プロローグ
俺はもうすぐ休学2年目を迎える。学生という免罪符を持っているニートだ。
実家から離れて暮らしている俺は長らく人と喋っていない。
こうなった理由は単純だ。考えることを止めて現実から逃げているのだ。
今もそうだ。
バイトもせず、大学に行かず、飯もフードデリバリーで頼むから外にすら出ていない。
いつもそうだ。
俺は人生を送るうえで、出てくるであろう壁からいつも逃げている。
小さい時から逃げてばっかりだから、逃げ癖が付いたんだと思う。
夏休みの宿題は先延ばしをするし、高校の時だって部活と勉強を両立するのが難しいからっていう理由で親友裏切って一人で部活止めるし、肝心な時に勝手に逃げるようになる自分が大嫌いだ。
え?? 今回逃げてる理由?
ギャンブルだよ悪いかよ!
大学の友達に誘われてやっちゃったの!気づいたらア〇ムから金借りちゃってんの!
勝ててたんだよ、本当にマジで、月に20万ぐらい勝ってたの!本当だよ!?
もう働かなくてもいいや~~なんて思ってたら気づいたら人生どん底だよ。
親にも借金だけはすんなって言われてるから相談できないし、大学の友達にも恥ずかしくて相談できないし。
大学の単位もあんま取れてないし、もう現実を考えることが嫌になったから、最近はずっと何も考えないように漫画とアニメとY〇Utube動画しか見てない。
見るしかないんだ。
「お~いお兄さん、聞こえてるかい?」
耳元から何度も誰かを呼ぶ声がする。
若そうな男性の声、声優をやっているのかというぐらいな美しい声。
ロリショタボイスとして売れば結構売れそうだな…
「いい加減おきてよ! もぉー」
何度も聞いてるとイラついてくるな?
寝ている間にY〇Utube自動再生でショタボの寝起きASMRに変わったか?
「はぁ~ うるせぇガキだn・・・・・・え?」
そう言いながら目を覚ました俺にあり得ない光景が広がっていた。
あたり一面真っ白で何もない空間。
見上げると白い布を羽織った青年が立っている。背丈は小学1年生ぐらいだろうか。とにかくめちゃくちゃイケメンなショタだ。
「やっと目を覚ました! え~と僕は…なんだっけ?」
俺を見るや否や声をかける少年。
どうやら自分のことが上手く説明できない様子。
てか改めて見ても整った顔立ちだな、白髪で髪の毛もキュルキュル、お目目も青色基調でパッチリ、まるでこの世のものではないような。
この世のものではないような??
「えっ!? もしかして神様ですか! そんなわk・・」
「そう!神様だ! 僕は神様です!」
びっくりしていて俺はこの少年に神様かという馬鹿げた質問を投げかけた。
そうしたらなんとこのショタガキ、自分は神様だと言い張る。
なぜか自信満々な笑みを浮かべている。
ということは、
もしかして俺は死んだのか?
だとしたらなんでここにいる?
母ちゃん俺が死んだらすごく悲しむだろうな、申し訳ないな。
死んだら俺の借金両親にバレるのか?
様々なことが脳裏によぎったが一番重要なことがある。
中二病男子なら一度は夢見たことがある。そうっ!あのっ!異世界転生ができるかもしれないという事だ。
授業中に何度異世界転生ものを妄想したことか、全中学異世界妄想時間ランキングがあるならば上位0.1%になれる自信がある。
死んだ後に神様と喋る=異世界転生だ。
相場が決まってるんだ。うん。
「心のじゅんびとか出来てないよね? だいじょうぶ?」
なんの言葉を発さずに考えている自分に、心配してくれているのか。
なんかかわいいな。
何かの扉が開きそうだ。 おっっと危ない。
というか神様なのになんでショタなんだ。相場はじじぃか巨乳長髪美人かどっかの駄女神じゃないの?
いくら考えても仕方がない、聞くのが手っ取り早いな。
「あの。俺はどうなるんですか? というかどうなったんですか?」
「お兄さんは死んじゃったの。で、僕が貰ってきた! で、いまからぼくの世界
に行ってもらうね」
「!?」
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それから小学1年坊(神様)から。どういう事が一つ一つ聞いていった。
ショタ神の話をまとめるこうだ。
まず俺は死んだ。死因は突然死だそうだ。
そしてこのショタは神様で、新しく世界を受け持ったそうだ。
その世界は俺が思い描く通りの異世界で魔法やらダンジョンやらがあるとか。
で、いま神様界隈(どんな界隈だよ)では自分の管轄世界に地球人を送り込むことが流行っているらしい、なんでも違う文明で栄えてきた人を異世界に放り込むと世界成長率がよいらしいとか。多分言ってることはそんな感じする。
そして俺がこの世界の初めての異世界転移者らしく、俺が選ばれた理由は異世界への解像度が高く、順応しやすそうでまだ若いからだとか。
うん。悪くない。悪くないよぉぉぉおお!
そうこれ、これなんだよ俺が求めてたの!
俺が一番目なら何でもやり放題じゃん!
やっぱ王道は冒険者だよな。ダンジョン行って金稼いで女に囲まれて生活する。
商人もいいよな、こっちの知識使って異世界で無双!
何やっても楽しそう、あんな世界とはおさらばだっっ!
って既におさらばしてるやないか~い!
えへへへ
お!そういえば、俺としたことが一番大事なことを忘れていた。
「神様、それでどんな能力が貰えるんですか?やっぱ選べますかね?賢者とかアイテムボックスはマストで欲しいですね?複数OKですか?」
「ん?けんじゃ?あいてむぼっくす?」
俺の質問の意図が全く伝わっていないご様子。
とっても嫌な予感がする。
「えっと、違う世界で生きるじゃないですか、それで生き抜くための能力を欲しいな~って、あれ俺が間違えてます?」
「僕がなんで能力をあたえられるの?」
なんて純粋な瞳なんだ、これじゃまるで俺が間違えてるみたいじゃないか!
え?異世界転移と能力チートはハッピーセットじゃないの?違うの?
「じゃあ、俺はどうやって生きていけば…」
「生きていけば、いいんじゃないの?僕の友達がとりあえず地球人送っとけば、その世界はなんとかなるって言ってたよ? 違うの?」
やばいその友達今すぐぶん殴りたい。
もう神でも関係ねぇよ。
まぁ確かに主人公のいる異世界はどれもなんとかなってるから、間違っているとは言えないけど、それはチートありきじゃないか。
「あ、もうそろそろ時間かも。頑張ってね応援してる」
「え、応援とかいらなくてその言語とかもそn・・・・あ」
糞ショタが言葉を発した途端下から魔法陣が光りだし、俺が喋る間もなく視界真っ白な光に覆われたのだった。
異世界漫画好きな素人の作品です。文法とか構成とかめちゃくちゃだけど、楽しんでくれたらうれしいです。