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第26話 赤蛇の神眼の所有者

《リンゴリッツの店跡地》


「これはこれは。派手に斬ったね。アリアの仕業しわざかな? 2人共。ちゃんと生きてると良いけど……『浮遊眼』」


『浮遊眼』


 僕は倒壊したリンゴリッツの建物の瓦礫ぎれきの全てを宙へと浮かせて。アリアとエアリスちゃんが無事か探し始めたんだ。


「こんなの普通に修繕費払ったら、クラウディア家が公爵家の位を下ろされちゃう程の被害だね。お~い! アリア~! エアリスちゃん~! 無事かい~! 無事なら返事……あれ? 微風そよかぜが地下から?」


 この魔力はエアリスちゃんの風魔法だね。ということは2人は地下に穴でも掘って底に逃げたのかな?


「ライト様~! ライト様のアリアはここにまっておりますわ~!」


 アリアの声だ。


「な! 違います! ライト様は私と結婚するんですよ。アリアさん」


 エアリスちゃんの声だね。良かった~! 2人共。ちゃんと生きていてくれたよ。


「……そんなのありえませんわ。ライト様は私と一生涯いっしょうがいを添い遂げるのです。ライト様と私はずっと同じベッドの上で育ったですよ。ライト様とは幼馴染みの関係ですから」


「なぁ?! そんなの3年早かっただけですよね? 私やあの娘達だって。ライト様とは幼馴染みの関係です」


「偽りのですわ。エアリスちゃん達よりも、ライト様と多くの時間を過ごした本物の私とは、質が違います」


「ムカッ! そんな質なんて関係ありません。ライト様をどれだけ思っているかが大事なんですからね。アリアさん! それよりも貴女の着ている服を私に貸して下さい。羽織はおるる物くらい貸してくれても良いじゃないですか?」


「あ……ちょっと止めて下さい。エアリスちゃん。これはライト様から買って頂いた。私のお洋服ですから」


「その私のお洋服を細切りに切り刻んで、私を裸にしたのはアリアさんでしょう! 責任を取りなさい~!」


 ……いつにもまして白熱してるの。2人のキャットファイト。さっさと上に引き上げてあげようっと。


『浮遊眼』


「止めて下さい。全裸のエアリスちゃんに着せてあげられる服はありませんわ」

「い、いいからお洋服を貸して下さい。先程、ライト様の声があったのですよ。恐らくは私達を外へと引き上げて……」


「しかし、結構な激戦だったと思うのにアリアもエアリスちゃんも元気だね。良かった良かった?……あれ? エアリスちゃん。なんで全裸でいるの? もしかしてエルフさんって裸戦闘が趣味なのかい?」


