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シルバート村への進軍

 俺、勇者カイル、20歳。聖剣を手に魔王を倒す運命を背負った男だ。 黒霧の森での戦いで、ガルヴァンの配下「幻影の騎士団」にボコられかけたが、エリエの情報のおかげでなんとか勝った。 今、俺たちはシルバート村へ向かってる。ガルヴァンの拠点――「黒霧の塔」を叩く。 エリエの情報によると、ガルヴァンの力の源は塔の地下の水晶。あれを壊せば、奴の闇の剣が弱まるらしい。

 森を抜け、塔が見える。黒曜石の壁、赤い旗が不気味に揺れる。マレクが魔法剣を構え、言う。

「カイル、今回は突っ込むな。エリエの情報通り、水晶を狙うぞ」

「へへ、了解! 正義の力で、慎重にぶっ潰す!」

 エリエが震えながら杖を握る。

「え、えっと…カイルさん、マレクさん、怪我したらすぐ治します…!」

 彼女の金髪が揺れ、目はビビってるけど、頼もしい存在だ。 前の戦いで、エリエが情報集めてくれたおかげでここまで来れたんだ。

 塔の門に近づき、俺は聖剣を抜く。

「黒騎士ガルヴァン! 正義の裁きを受けろ!」

 門が開き、魔狼団とリザードマンが飛び出してくる。数は50体以上! でも、俺たちは準備万端だ。マレクが炎の魔法を放ち、魔狼を焼き払う。エリエが回復魔法の準備。俺は聖剣を振り、ゴブリンを切り裂く。戦闘開始!

 

 アリスside

 同じ頃、塔の裏手に潜む私――アリスは、気配遮断スキルで存在を消し、ライフルを構える。白銀の髪が霧に揺れるが、誰も気づかない。 ホルスターにはマグナムがぶら下がっているポケットには依頼主のヴィンスからもらった爆薬が入っている。 ヴィンス・カルトレットの資料で、ガルヴァン含め幹部クラスは水晶を魔力炉として魔物本人や武器を強化していることが分かっている。 壊せば、奴の剣の魔力が落ちる。

 擬態スキルで岩に化けて監視をしていたリリエルからテレパシーで報告。

「アリス、勇者さんたち、門で大暴れ! 魔狼とリザードマン、めっちゃ出てきたよ!」

「…予定通り。陽動は任せた。私は水晶を狙う」

 リリエルには別ルートからの潜入し場の混乱してもらうことと万が一の私のカバーをしてもらうことになっている。

 勇者パーティの騒ぎで、塔の警備が薄くなる。私は裏門から潜入。気配遮断で魔狼の横を抜け、地下への階段を下りる。 暗い通路、瘴気が充満。地下室に、黒い水晶が輝く。ガルヴァンの力の源。爆弾を仕掛ける準備をする。

 リリエルは塔の外で、液化スキルで地面に溶け、武器庫に近づく。彼女の声がテレパシー越しに聞こえる。

「アリス、武器庫に爆薬セット! 勇者さんたちの援護にドカンしちゃうよ!」

「…了解。タイミングを合わせろ」

 リリエルが武器庫にヴィンスの支給爆薬を仕掛ける。「ドン!」と爆発、塔が揺れ、魔物たちが混乱。勇者パーティが門を突破する叫び声が響く。

 私は水晶に爆弾をセットしようとするが、金属の足音が近づく。 ガルヴァンだ。黒い甲冑、闇の剣「ヴォイドブレイカー」が瘴気を放つ。赤い目が私を捉える。

「…お前か。見えない敵の正体」

 気配遮断スキルは効いてるはずなのに、視認された! 黒霧の森での別働隊の視認が、彼に私の存在を警戒させたか?

 ガルヴァンの剣が振り下ろされ、瘴気の波が襲う。地下室の空気が重く淀み、黒い霧が視界を覆い、息苦しい闇が肺を蝕む。私は横に飛び、ライフルを構える。「パン!」と一発、肩の甲冑を狙うが、弾かれる。ガルヴァンが低く笑う。

「奇妙な武器だ。人間の技ではないな」

 彼の声は低く響き、洞窟のような地下室に反響して、絶望の響きを増幅させる。闇の剣が再び振り上げられ、瘴気の渦が渦巻く。私はマグナムを抜き、連続射撃で距離を取るが、地下室は狭く、壁が迫る。銃声が耳を劈き、火薬の臭いが瘴気と混ざり、吐き気を催す。ガルヴァンの甲冑がわずかにへこむが、彼は痛みを感じぬかのように前進する。赤い目が輝き、私の魂を穿つような視線だ。

