第12話 隠れアジトを求めて
「キキキキ……本日のご来店誠にありがとうございました。またのご来店を御待ちしております」
「カァ……ええ、また。楽しいお話をありがとう。さようなら」
「いえいえ。私の方でも、極東の貴婦人様には良くして頂きましたので……感謝いたします」
「そうですカァ……では、これで失礼致します。さようなら」
「「さようなら……」」
「ええ、後程またお会いしましょう。極東の貴婦人様。キキキキ!!」
食事を終えた後、僕達は高級酒場エルドランを後にしたんだ。
王都に居られると面倒そうなスケベ店長を『異空眼』で異空眼の世界に飛ばしてね。
『異空眼』
「キキキ……あの検問兵達は居なくなったか?」
【はい。ファースト様……あれ? ファースト様どこに?………ファースト様が消えた?】
ズズズ……
「それじゃあ。追跡、攫い、拷問まで今夜のうちに終わらせるぞ。極東の貴婦人様はさぞや上玉だろうからな。最初は俺が美味しく頂……く?」
【ハシャキハレレ? ミルロオオア! アシャははは!!】
「……何だ? この赤色の巨大目の化物は? それにここはどこ何だ?」
【アシャシャしゃ!! ワタシャキベエレイイ?!】
「ギャアアア!!」
◇
《王都ミーティアス 1番街》
「……アリア。何人来てる? 気配は探れるかい?」
「はい。ライト様……20……いえ、30人位は追ってきてますわ」
「ご主人様。オディに怒りたい気持ちは分かります。ですから、キツイお仕置きだけは勘弁して下さいカァ」
緊張感のないオディちゃんが、極東の貴婦人姿で僕に抱き付いて謝ってきてるよ。
性転換したバ美肉ちゃんなんだから離れてほしいんだけど。
「うんうん。分かったから、もう。僕の目の中で休んでいてもいいよ。例の助けた子供達を勝手に構成員にしてた事は、また後日で聞くからさ」
「カァ! 許して下さるんですカァ? あ、ありがとうございますカァ。ライト様〜! それではオディはここで失礼しますカァ〜!」
……このアホの使い魔。なんで最後、大声で奇声上げながら僕の目の中に退場してるのさ。
これじゃあ、迫って来る敵に居場所がバレるじゃないか!
「あのアホウ鳥〜! 僕に似ておマヌケさんなんだから」
「ライト様。後、少しで追いつかれますがどうされますか? 戦闘を開始しても宜しいでしょうか?」
アリアがやる気満々にポケットから箒型仕込み刀をチャキン!と出してるよ。
なんで僕の専属メイドはやたらと血の気が多いんだろう。
「いや、逃げている振りをしてもう少し様子をみようか。もしかしたら、騒ぎを聞き付けて現れてくれるかもしれないしね」
僕は胸ポケットから黒い仮面を付けた。その後にアリアを抱き抱えると。高い建物へと飛び上がった。
「ふわぁ……ライト様。そんなお姫様抱っこだなんて。追ってくる皆さんに見られてしまいます///」
なんかアリアが珍しく恥ずかしいがってるけど、今は逃げることに集中しないとね。
こんな追われる事になるなら、仮の拠点でも先に探しとくんだったよ。
《王都ミーティアス 8番街》
王都の暗き路地裏に黒いフードを被った怪しい集団が居た。
【気づかれた? 嘘だろう? 真夜中だぞ?】
【ギギギ……あの極東の貴婦人の気配もないぞ。これじゃあ、ファースト店長になにされるか分かんねえ】
【追うか? 追わねえと見失うぞ。追うしかねえのか?】
(……直ぐに動き出せ下等種族共。あれは明らかに"眼"の存在を知る者。消さねばならぬ。あの検問兵に化けていた者達を追いかけよ)
【あれ? 頭の中で声が聴こえたぞ。行かねえと……動かねえとな……】
【そうだそうだ……追って、追い詰めないと行けねえ……】
【……じゃないと俺達が消されちま……】
『裂傷眼』『格納眼』
黒いフードの者達が王都の夜空へと飛び立とうとした瞬間。
彼等の身体は内部から割かれ、空中で渦を巻いて消えた。
(この力は《《眼》》か?……先手を打たれたか。やはり眷属でもない奴等を命令しても役にたたんか。ファーストの奴はどこに消えたのだ?)