 地下から2人を『浮遊眼』で浮かせたら、エアリスちゃんは全裸だったよ。


「へぁ///……ライト様。あの……これは……アリアさんに細切れに服を……」

「僕が買ってあげた服を戦闘中細切れにしちゃったの?……そうなんだ。僕、少し悲しいかな」


「ライト様……助けて頂きありがとうございます」


 アリアがひたいに汗をダラダラたらしながら、僕の右隣に立ったね。アリアの服は細切れになってないんだね。


「や、違うんでしゅ……あ、あの、ライトしゃまごめんなしゃ……しゃあ?!」


 エアリスちゃんがテンパって僕に謝ろうとしてくれたんだけど。地面の瓦礫がれきに足を取られて、転んじゃったよ。脚を開いてね。


「大丈夫かい? エアリスちゃん……全部見えちゃってるから隠そうね。上着だけど羽織はおりなよ」


「えぁぅ……」


「えぁぅ?! どうしたの? エアリスちゃん」


「へぁあああ/// ライト様~! 見ないで下さい!!」


 ……エアリスちゃんの雄叫びが、リンゴリッツの店跡地に響き渡ったね。エルフ族って、裸を見られると雄叫びをあげるんだね。初めて知ったよ。



「えっと……エアリスちゃんがメイド服を着てくれたし。修善開始と」


『灼熱眼』『恢復かいふく眼』


「ヒク……ヒク……もあライト様の元へしかお嫁にあけません!!」

「ドンマイです。エアリスちゃん……エッチなお身体でした」

「お黙りなさい! アリアさん!」


【ギギギ……良いもん見れたぜ……ブラッドの野郎も殺られた様だし。このまま俺は退散させてもらうぜ。あの方達に情報も持ち帰えって幹部にでも……ギャアアアアア!!】


 おお! 気配はさっきからしてたから。体温関知で燃える『灼熱眼』で、ゴキブリみたいな蝙蝠男を黙って見守ってたんだけどね。全身燃えてるよ。


「な、何でしょうか? 曲者くせものでしょうか?」

「ひぃ?! 私の裸見られましたか?」


 心配する所がそこなんだね。エアリスちゃん。相変わらず面白いエロフだね。


【ゴギャアア! 燃える!! 俺の全てが燃え……】


「うん。君の『記憶の目』だけ回収させてもらうよ。『隻眼の魔法使い』ブラッドを裏切った。半吸血鬼君。さようなら」


【ギイャアアアアア!!】


 半吸血鬼にしては、呆気あっけない最後だったね。『隻眼の魔法使い』さんなんて、四肢をがれても立ち向かって来たのにさ。


「リンゴリッツの店とミロ広場の修善完了~! 『隻眼の魔法使い』さんとの戦いも含めて、今日は結構な魔力を使ったね……あぁ、最後に"赤蛇の神眼"に聞いとかないといけないね」


「"赤蛇の神眼"に聞くですか? 何をお聞きになるのですか? ライト様」

「ヒク……ヒク……ライト様。責任取って下さいね……私と絶対に結婚して下しゃい……ヒク……ヒク……」


 ……エアリスちゃんが僕に抱き付いて。泣いてるよ。これは責任取ってあげないといけないかな。


「あ~! うん。"赤蛇の神眼"にね。これからどうしたいか聞くんだ。今、見せてあげるよ……『十四色の神眼球しょくがんきゅう』の1つ、"赤蛇の神眼"よ。我の問いにこたえよ」


ボンッ!

『はい……こんにちは。マスター候補さん』


 赤色の眼をした朱色の小さい蛇が現れたね。


「……この方が"赤蛇の神眼"の本体様ですか?」

「……ヒク……可愛らし子ですね……結婚……グスン……」


「うん。赤の神の目。"赤蛇の神眼"様だよ」


『様はいらないわ……ふ~ん。3人共品はあるのね』


「えぇ、それ相応の教養と品格はありますよ。多分」


 エアリスちゃんは本物のエルフ族の王族だったけど。僕やアリアは貴族のイベントなんて一切出てないから怪しいんだよね。実際はさ。


『…なんだか。言動がちょっと怪しいけど。まぁ、良いわ』


「これから。どうされますか? 合流されます? それとも赤い玉に戻られますか?」


『その気になればいつでも会えるのでしょう?』


「えぇ、基本自由にしてもらってます。皆、あそこが居心地良くて出てきませんが」


『そう……力は貸す気はあるけど協力は拒まれたのね? なら、私だけでも貴方に協力してあげるわ。これから大変みたいだしね』


 ……この"赤蛇の神眼"さん、結構鋭いね。そして、まさか協力してくれるのかい。


「報酬は用意できませんけど良いんですか?」


『……良いわ。これから宜しく……えっと。貴方のお名前は?』


「ライト・クラウディアです。"赤蛇の神眼"さん」


『クラウディア? そう。貴方ってクラウディア家の子なのね……それにしては邪悪が無いわね。短観たんかんとしているというか。それと私の事はルージュで良いわよ。ライト。敬語もいらないわ。』


「分かりました。これから宜しく。ルージュ」


『ええ、宜しく……フフフ。それにしても、これから楽しみね。貴方やその女の子達が織り成す物語が』


 ルージュはそう告げると赤い光を放って。僕の胸元へと飛び付いた。そして……


「……ルージュが……いや、"赤蛇の神眼"が首飾りになった?」


 赤い宝石だけが埋め込まれた首飾りへと姿を変えて、その首飾りには不自然な6つのくぼみが存在したんだ。


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