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エターナル【現世版】  作者: 月架
高校編
3/5

第三話

〜約束の土曜日〜


私とルーエはドロシーの配信部屋に来ていた。

「一花は仕事で居ないから」と言われて来た。

ドロシーの部屋はゲーミングルーム。


「ルーエはここに座って。エルシーはカメラに映らないようにするからここに座って」


ドロシーに案内され私とルーエはそれぞれ定位置についた。

配信が始まると早速ルーエについてコメントが流れてきた。

「誰このイケメン」「ドロシーさんの彼氏?」「何か見た事ある顔」などなど。


「初めましてルーエと言います。モデルやってます!今回はドロシーちゃんとコラボさせて頂きます」


ルーエは臆する事なく自己紹介をして意気揚々としている。

ドロシーはゲームの準備をしている。


「…今回やるゲームはこれ」と言ってドロシーが

パソコン上に出したのは恋愛ゲーム。

主人公が男女どちらか選べるタイプのゲームで

攻略対象は男女関係無く選べると言う今時のゲームだ。


たまに配信を見てるので分かるがドロシーはいつも

女主人公を選んで女の子を攻略する。男性は選ばない。


ルーエは男主人公を選び女性を攻略するようだ。

先行がルーエ、後攻がドロシーだ。

私はカメラの外で配信の様子を見ている。

配信の閲覧数はルーエが居る事でいつもより多くなった。


「ここの選択肢は、これにしよっと…あれ?好感度下がっちゃった」


「ルーエ、この子は読書が好きなの。外に連れ出したらダメ」


コメント欄はその選択肢の所で大いに盛り上がっていた。

ゲームオーバーになったルーエとは正反対に

ドロシーは慣れた様子でゲームが進んでいった。


配信は盛り上がりドロシーがハッピーエンドに

辿り着いて無事に終了した。


「で、どうだったルーエ?ドロシーと配信してみて」


「最高だったよ!ドロシーちゃんありがとう」


「エルシー、ドロシー疲れた。配信も良いけど

普通にエルシーとゲームしたい」


ドロシーは一緒に配信出来て喜んでるルーエをよそに

私に寄りかかってきた。


「確かに。エルシーともゲームやりたいね。今から何する?」


「やっぱ対戦出来るゲームだよねエルシー」


「私はドロシーとルーエくんが楽しければ何でも良いよ」


私がそう言うとルーエが私の方を見てこう言った。


「俺の事くん付けで呼ぶのやめなよ。ルーエで良い」


そう言いながらルーエは私の頭を撫でてきた。

びっくりする私の様子を見たドロシーはルーエを睨んだ。


「距離近い!離れて!」


「なんで?兄妹だよ?これ位は許してよ」


「エルシーはそれで良いの?」


ドロシーにそう聞かれたが困ってしまった。

双子の兄妹だし、いずれはもっと仲良くなれるのだろうか?


「ドロシー落ち着いて。私なら大丈夫だから」


とりあえず私は怒りに震えるドロシーを抱き締めて宥めた。


「ルーエく…ルーエ、ドロシーの前ではそういうのやめてくれない?」


「え?もしかして二人ともそういうご関係?なら

俺から謝るよ。ごめんなさい」


「違う。ルーエのバカ」とドロシーが即答した。


〜後日〜


「って事があったんですよミスティ先輩」


私は放課後に土曜日の出来事をミスティに話していた。

あの後皆でゲームしたり晩ご飯作ったり色々と

忙しかった事も。


「楽しそうで良いじゃないか。僕も混ぜてくれれば良かったのに」


「先輩は医者目指して勉強まっしぐらじゃないですか!ご迷惑おかけ出来ません」


「そりゃそうだけど僕だってエルシーと一緒に遊びたい時位あるんだけどな」


「え…それって…」


どういう意味ですか?と聞こうとしたらルーエ達が

やってきた。


「さあエルシー部活行くぞ!ってミスティ先輩!

お疲れ様です!」


「やあルーエくん。学校は慣れた?」


「慣れました。おかげさまで」


「二人とも同じ部活?」とミスティが聞くとルーエが「はい、演劇部です。ドロシーちゃんも」と即答した。


「先輩は何部に入ってるんですか?」


「僕は塾通いでね。部活やってないんだ」


ルーエに聞かれ切なそうな表情を浮かべたミスティ。私はルーエにミスティが医者を目指してる事を説明した。


「大変ですね。応援してます」とルーエが言うと

「ありがとう」とミスティは返し帰路に向かった。


演劇部の活動は先輩達の他にルーエとドロシーが役者で私は裏方。

先輩達が主役でルーエとドロシーは脇役からのスタート。


「俳優の仕事もしたいから悪くないよ」と

ルーエは笑っているが本当は主役がやりたかったのかなと思う。


「エルシーは良いの?裏方で」


「役者ばかりだと困るでしょ。私は照明とか音響とか舞台設置でいい」


「そっか〜」


と言うルーエの後ろに顧問の先生がやって来て

「そうだぞ!裏方は重要な役目なんだからな」と言った。


「そう言えばユーマ先輩はバンドやってるんですよね?先生」


「ああ、ボーカル&ギターだ。だからなのか毎日

私服で登校してくる。厄介な奴だよあいつは」


「ドロシー、少し興味ある。翼と仲良いんだって」


ドロシーが意外にも反応を示した。同学年の翼が居るからだろうか?