そして、彼等が消えた場所に現れたのは長身で片目しかない壮年の男だった。
◇
《0番街 地下廻廊》
ここは王都の真実を知って、王都の真実を見る為に必要な《《眼》》を持たないと入る事を許されない王都ミーティアスの0番街。地下廻廊。
多種族闇市とか転移扉とかある不思議な空間なんだ。
いや〜! それもこれも前世のゲーム知識フル活用。本当に役に立つよね前世の知識ってさあ。
【ぐあぁ!! だ、ダズケデぐれ。俺達がなにしたてんだ?】
【他の仲間達はどこにやった? なんで俺達だけなんだよ】
「ん〜? 許すわけないじゃん。君達は僕のアリアを危険な目に合わせようとしたんだよ。それ相応の罰は受けてもらうってば」
「そんな! ライト様。アリアと結婚したいだなんて……嬉し過ぎますわ」
「うんうん。そんな事は一言も言ってないよね。アリア」
アリアを抱き抱えて。カッコ良く建物に登った瞬間。
アリアに刃物を向けようとして来た人達がいきなり襲いかかって来たから。『魔眼』の力で皆を無力化してあげたよ。
その後、敵さん皆を『格納眼』で、特別な収納魔道具に閉じ込めて回収。
1番街の秘密の地下水道を進んで着いたのが、0番街の入り口に建っていた錆びれた倉庫なんだ。
そして、今は絶賛捕まえた敵さんに、僕達を追ってきた理由を質問中。
「それで? なんで僕達を追って来たんだい? 極東の貴婦人様はどっかに行っちゃったよ」
僕の眼の中だけどね。
【があぁ!! 身体の中が割けてる?……ファースト店長に命令されたんだ! 拉致して来いとぉ!】
「ふうん〜! じゃあ、アリアを狙ったわけじゃないんだね?」
【アリアだぁ?! そんな小娘誰が狙うかよ。俺達、バン……ギィヤアアア!! どこかに吸い込まれ……】
うるさいから『異空眼』の世界に飛ばしちゃった。
【お、おい! テメエ! 仲間に何をしやがった?! ごがぁ?!】
うるさいお口に僕の愛用武器"黒眼蝶銃"を突き付けて黙らせるよ。
「それよりもさ。そのファースト店長とか言う人のお家に案内してくれないかな? 僕達。王都に着たばかりで、住む為のお家がまだないんだよね。だからさ。ファースト店長さんの家に案内して」
【ハギャア?……ヒギャアアア!!】
僕は、捕まえた下っ腹さんを脅して、ファースト店長のお家に案内してもらって――――
◇
《1番街高級居住区 ファーストの家》
「まぁ、アリアと2人で住むなら丁度良い広さかな」
「住むお屋敷が手に入って良かったですね。ライト様。ライト様との夢のマイホームですわ」
「うんうん。全然違うけどね〜! アリア」
王都で暮らす為のお家をGETだぜ!したんだ。
「ライト様。今夜は一緒に眠りますか?」
「うん。今夜は別々の部屋で眠ろうね。アリア……ん? この気配は?」
「……ライト様?」
《高級酒場エルドラン》
「ファーストよ。何故、私の念話に反応しないのだ? 何をしている。下等生物共とも連絡も取れん……!……なんだお前達は? どこから現れた?」
「ん〜? 眼からかな?……それよりも、こんばんは『隻眼の魔法使い』さん。君も捕まえに来てあげたよ」
「……捕獲しますわ」
「黒と白銀の仮面?……まさかお前達は? 最近、世界各地で名を上げている黒銀団か?」
「内緒かな。それよりも教えてほしい事が沢山あるんだ。とくに「『十四色の神眼球』の1つ"赤蛇の神眼"についての情報をね」
僕は不適に笑いながら、右手に持った黒眼蝶銃の引き金を『隻眼の魔法使い』に向けて引いたんだ。




