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エターナル【現世版】  作者: 月架
高校編
4/5

第四話

後日〜部活にて〜


「ドロシーちゃん、ドロシーちゃん」


「………」


「ドロシー、次の台詞ドロシーだよ?」


「え?あ、本当だ……」


演劇部の部室で稽古をしている私達。

ドロシーはうわの空だ。


「調子悪いの?大丈夫?」


演劇部の先輩方が心配している。


「ユーマ先輩のライブからずっとあんな感じなんです」


私が説明すると先輩方は呆れ顔になった。


「あいつに振り回されてるの?ドロシーちゃん可哀想」


先輩が言うにはユーマは人気でモテるが、

本人は自分の活動にしか興味が無いらしい。


「決めた」とドロシーが立ち上がってこう言った。


「ユーマより有名になるの。今のままだと視界に入る事すら不可能。ルーエも手伝って」


「ドロシーちゃん、それって有名になってユーマ先輩と付き合いたいって事?」


ルーエがそう聞くとドロシーは頷いた。


「えー!やめときなよドロシーちゃん」

先輩方は反対している。


「ルーエは良いの?」と私がルーエに聞くと


「有名になるのは俺も目指してる事だから、とりあえずドロシーちゃんの作戦に乗っかるよ」


と答えた。



〜後日〜牧場にて〜


「なあエルシー。この牧場、馬も居るの?」


休日、牧場の手伝いをしてたルーエが私にそう聞いた。


「居るよ。それがどうかしたの?」


「乗馬体験って出来る?」


「出来るけど…え?乗りたいの?」


そう聞くとルーエは頷き、私は急いでおじいさんを

呼びに行った。


「今は白い馬と黒い馬しか居ない。名前はヴァイスとシュバルツだ」


「うおー!すげー!かっこいい!!」


馬を目の前にテンションが上がるルーエ。

そこにドロシーがやって来た。


「ちょっとルーエ!今日撮影の約束したでしょ!」


「え!あ、ごめん。手伝いに夢中で忘れかけてたよ。ドロシーちゃんも見てよこの馬達」


「エルシーの牧場の馬なの?初めて見た」


「ドロシーちゃんはどっちの馬に乗りたい?俺は断然黒い馬!」


「エルシーはどっち?」

とドロシーに聞かれた為、私は「白い馬」と答えると


「じゃあドロシーもエルシーが選んだ方にする」

そうドロシーは答えた。


「白い馬かー!ドロシーちゃんに似合ってるね」


「…ありがと。仕方ないから今日の撮影は乗馬体験にする」


ドロシーは配信では無く動画投稿に変更するようだ。祖父の許可も得て早速撮影開始。


動画投稿すると瞬く間に拡散された。

コメント欄は「またモデルの男の子居る」や

「ドロシーちゃん相変わらず可愛い」や

「この牧場来たい」など多数寄せられた。


中には「ドロシーってこの男の子と交際してるの?」

というコメントもあった。それを見るとドロシーは

「やっぱり言われるのね…」と冷静に告げた。


「ごめんドロシーちゃん、俺ジャマかな?」と

ルーエは謝ったがドロシーは

「コラボの時点で言われるのは想定内だから」と

淡々と告げた。


「ルーエはなんで配信や動画に出たいの?」と

私が聞くとルーエは

「お父さんから学業に専念してって言われてて

それで事務所も仕事セーブしてるんだ」

と答えた。


「私とルーエのお父さんってどんな人?」


私が不安そうにルーエに聞くとルーエは複雑な表情になりながら答えた。


「厳しそうに見えるけど意外と優しいよ。エルシーを置いて行ったの大分後悔してたみたい」


「そうなんだ、いつか会ってみたいな」

そう言うとルーエは笑顔で「俺も会わせたい」と

言った。


この日の夜はドロシーも私の家に泊まる事となった。理由は明日も牧場見学がしたいからだった。


「ドロシーはエルシーの部屋で一緒に寝るから、

ルーエは絶対入って来ないで」


ドロシーはルーエにそう言った。


「なんか凄い警戒されてる…!入る訳無いよ!

俺はただ仲良くなりたいだけなのに!」


「それはドロシーと?」と私が聞くとルーエは

「エルシーもに決まってるじゃん!兄妹なんだから」

と答えた。


するとルーエは私の頭を撫でてきた。


「俺はお父さんが側に居たから良かったけど

エルシーは親が側に居なかったんでしょ?