「翼もロック好きだもんね」と言うと

「今度見に行こうよ」とドロシーは返した。


「え?ドロシーちゃん、ユーマ先輩のバンド見に行くの?俺も行く!」


「えー…エルシーと翼と見に行きたかったのに。仕方ないなあ。ルーエも良いよ」


「先生、演劇部の活動は…」と私が聞くと顧問の先生は

「ルーエとドロシーの役はちょい役だから影響無いだろう。セリフしっかり覚えてるなら問題無し」

と言った。


「よし!じゃあ春河翼さんと都合つけて丁度良い日に見に行こう」


〜後日〜


「翼っち!」と私が声をかけると「やっほー」と

明るく返事をした。


春河翼は春河琴葉のいとこで琴葉の家に居候してる。

ロックとアニメが好きな女の子だ。


「ユーマ先輩には君達が来るのを言っておいたよ」


「ありがとう翼ちゃん」


「あ、突然現れたエルシーの兄、ルーエたんだ」


翼とルーエが挨拶をしてるのをよそにドロシーは

翼に質問した。


「翼、ユーマはどういう歌歌うの?」


「まさしくパンクロックだね!あ、だけど

バラードもいけちゃうんだよ」


翼はスラスラとユーマの説明を始めた。


バラードもいけるロック歌手?将来バンドマンになるのかな。

そう思っている内に舞台の照明が明るくなって

ユーマが歌い始めた。


迫力があってバンドサウンドも心地良い。

ふとドロシーの方を見るとユーマの方をずっと目で追っていた。


「こういうの好きなのドロシー?」


「ユーマ、かっこいい」


「ドロシーたん早速ハマってるね」


「え?ドロシーちゃん、まさかユーマ先輩のこと…」


「残念だけどユーマ先輩にはファンがいっぱい居るんだよ。しかもルーエたんより有名人」


そう言いながら翼は動画配信サイトを見せる。

ユーマのバンドの動画の再生数が恐ろしい位多かった。

ドロシーの動画の再生数も凄いが違う意味で凄い。


「アプリのファンクラブもあるよ〜」と翼が言うと

「翼、それ…ドロシーも入る」と言い出した。

「了解〜♪」と翼は返答して、ドロシーはスマホを貸し翼はそれを弄り出した。


「ルーエ、あんたより有名な奴なんていっぱい居るんだよ」


後ろから声がしたかと思って振り向いたらそこには

永井依馬と赤松環がライブを見に来ていた。


「僕もSNSのフォロワーではルーエに負けてない」


そうやって見せて来たのは依馬のファッションを

メインとしたSNSで、ルーエのフォロワーは知らないが

ルーエが「まじか」と言ってたので負けてたみたい。


「この白兎学園、凄い人の集まりなんだな」


「親の七光りとかもあるからね、俺みたいに

親が凄いデザイナーな事も珍しくないみたい」


環は苦笑いしている。環の父親はTVにも出る

有名なファッションデザイナーだ。


「今はそんな話良いから曲に集中して!」

とドロシーが言い皆バンドの方に目を向けた。


〜数十分後〜


「楽しかったねー」「やばいって!」

「ユーマかっこ良過ぎ!!」

そういった声が聞こえる中ライブは終了した。


「ユーマに話しかけてくる」とドロシーは言ったが

ユーマは敬語を使えない人を良く思ってない為

私は止めようとした。しかし翼がそれを止めた。


「まあ見てなよ。多分辿り着くのは不可能だから」


翼に言われユーマの方を見ると人だかりが出来てた。

ドロシーはその人混みに入っていったが…

ユーマはいつの間にかその場から消えていた。


「ね?言ったでしょ?ユーマのファンサタイムは短いんだ」


「そうなのか」と呟くとトボトボとドロシーが

元の場所へ戻ってきた。


「大丈夫!?」私はルーエと一緒に駆け寄り

ボロボロになったドロシーの制服の埃を払う。


「うん、二人ともありがとう…」


「とにかく今日はもう帰ろう」


ルーエの言葉を聞きドロシーは頷きその場を後にした。

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