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改めて30年代の戦車及び戦車砲開発について考察

「このはと」世界において、当初は主力戦車に統合して軽戦車を作らない方針だった。


けれど、帝国陸軍のドクトリンや陸軍大臣、陸軍省、参謀本部、兵器本部、技術本部など用兵、軍政、軍令に至るまでいろいろな資料に当たると、軽戦車の廃止と統合が非現実的であり、史実に沿った形で存置させるのが適当であると判断した。


それが史実九八式軽戦車を九四式軽戦車という格好で成立させ、九七式中戦車を史実と異なる甲型/乙型という格好で登場させた経緯である。


前者はドクトリン的なそれと技術的なそれで史実に沿っているが、実態を九八式軽戦車とすることで性能向上させているが、後者は明確に運用方法に基づくものである。


以前にも示しているけれども、甲型と乙型の違いは37mm速射砲か57mm短加農かである。これは装甲目標と非装甲目標によって明確に運用を区分するために並立させた。


ただ、時期的に47mm速射砲を用意出来ていないため、威力が不足する在来の37mm速射砲としたが、これは史実の九七式中戦車改や一式中戦車に発展させるための布石だ。逆に57mm短加農を存置したのは中戦車を全て対戦車指向ませると歩兵直協という火力支援が成り立たなくなるからだ。


無論、一見無駄に見えるかも知れないが、これが将来的に一式自走砲(砲戦車)であるホニⅠ、ホニⅡに発展させる下地になっている。また、同時に二式砲戦車のトリガーにもなっている。


だが、この57mm短加農だが、チハから撤去されたものが軽戦車に搭載され再利用されている。それが、九五式ハ号から砲塔換装と改修をした三式ケリ、四式ケヌである。これらは実戦において活躍することはなかったが、明らかにチハから歩兵直協の任を引き継ぐために開発されたものだ。つまり、57mm短加農は陳腐化こそしていたが、歩兵直協における火力支援には十分な性能が担保されていたことを意味するわけだ。


よって、逆説的になるが、「このはと」世界におけるチハ甲/乙の併存という選択はやはり相応に成立し得る内容だということになるわけだが、これは2024年4月号の月刊「丸」のチハ特集記事でも同様の趣旨が掲載されているのでなおのこと自信をもって言えることでもある。


ただ、問題は「このはと」世界においてチハ57mm短加農装備がそのまま継続するのか、それとも史実のようにケヌ相当を開発するのか、ホイ相当に進化するのかは微妙である。


歩兵直協だけ言えば、前述の通り57mm短加農で十分な性能だと史実では判断されている。しかしながら、37年時点でホイの前身となる計画が立案されているが、この時点で対戦車戦闘は考慮していなかったが、戦車部隊随伴で対戦車砲キラーとして運用する方針であったという。そして、それに旧式化していて置き換え対象だった四一式山砲を改修して搭載しようというものだった。


これは大口径を生かし支援射撃のみならず、火点の制圧や対戦車戦までこなせる等、汎用性が高い性能を有していたこと、そして余剰砲の活用という方針が合致したことによる。


つまり、57mm短加農で十分ではあるけれども、より汎用性が高い75mm山砲を使わない手はないのだ。しかし、問題は四一式山砲から九四式山砲の置き換えがどれだけ進んでいるか、そこになるだろう。なにしろ、汎用性が高く、可搬性も良いのが山砲の特徴だ。いくらあっても良いわけだ。


満州事変において歩兵砲運用が行われ、全歩兵連隊への配備も行われている事実を考えると、「このはと」世界においては軒並み需要が増えているのではないだろうか?特に荒木貞夫大将(陸軍大臣)による火力優勢ドクトリンの方針は砲兵火力の増強とイコールであり、余剰砲の活用という話とは相容れなくなる。


となれば、尚更57mm短加農の延命へとつながるような気がする。さて、どうだろうか?まぁ、そもそもとして、制式年度的に直ぐに57mm短加農をやめるということはないのだけれどもね。

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