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改めて30年代の戦車及び戦車砲開発について考察<2>

さて、カステラ食いながら考察の続きを書いてみようと思う。


さて、前回の考察では、史実ベースで考える限り、九七式五糎七戦車砲を軽戦車ないし装甲車に搭載して活用することは道理であると結論づけることが出来たと思う。


ただし、これは史実ベースでの結論であり、一定の道理であるというに過ぎない。


「このはと」世界においてのそれはその方向性で進む可能性もあるが、別の可能性もまた同時に存在していることが考察の過程やコメントにおいても示されていると思う。


例えば、山砲ベースの新型砲ないし改良砲を搭載した史実ホイ相当をでっち上げることで装甲目標、非装甲目標双方に対する歩兵直協任務に当たる純粋な歩兵戦車への進化パターンは存在し得ると言うことだ。ただし、それは中戦車ベースとなるのは必定であり、そうなると戦車生産ラインに些か支障が出ることが避けられない。


シャーシをチハと共用する場合、シャーシ工場と艤装工場を別にしてしまわないと生産現場におけるロスが大きいと推察出来る。少なくとも現存する写真を見る限り、日本の戦車製造現場では多くの工程が同じ場所で行われていると思われる。


共通部品で組み立てられるところまでは同じで良いけれど、戦車砲のサイズによっては砲塔サイズも違うし、当然砲塔ターレットの直径も異なるわけで、それを同じ生産ライン上で組み立てるのは色々と不都合が出てくるだろう。


艤装工場を別にすれば効率は良くなるが、その分、経費もかかるし、工場立ち上げ、工場ラインの見直しなど付随したモノが出てくる。航空機の製造現場の新型機生産ライン立ち上げのそれを考えても概ね3-6ヶ月程度の生産低迷と品質不安定を受け止める必要がある。


帝国陸軍の戦車生産現場といえば、相模造兵廠、小倉造兵廠、三菱丸子工場、日立亀有工場が有名だろう。これらの生産現場を一時的に混乱させることになっても生産現場の効率化を図るべきだろうか?


三菱丸子は終戦後の空中写真で見る限り、周囲は全部民家などで埋め尽くされている(焼け野原だが)。日立亀有は川向こうに余裕があると同時に亀有駅から北に延びる街道筋を挟んで左側に余裕がある(こっちは空襲前の空中写真)。相模造兵廠は思った以上に都市化が進んでいて、現在の相模原市街地は殆ど成立しており拡張の余地は大きくない。小倉造兵廠も同様に市街地のど真ん中だから余裕はない。となると、日立亀有の操業を絞って拡張させるということになるのだが、当時の日立にそこまでガンガン投資させる体力あるのかという疑問が出てくる。


製鉄所からそれほど遠くなく、鉄道の便の良い場所に概ね工場立地しているのだが、相模造兵廠、小倉造兵廠も拡張性がないのでは、分廠や支廠をどこか適地に作る必要があるのだけれども、陸軍が容易に用意出来る場所で小倉至近となると逓信省下関飛行場(現:小月飛行場)になるだろうか。ここなら山陽本線至近で専用線を配線するにも難易度は低い。ここなら工員の確保もそれほど難しくはない。なお、小月飛行場に目を付けたのは37年に開設されていること、また岸信介の地盤である山口県だからでもある。


三菱に新工場を作らせる場合、旧北九州空港である曽根飛行場付近が適地かも知れない。この辺りなら農村と遠浅の干潟ないし海であるから造成は容易だろう。三菱下関に余裕がないことを考えるとこの辺が適当だろう。


地震が迫る東海方面は極力増設を控えたい。けれど、人口的な余裕と製鉄所との関係を考えるとこの辺りが落とし所になるだろう。帝都近郊は航空産業が立地していることもあるからバランスをとるとすればこんな感じになる。東北方面は地震や空襲の可能性は低いが、問題は製鉄所が無いと言うことだ。仮に作るとすれば室蘭か苫小牧近辺に作ることになるが、こっちは人口的に余裕が少ないから微妙なところ。あと、火砲の生産強化を考えると日本製鋼所がある北海道室蘭は有望なんだが、前述の通り。


大阪造兵廠の生産能力拡大を考えないといけないが、そうなると兵庫高砂に設置された播磨製造所を拡張する方向になるだろうか、ここは鉄道省高砂線と連絡しているから都合が良い。


戦車全般の増産体制、歩兵戦車と主力戦車の並行生産体制確立には最低限でこんなところだろうか?

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