私がお兄様の魔の手から守りま……」


ギイィ……ガチャッ!


「……監視のつもりかな? クラウディア家として僕がアリアに手を出さない為に。どう思う? アリア」

「ライト様が私にちゃんと手を出しているかの確認ですね」

「それはないね」

「あぅ」


 優しくデコピンしたら、あぅだって……アザと可愛いかい。この娘は。


 全く。本来は女主人公と悪役貴族の宿敵同士なのに、なんでこんなに甘々な関係になっちゃったのさ。


 ゲームシナリオガン無視のこの関係はさ……


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