「リリエル、状況は!?」

 テレパシーで叫ぶが、返事は途切れがち。

「アリス、ごめん…! 勇者の戦場で…ゴブリンに絡まれて…!」

 リリエル、巻き込まれてる! ガルヴァンが私に迫り、剣が腕を掠める。鋭い痛みが走り、血が滴り落ち、冷たい床に赤い染みを広げる。記憶消失スキルで私の存在を消そうとするが、視認され続けている以上、効果が薄い。闇の剣の瘴気が傷口を腐食し、焼けるような苦痛が体を蝕む。ガルヴァンの手が伸び、私の首を狙う。息が詰まり、影が私を飲み込もうとする。

「…お前の首を魔王様に捧げる」

 ガルヴァンが私の腕を掴み、捕縛しようとする。鉄のような握力が骨を軋ませ、絶体絶命の闇が迫る。汗が冷たく頰を伝い、心臓の鼓動が耳元で鳴り響く。地下室の空気は重く、死の匂いが満ちる。だが、その瞬間――「ドカン!」と水晶が爆発! 黒い結晶が砕け、瘴気が吹き飛ぶ。ガルヴァンが「何!?」と叫び、剣の力が弱まる。爆風が私たちを襲い、埃と破片が舞い、視界を暗く覆う。

 爆発の衝撃でガルヴァンが後ずさり、腕が離れる。私は残りの爆弾を床に投げ、「ドン!」と連鎖爆発を起こす。煙幕が広がり、ガルヴァンが咳き込む。黒い煙が肺を焼くように彼を包み、甲冑の隙間から血が滲む。ガルヴァンが剣を振り回すが、力は明らかに衰え、瘴気の渦が薄らぐ。私は煙の隙間を縫い、ライフルで追撃。弾丸が甲冑を貫き、肉を抉る音が響く。彼のうめき声が低く、苦痛に満ちたものに変わる。

「ぐっ…! 何者だ…!」

 水晶の破壊で剣の魔力が弱まり、私の記憶消失スキルが発動。ガルヴァンの記憶から私の姿、名前、能力が消え、「何者かに襲撃された結果」だけが残る。闇の剣が床に落ち、ガルヴァンの赤い目が虚ろに揺れる。地下室は崩壊の予兆を帯び、壁がひび割れ、暗い闇がさらに深まる。私は霧の中へ逃走、背後でガルヴァンの呻きが消えゆく。

 

 塔が揺れ、爆発の煙が広がる。俺たちは門を突破し、内部に突入。魔狼とリザードマンは混乱し、幻影の騎士団の残存部隊も動きが鈍い。エリエが叫ぶ。

「カイルさん、爆発…! また、あの煙…!」

 マレクが目を細める。

「誰かが援護してる。カイル、塔の奥だ! ガルヴァンがいる!」

 俺は聖剣を構え、階段を駆け降りる。地下室にたどり着くと、ガルヴァンが膝をついてる。甲冑は傷つき、剣の瘴気が薄い。


「…勇者…お前たちの影は…どこだ…」


 ガルヴァンがうめくが、目が虚ろ。なんか、めっちゃ弱ってる! 俺は叫ぶ。


「正義の剣、受けろ!」


 聖剣がガルヴァンの甲冑を斬る。彼が剣で防ぐが、力が弱い。マレクの炎がガルヴァンを包み、エリエの回復魔法が俺の傷を癒す。

「ぐっ…! なぜ…水晶が…!」

 ガルヴァンが叫ぶが、俺には関係ない。聖剣を振り下ろし、甲冑を貫く。

「これで終わりだ!」

 ガルヴァンが崩れ落ち、「…魔王様…」と呟き、動かなくなる。勝利だ!

 カイルside

 塔が崩れ始め、俺たちは脱出。シルバート村に戻ると、村人たちが「勇者様、ありがとう!」と歓迎。俺は笑う。

「当然だ! 正義は勝つ!」

 マレクが息を吐く。

「エリエの情報がなかったら死んでたぞ。あと、あの爆発…誰だ?」

 エリエが呟く。

「え、えっと…また、前の戦いみたいな…謎の助け…?」

 俺、考える。あの煙、銃声、爆発。エリエが話してたアリスとリリエルって二人、関係あるのか? でも、誰も彼らの姿を覚えてない。心の奥で、影の味方がいる気がする。

 

 アリスside

 私はリリエルと森で合流。肩の傷を押さえ、ライフルをしまう。リリエルが涙目で抱きつく。

「アリス、大丈夫!? 血…! ごめん、私、遅れちゃって…!」

「……リリエルの爆破がなかったら、捕まってた。よくやった」

 リリエルが笑う。

「へへ、アリスちゃんの爆弾、めっちゃ役立った! ガルヴァン、ビックリしてたね!」

「リリエル、次はもっと危険だ。準備しろ」

「うん! アリスちゃんと一緒なら、どんな敵も倒せるよ!」


 白銀の髪が風に揺れ、霧の森に消える。

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