色々大変だったと思う。辛い時どうしてた?」


私はそう聞かれて幼少期を思い出した。

私が泣くような事があれば祖父や祖母、ミスティが

いつも駆け付けて助けてくれた事を思い出した。


「私にはおばあちゃんとおじいさんが居て

幼馴染のミスティ先輩も居たから何とかなってたよ」


「そうなんだ!良かった〜!正直ずっと心配

だったんだ!エルシーの過去について。

支えてくれる人が居たんだね。安心したよ。

ところでさ、エルシーってミスティ先輩の事

好きなの?」


「え?いきなり何言い出すの!?ミスティ先輩の事

そういう目で見ちゃいけないんだよルーエ」


「え?なんで?」と問われ私は「なんでも!」と

言いその場を後にした。


理由なんて無い。ただ何となくそう思っている。

医師を目指して努力してるミスティを私は尊敬している。

だからこそ私はそこに介入しちゃいけない気がしている。

個人的には住む世界が違うと思っている。


自分の部屋に戻るとドロシーが布団を敷いて待っていた。


「ねえエルシー」


「何?ドロシー」


「さっきの会話聞こえた。ドロシー、エルシーは

ミスティの事が好きなんだと思ってた。でも違うの?」


不安げにそして不思議そうにドロシーは私を見つめ

聞いてくる。


「違わないよ。好きだけどそういう目で見ないようにしてるの」


「意味が分からない」


「分からなくて良いよ。さあ、もう遅いし寝よう」


私がそう言うとドロシーは頷き布団に潜った。

私も部屋の明かりを消して眠りについた。


〜後日〜学校にて〜


「それでは夏休みの課題を提出する」


そう担任の先生が言うと

「えー!」「多めに出さないで下さい!」と

生徒から悲鳴が上がった。


課題をまとめて受け取り放課後になると


「エルシー、夏休みは皆で勉強会開こうよ。

エルシーの知り合い全員で」

とルーエが提案してきた。


「全員で?凄い大人数になるよ!?」


「エルシー、ドロシーちゃん、俺、ミスティ先輩

ユーマ先輩、あと日本人の人達で」


「ミスティ先輩はともかくユーマ先輩は来るのかな?

声かけはしとくけど…ルーエは1年で日本人の

友達出来た?環とか蕾くんとか翼っちや凛子も居るけど」


「それが……全然出来てない」


「連絡先交換とかも?」と聞くと

「はい全く。エルシーとドロシーちゃんしか無い」

と答えた。


「とりあえずグループメッセージにルーエ追加しとくから。

男子は浅木先輩、女子は和花先輩に連絡しとけば

日本人メンバーは集まると思う」


「ありがとうエルシー!恩に着るよ」


夏休みは演劇部の大会があって忙しい。

ルーエの提案した勉強会はありがたい。


ミスティにも誘いのメッセージを送る早速返信が来た。


「勉強会?良いよ。ユーマも誘ってみるよ」


それに対し私はすかさず、ありがとうございますの

スタンプを送信した。


「エルシー!!勉強会のメッセージ見たよ!」と

元気よく来たのは同じ1年の凛子。


「和花先輩や司先輩も良いって言ってた!

場所どこにする?和花先輩が自分のお屋敷が

良いんじゃないかな?って言ってた!」


先輩の和花や琴葉はお嬢様で渉は父が校長を務めている。

3年生の友達はお金持ちが多い。


「じゃあお言葉に甘えて場所は和花先輩のお屋敷で!」


「りょーかい!皆に伝えてくる!」


と凛子はグループメッセージの存在を忘れ

一人で走って行ってしまった。「まあいいか」と

私は思いスマホのメッセージにも場所について

送信した。


「エルシー、今日は部活も無いし帰ろう」


ドロシーの話に「うん」と答えルーエを呼び

帰る事にした。


「ドロシーも行くよね勉強会」と私が聞くと


「勿論。友達みんな大好き。配信はいつも通り夜やれば良い」


と笑顔で答えた。


中学の頃、事件の後に転校したてのドロシーを

笑顔にしてくれたのは紛れもなく今の友達達だ。

客観的に見て私に一番懐いてはいるが、

他の友達の事も不器用ながら好いている。


「演劇部の大会も頑張らなきゃ」

とドロシーはユーマの事は忘れ張り切っている。


勉強会にユーマが来たらどういう反応するんだろう

と疑問に思ったが深く考えるのはやめにしようと

思った。

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